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鉄の竜騎士 -元AI少女の冒険譚-  作者: 御堂廉
第四章 カウース大陸編
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第百十五話 非常事態

「ウル、どうだ?」

「……痛いです……」

「大分激しかったみたいだな?ほら、これ塗っとけ。すぐに痛みが消えるぞ」

「ありがとうございます」


 昨日の事が原因でちょっとばかり困ったことになっていたウルだったが、コリーが持ってきた塗り薬でなんとか回復できた。

 さっきまで大分辛そうだったのだが、今はもう平気のようだ。


「ふう……やっと痛みが消えた……」

「まさかそっちも開発されたとは……相当気に入られたな?」

「も、もうしばらくは良いです……」

「でも気持ちよかったろ?」

「あー、ええ、はい。……とても。今まで何でそんな行きたがるんだろうって思ってたけど……分かった気がします」


 また顔が赤くなっている。

 相当だったのだろう、また行きたいと尻尾が物語っている。

 次に行く時にはウルのことも連れて行くかと考えながら、本題に入る。


「とりあえずお前の分の飯は取っといた。それ食ったらちょっと付き合え。ニールのとこ行くぞ」

「分かりました。テンペスト様は?」

「今日はサイラスとギアズと共に出かけてる。狩りしたいとか言っていたが……」


 今、ニールは部屋で一人だ。

 流石に飲みに行くつもりはないが、ただずっといるだけではつまらない。

 ということでまた男同士で風呂にでも行こう、と思い立ったのだ。

 流石に屋敷の風呂も数カ所あり、この時間は大体誰も使わない。


 酒も抜けて頭もスッキリしてきたところで、更に汗を流して完全にリフレッシュするのが今日の目的だ。

 マッサージも頼んで下着も変えれば完全に気力も回復できる。


「ま、そういうことでさっぱりしようぜ。なんかまだ身体から酒の匂いが抜けない気がしてな。ん?ニールお前シャワーでも浴びたか?」

「いや、寝てる間にテンペストに……」

「ニール様と……テンペスト様が……」

「ウル?僕達まだそういう関係じゃないからね?」

「し、失礼しました!……っ、いたっ……たた……」

「ほら、そんなこと思い出すからだ。さっさと萎ませとけ……」


 大体まだ時が来ていないのに手を出せるようなやつじゃないぞ、などとこれまでの狼狽えっぷりなどを色々と暴露されつつ、風呂場へと向かうのだった。


 □□□□□□


 カストラ領、地下滑走路。


『離陸許可をくれ』

『進路上に障害物なし。無風。いつでもどうぞ』

『よーし、こちらワイバーン02。発進する』


 魔導エンジンが出力を上げ、ブレーキを解除する。

 どんどん加速して行き出口へ……。


 この日、コンラッドは試験機の最終チェックを行っていた。

 今まで安全装置として使っていたレビテーションを切り、空力のみでの離陸を行い、一通りの動作を確認して着陸する。

 成功すればこれを元にして制御装置を作り、更に機体の細部を変更して第二のマギア・ワイバーンを作り上げる事が出来る。

 最高速度にリミットを掛け、急旋回などでのブラックアウトなどに対応するためのフライトスーツを作り、以前の戦闘機の環境に似せて色々と追加していった。

 結果、対Gスーツの機能を果たしつつ、全身の筋力補助の為の魔力筋スーツが開発された。


 全身の任意の場所を締め付けることが出来、さらに高負荷時にも手足をまともに動かせるように薄くした魔力筋が元々の筋力を補助する。


 人族がマギア・ワイバーンに乗るという土台が揃いつつあり、その最後の段階に近づいてきているのだ。

 形状は元のワイバーンに近いものとなり、魔導エンジンは1基減って2基に。

 独特のデザインだったエンジンを本体から離した形状はある程度引き継がれ、様々な状況に対応するためのポッド装備を変更できるようにというギミックは残された。


 万が一パイロットが気を失うなどした場合、レビテーションが発動して一定高度を保ち飛行する。

