第21話:黒幕との対峙と“愛と狂気の演舞”
そこは、
崩壊しかけた古い神殿のような場所だった。
歪んだ柱。
剥がれ落ちた大理石。
床には禍々しい紋章が刻まれ、
瘴気がそこから湧き立っていた。
(……ここが……)
胸の魔力紋が、
また静かに脈打った。
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「――リゼット様」
優しくて、
甘くて、
壊れてしまいそうな声が響いた。
神殿の奥。
そこに立っていたのは、
例の黒いローブの人物――黒幕。
フードを外すと、
整った顔立ちの男だった。
冷たいのに、どこか慈愛を滲ませた瞳。
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「やっと、ここまで来てくれたのですね。
愛しい、愛しいリゼット様……」
「や……やめて……!」
思わず身を竦めると、
黒幕はゆっくりと歩み寄ってきた。
「見てください、その極薄密着のPSU。
もはや肌と一体化し、
羞恥も快楽も、その脈動も、
全部、私に見せてくれる。」
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「……黙れ!!」
レイナが私の前に立ちはだかった。
杖を構え、目を細めて睨みつける。
「この子に近づくな。
……これ以上、リゼットを弄ぶな!!」
でも黒幕は、
嬉しそうに、陶酔したように笑った。
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「弄んでいる……?
違いますよ、レイナ様。
私は、リゼット様を心の底から愛しているのです。
その羞恥に頬を染め、
震える魔力紋を抱え、
それでも必死に誰かを守ろうとする姿――
それが、
この世のどんな神話よりも、
どんな芸術よりも、
崇高なのです。」
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「ふざけるな!!」
レイナが杖を振ると、
雷光が黒幕を襲った。
でも、その光は
彼の身体に触れる前に、
黒い花弁のように散って消えた。
「……っ……!」
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「レイナ様。
貴女もきっと、分かっているでしょう?」
黒幕は穏やかな声で続ける。
「リゼット様のこの羞恥は、
ただの快楽ではない。
生きている証。
命が脈動するからこそ、恥じらう。
だから美しいのです。
……だからこそ、愛おしい。」
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「私だけに、それを見せてください。
その心臓の音も、
震える声も、
潤んだ瞳も――
全部、私のものに。」
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「やだ……やだ……っ……」
脚が震えた。
でも、
その後ろからレイナが抱きしめる。
「違う。
この子は私の――
私たちの仲間よ!
あんたなんかに渡さない!!」
レイナの声が少し震えていた。
でもその腕は、すごく強かった。
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「……レイナさん……」
私の声は、
ひどく掠れていた。
(どうしよう……)
羞恥で息が詰まる。
快楽が胸を締め付ける。
でも同時に、
絶対に負けたくない気持ちがあった。
黒幕とレイナ。
二つの愛に引き裂かれそうになりながら、
胸の魔力紋がまた熱く脈動した。




