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閑話 巫女さん

「はぁ〜、なんであんなに暗くて冷たい心を抱えているの?」


流雨を見送った赤い巫女服に身を包んだ巫女さんはひとりごちる。流雨の心の中は、例えるならば、氷点下の海の中を一人さまよっているようなもの。暗く、冷たく、そこが見えない。


「姉様。どうかしました?」


「ん?ううん、なんでもない」


青い巫女さんが、赤い巫女さんに話しかける。青い巫女さんの問いかけに、赤い巫女さんは、一瞬暗い顔をするが、直ぐに頭を振る。


「ごめんなさい。姉様に辛いことばかり押し付けて」


「いいのよ。いつもは貴女たちにやってもらっているんだから。この時くらいはやらないと、ね?」


緑色の巫女さんが、心配そうな顔で、赤い巫女さんを見つめる。赤い巫女さんは、方目を瞑って舌を出す。


「その分、事務仕事を任せてばかりではないですか。しかも、私達は一心四体。直接見ているよりはマシとは言いましても、感じていることには変わりないのです。さらに、あの暗く冷たい心を直接見ているのです。姉様が受けている心の負担は、かなりのもののはずです」


「はぁ、貴女はいつも真面目ね。ほら!肩の力を抜いて」


「あ、はい」


黄色の巫女さんの肩を、赤い巫女さんが叩く。黄色の巫女さんの言っていることは最もだ。巫女さん四人は一心四体。直接みているわけではないとはいえ、どんな心をしているかくらいは伝わってくる。赤い巫女さんは、この四人の中で一番上。なにかあったときには赤い巫女さんが責任を取らなければならない。その重圧と、何もしなくても流れ込んでくる対象の心の中。その二つを常時耐えなければならない。さらに、今回の流雨の心の中。赤い巫女さんは既に限界にいるだろう。


「あー、疲れちゃった。私は先に帰ってるわね」


「はい、お疲れ様でした」


赤い巫女さんは、神社に戻って行った。











「まったく、姉様は。いつも無茶ばかりして」


神社の中のソファーに、赤い巫女さんが横になって寝息を立てていた。黄色の巫女さんは、毛布を赤い巫女さんにかける。


「やれやれ、ですね。私達をもっと頼ってくれれば、いいのですけれど」


黄色の巫女さんは、呆れたようにいう。しかし、その顔はものいいとは違い、赤い巫女さんを見つめ、微笑んでいた。













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