 速度は格段に落ちるが、安全に着陸が可能となる。

 当然障害物が有る場合には高度を上げる。


『……いい調子だ。これくらいなら人族でもまともに扱えるはずだ』

『データはちゃんと届いてるよ、コンラッド。微調整した機体はどう?』

『問題ない。信じられないほどにスムーズに動かせる……』

『じゃあ、コンラッド専用装備の方もテストするよ。同期して』


 既に人の身体ではないコンラッドの肉体は、このワイバーンと一体化し、そのものになって飛ぶ事が出来る。

 つまり……擬似的にテンペストと同じような動かし方が可能となる。

 魔導騎兵の技術を元にしたこのシステムは、今のところコンラッドやギアズなどのような人の身体ではない者しか使えない。

 というのも、このモードに入ってしまえばリミッターは解除され、殆ど自分が思ったように飛ぶ事が出来る代わりに搭乗しているパイロットの肉体は破壊される。

 肉体の強化が必須の物だ。


『くっそ……いつやっても慣れねぇなぁこの視野の広さ……』

『全方位見えてるからね。あまり感じたくない視覚だけどまあ……頑張って?』

『へいへい。簡単に言ってくれる……』


 同期すると同時に周囲全ての映像が頭のなかに流れ込んでくる。

 それだけではなく、方位、レーダー情報、火気管制など全ての機体に関する情報などが全てまとめて打ち込まれる感覚。

 一時的に脳がおかしくなるんじゃないかと思うような不快感が過ぎると、今度は逆に全てを見通すことの出来る全能感が襲ってくる。


『成功だ。もうちょっと気持ちよく同期できないのか?』

『無茶言わないでよ。感覚を強化するってのはそういうことでしょ?じゃ、とりあえずフルコースで行くよ。はい、メニュー1から5まで全力で!』

『メニュー1、開始する!……ぬあぁぁぁぁ!!』


 ……フラフラになったコンラッドが戻ってきたのは更に数時間後のことだった。

 肉体は魔力で動いているのに、身体が重い。

 疲れなど知らないはずなのに、疲れている時と同じようにだるい。


「おつかれさん」

『どうだ……今日はついに自分の足で戻ってきたぞ……』

「そだね。おめでとう、これで新型を作れるよ」

『てめぇな、何時間もぶっ続けで試験させやがって!どんだけきっついか知らねぇだろ!?』


 頭と身体が上手くリンクしていないかのような不自由さがある。

 そうでなくとも戦闘機のパイロットというものは飛んでるだけでも物凄い運動量となる。

 常に負荷がかかった状態にさらされているのだから当然だろう。


 戦闘機動というよりも曲芸に近い限界ギリギリのものを、何時間もぶっつづけてやるということが異常なのだ。

 これも早く仕上げたいというものと、コンラッドの身体なら耐えられるという条件があったからの無茶だったわけだが……人工的に作られた身体は耐えられているようだったが、頭……と言うか魂そのものに軽くダメージが入っていたのは予想外だった。

 ダメージなのか生前の肉体の模倣なのかは分からないが、本当に疲れたかのように振る舞っているのだ。最初はそんなはずないでしょ、と切り捨てていたものの……あの様子を見ると本当のようだ。


「まあまあ、おかげで全て順調っていうのが分かったしね?次は新しい機体が出来るのを待ってもらうから、その間はゆっくり休めるよ?顔の方もそろそろ出来上がるはずだし」

『それは助かる……。とりあえず俺はもう休むぞ!』

「その前に報告書と身体のメンテナンス受けてからねー。その後は休んで良いよ」

『ちくしょう!』


 だからと言って扱いが特に変わるというわけでもなかった。

 実際、文句は言っているが別に反抗しているわけでもないし、本気で怒ってるわけでもない。

 ちょっと休めば大体ケロッとした顔をしてくだらない話をその辺の人にしているのだ。


「さて……ボクはまだまだ休めないなぁ。ゲルト!機体が冷えたら早速始めよう!」

「おお!いつでも良いぞ!設計通りに仕上げてやらぁ」


 滑走路脇に併設されているドッグにワイバーンを引っ張っていき、整備の指揮を取っているゲルトに渡す。いつも通りに野太い声を返すドワーフの親方は技術者として、安心してワイバーンを任せられる人物だ。


