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第四十話 巫女の試練〜冬華side〜

流雨ちゃん達と分かれたあと、私は《身鏡の間》という建物に案内された。その後、中央に置いてある椅子に勧められるまま、座ったんだけど、それから巫女さんは目を閉じている。心がどうのっていってたけど、流雨ちゃん以外に心の中を見られるのは、少し不満。


「冬華様。流雨様のことを、どう思っていますか?」


「好きだけど」


目を開いた巫女さんが、開口一番そう聞いた。別に恥ずかしいことでもないし、素直に答えたら、巫女さんがなぜか苦笑していた。


「雫様も同じように即答していましたけれど、冬華様もですか」


「そうだね。別に恥ずかしいことでもないし」


「そうですか。それならばなぜ、ご自分の想いを伝えないのですか?」


「雫ちゃんがなにをいっていたのか、巫女さんは理解してるんだね」


雫様もって言ってたから、なにかどっかでつながってるんだろう。


「ああ、ええ。私達は一心四体、みたいなものですから」


「うーん、じゃあ、こう言ってもわかるかな。多分雫ちゃんと同じ理由だと思うよ」


雫ちゃんは、流雨ちゃんを困らせたくないって言ったんだと思うし、好きな人を困らせたくないのは、誰だって同じだろう。


「そうですか。まあ、お気持ちはわかります」


「私って、あまり最初にうだうだ言われたり聞かれたりするのって嫌いなの。単刀直入に言ってくれない?私の試練はなに?」


「……かないませんね」


巫女さんは、私の不機嫌そうな声に、肩をすくめた。


「では、単刀直入に言います。試練はありません」


「……え?」


ない?試練がないってどういうこと?


「正確には、終わっているんです。流雨様のおかげで」


「あ、そう」


なんだ、流雨ちゃんもう済ませちゃったんだ。さすがだね。


「冬華様は本当に、流雨様が冬華様の想いを伝えられたら、困るとお思いですか?」


「なんとも思ってない相手から、いきなり告白されても困るだけでしょ?巫女さんだってそうじゃない?」


「ですが、流雨様は……「困るよ。流雨ちゃん、優しいから」……」


前に、流雨ちゃんに告白した女の子がいた。今までに一人だけ、流雨ちゃんの外見だけじゃなく、流雨ちゃんの全てを好きな女の子が。その子は、私と雫ちゃんが流雨ちゃんのそばにいるのに、勇気を振り絞って、流雨ちゃんに告白した。本当にいい子だった。流雨ちゃんは、その子のことを好きでもないのに、二日丸々、告白されたことについて考えていた。その女の子をふったとき、女の子が悲しそうな顔をしているのを見て、流雨ちゃんもとても悲しそうな顔をしていた。

流雨ちゃんはその女の子とは初対面だったからそれだけで済んだけど、私は違う。雫ちゃんほどじゃないけど、それなりに流雨ちゃんとは付き合いが長い。そんな私に、いきなり告白されたら、流雨ちゃんはきっと悩む。流雨ちゃんは優しいから。そんな優しさにつけこみたくない。


「ええまあ、確かに悩むでしょう。ですが、それは流雨様が、冬華様のことをなんとも思っていなかった場合の話です。もし、冬華様が流雨様に想いを伝えたとしても、冬華様が忌避していることにはならないと思いますよ?」


「……ありがとうって言っておくね」


巫女さんにお礼を言って、流雨ちゃんが待っている宿屋へ、急いだ。













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