「マギア・ワイバーンの方も整備は終わったぞ。塗り直しもしたし新しくエンジン内部にコーティングしたからしばらく持つぞ。中身の方はフンベルトに任せてる」

「そういやフンベルトは?」

「あいつは自分の研究室に戻ったぞ。なにか伝えることがあるなら聞いておくが?」

「そだね、じゃあ新しい機体に乗せるゴーレム脳を早く仕上げてって言っといて。機体の変更はすぐ終わるでしょ?」

「まあな。ならやれるところからやっちまうか……」


 マギア・ワイバーンは使用頻度が低いため何度でもチェックをしている。

 そして仮止めしていたパーツなどを完成品と交換したりなど。

 今回はレビテーション用のユニットと、ステルス用のユニットを換装した。


 今のところ魔導騎兵は一々地上の研究室へと回されているが、将来的にはもう一つドッグを作って滑走路上でも出来るようにする予定だ。


 コンラッドによる改良の裏ではパイロット……ハイランドでは正式に竜騎士として呼ぶことにし、これを養成している最中だ。

 マギア・ワイバーンに乗れるとあって当然のように応募数は膨れ上がったが、最終的に残ったのは30名。ここからさらに絞られる。

 残念ながらドワーフは全員落ちたようだ。やはり性格的に向いていないらしい。


 体力テストや適性検査、そして健康チェック。様々な関門を突破し、更に座学などでいろいろな知識を学ぶ。

 流石に元ハンター等も居るため方角や空間把握能力は高く、判断力もいい。

 しかし学問となると……やはり難しいのだった。一から学び直すという覚悟があるものだけがこうして残った。


 後はさらに進み具合によって5~10名程を残す。


「竜騎士隊が出来るようになれば……面白いことになるよね」

「そうなると嬢ちゃんが隊長か?」

「どうだろ?テンペストはあまりそういうの興味なさそうだし、恐らく行動に制限かかるとか言う理由で辞退しそうだけど」

「ちげぇねぇ」


 ロジャーは一旦そのまま研究室へと戻り、簡単な食事を取りながら次の計画のための書類を書いていく。


「……新型の機体、名前何にしよ……」


 意外なところで躓くロジャーだった。


 □□□□□□□


「これは……美味しいです!」

『おお、ならこれはどうだ?』

「こちらはりんごの酸味とはちみつの甘さが後を引きます。ここは素晴らしいです」


 小さく切り分けられたお菓子を食べて、満足げな表情で購入するものを決めていくテンペスト。

 一定額払うことで幾つかのお菓子を切り分けてもらって試食できるシステムだった。

 見た目にも派手なものもあれば、シンプルなのになんとも言えず複雑で甘美な味わいをするものもある。


 それらを真剣に、でも楽しそうに選んでいくテンペストは完全に普通の女の子だった。

 ニールに見せる顔以外で、皆が見ている前でこの様な顔をする時には今のところお菓子を食べる時が多い。

 後はカストラにつれてきたヴァルトルの店、煌での料理だろう。


「なんというか……生き生きとしていますね、テンペスト」

『うむ。嬉しそうなテンペストを見るのはこちらもなんだか嬉しくなってくるな。何処か冷めた子だと思っておったがなかなかどうしていい顔をするではないか』

「……ギアズは孫が生まれた爺さんそのものになっていますね……」


 表情があったらニコニコとした好々爺の顔がそこに有るだろうと、誰が見ても予想できそうなくらいだ。ついに孫を得るという幸せの形の味を占めたようだ。

 もう、こうなったら止められまい。

 2人をほっといてサイラスは店の外へと出る。


 ……と。


「どいてくれ!!」


 そんな声とともに例の鳥が物凄い速度で駆けてくる。

 騎乗しているのは兵士のようだ。

 後から集団も付いて来ている様子が見えた。


 突然のことに店に居た人達も外に出てきている。いつもあることではないようだ。


「サイラス、あれは急ぎの用件のようです。何か起きたのかもしれません」

『店員に聞いたが大事のようだぞ。戻ったほうが良いかもしれん』


 買い物袋をパンパンに膨らませたテンペストが出てきた。

 丁度精算を終えたところで騒ぎが起きたため、店員に何のことか聞いたらしい。

 滅多なことではあのような早駆けは出てこないという。

 嫌な予感がして、即座に城へと戻る事にする。


 ……城に戻ると門番も慌てた様子だった。

 早くこちらへ!と急かされ中へと入ると昼の間は開いていた門が閉められた。


「……これは……戦争でも起きたかもしれませんね」

「私たちはどうなるのでしょう?」

『ここから出られなくなる可能性はあるな。しかしそれにしても間の悪い!』

「とりあえず部屋へ。恐らく向こうでも何かしら動いているでしょう」


 屋敷へと向かうが、既に場内は兵士が集められて物々しい雰囲気になっている。

 飛竜達も集められている。明らかにただ事ではない。

 テンペスト達の姿を見つけた使用人たちが、すぐに案内を初めて広間へと移動させられた。


 広間には既に全員揃っているようで、サイモン達を見つけてそこへ合流する。


「大丈夫だったか?」

「こちらは問題ありません。何があったのですか?」

「いや、俺達も分からん。いきなり招集されてここに集められたんでな」


 コリー達は完全に何が起きているのかわからないままのようだ。

 外の状況を把握できていない。

 早駆けを見て、今外では兵士たちが集められている事を伝えると驚いていた。


「本当か?それは」

「ええ。今ここに入る前に見たので。大規模な戦闘が起きていると思いますが……少なくともこの帝都ではありません」

「司祭が絡んでると思うか?」

「……現時点ではなんとも」


 司祭……ディノスは今日も会議に出席していたそうだ。

 やはり無理な事を通そうとしてきたりで色々と面倒くさかったらしいが、恐らくこの一報が入った時にすぐに立ち上がって退出していったという。

 その後、話し合いをしている場合ではなくなった、という皇帝の言葉によって中断され今に至る。


 隠密の方も突然のことで何も掴めていないらしく、分かっているのはテンペストと同じ事まで。

 とりあえず帝国側の発表を待つしか無い。


 と、俄に前方が騒がしくなった。


「静粛に、……遠く、海の向こうから我が帝国と手を結ぶために来てくれた友たちよ。残念なことに今回の話し合いは締結を待たずして中断せざるを得なくなってしまった。現在、我が国は攻撃を受けている。既に主要な都市が一つ堕ち、これから戦いが始まる。ついては安全のために一度この国より退去していただきたい。諸君らを留め、何かあったとすれば面目が立たないと皇帝陛下は判断した」


 折角の機会だったのだがやはり攻撃を受けているようだ。

 ディノスはすぐに前線へと急ぎ引き返したと言うことだったので、英雄の居ない内にという感じで攻められたのかもしれない。

 しかし、この場ではただの想像でしかない。


 ここまでの航海を無事に切り抜けた君達ならば、もう一度来れるだろう……という事で結構友好的に事は進んでいたようだっただけに非常に惜しい。

 ディノスの事を除けば今のところこの帝国は友好的に接してくれていると思う。出来ればこのまま切り抜けて欲しいところだが。


 皇帝の代理人が避難開始を言い渡すと、使用人たちが集まってきてそれぞれの部屋について荷物をテキパキと纏めていく。

 テンペスト達のところは少ないので逆に驚かれてしまった。


「まさか、こういう形でこの国を去ることになるとは……」

「話し合いの方はどのような感じだったのですか?」

「皇帝はかなり話がわかる方だ。ものの先を見据えて話を出来る。……その分厄介でも有るわけだが……。こちらの国のことも色々興味が出たようで、食料品や嗜好品、鉱石を中心に色々と取引できそうだったんだがね」


 ちなみに技術に関してはやはり待ったがかかったそうだ。

 お互いにまだ信用する前にそこまでの情報の開示は危険だろう、という流れになりディノスは少々不機嫌そうだったとか。


「流石に皇帝の前でがなりたてるような真似はしなかったが。……元々の人物像を聞いていると自分勝手で人の意見を聞くようには思えん、余計にディノスに関しては本人かどうかが分からなくなったな」

「どの道もう一人の英雄でも出てこない限りは、ディノスを……もしくはその後ろにモンク司祭が居ると考えて置かなければならないでしょう。……調査は、ここまでですか?」


 国外への退去を命じられているのだ。それに反することは出来ない。

 それも好意的な意味で被害が出る前に逃げろ、と言ってくれている。


「仕方あるまい。どの道会議が終われば帰ることになる。今回は……どうしようもないだろう」

「んー……介入……は無理だもんね」

「協力を依頼されているならともかく、第三国が介入して碌な事になるとは思えない。ここは引くしか無いだろう……。それに、次はサイラスの船で来れるのだろう?」

「ええ、そうですね。既に建造が始まっていますよ!リヴァイアサン以上のものを作るつもりです。それこそあの海流に負けない程度には。……途中で出会ったあの魔物達への対策も盛り込むつもりですよ。自分の物だからこそ自重するつもりは一切ありません」


 次に来る時には個人的にということになるだろう。

 国を代表してと言うよりは、主にモンク司祭を追う為に。

 その時には壁の中へは入れないだろうが、それなりに自由が効くだろう。

 ただし、それがいつになるのかは……分からない。


「これよりメールの港へ向かってもらいます。あなた方の乗ってきた船へは連絡するよう伝えてありますので、こちらが到着する頃には入港しているでしょう」


 どうやらポートキャスへは戻らず、最短で海に出られる港へと案内するらしい。

 既にポートキャスへの連絡は済んでいるということだから、海から回ると近いということだろうか。

 メールという港街は大体3日ほどで到着するということなので、素早く脱出するには最適なのだろう。


「……おかしくない?」

「何がだ?」

「ポートキャスまで僕達凄い時間かかるはずじゃない?何でもう連絡ついてるの?」

「そりゃぁ俺達みたいに連絡取るための道具くらいあるだろ」

「でも、それなら城に直接そういう連絡も来るんじゃないの?緊急事態なんだし」

「確かに……」


 まだ説明が続いているが、ニールの疑問も最もだった。

 最速で連絡をつける事が出来るはずなのに、何故できなかったのか。

 しかし実際にはテンペスト達が見たとおりに早駆けによる伝令だ。

 遅い連絡手段など取るわけがない。


「もしかして……連絡取る暇すら無く一気に食い破られた……か?」

「敵、メッチャクチャ強いってことじゃないの、それ」

「今のところはあいつが英雄として居る。それに賭けるしかねぇか……。なんか気に入らねぇな」


 倒さなければならない人物に、この国をなんとか守って欲しいと思ってしまう。

 自分達が手出しできないのならば仕方がないが……それでも今はまだ、彼は英雄だ。


「くそ、他国ってのがこんな面倒くせぇとはな」

「コーブルクやルーベルとは違うからね。どうしようもないか……」

「とにかく今はリヴァイアサンに辿り着くのが先でしょう。こちらからも連絡しておきます。……移動が始まるみたいです。オルトロスへ行きましょう」


 ここに来る時の護衛とは比べ物にならない規模の兵士たちに囲まれ、常に飛竜が上空を哨戒飛行する中、テンペスト達はメールへ向けて動き始めた。



帝都の水瓶終了のお知らせ

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