第18話:世界の崩壊と新たな決意の萌芽
街が――
壊れていく。
石造りの壁が音を立てて崩れ、
大通りが割れ、
人々の悲鳴が夜の空に突き刺さる。
魔核獣が溢れ出していた。
瘴気が地面から溢れ、
黒い煙のように街を這い、
人々の肌に触れた瞬間、
その身体は灰のように砕け散る。
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「やだ……やだやだ……!」
私は叫んだ。
胸の魔力紋が、また脈打つ。
でもそれはもう、
人を救うための輝きじゃなく、
私がこの街を壊している証みたいで――
「全部……私のせいだ……!
一点突破なんか……しなければ……!」
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「リゼット!」
レイナが私の腕を強く掴んだ。
その瞳が、必死だった。
「……あなたがいなければ、
もっと早くにこの街は死んでた!
あなたがいたから、みんな少しでも生きられたのよ!」
「……でも……でも……」
「たとえ全部黒幕の掌の上だったとしても!
私たちがあなたを信じたことまで、
全部茶番だったなんて、絶対にさせない!」
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レイナの声が震えていた。
それは初めて見る顔で、
私の胸の奥がギュッと痛んだ。
「レイナさん……」
その瞬間、足元の地面が崩れ、
私たちは瓦礫の中に投げ出された。
肺に土煙が詰まる。
息が苦しくて、
視界がぼやけて、
その中でレイナが私を庇うように覆い被さっていた。
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「……や……やめて……!
レイナさんまで……!」
「ばか。
一人で抱え込むんじゃないの。
私たちは――一緒でしょう?」
「……っ……!」
レイナの頬が汚れたまま笑った。
その笑顔が、どうしようもなく綺麗だった。
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その時だった。
あちこちに逃げ込んでいた仲間たちが、
一人、また一人と私の周りに駆け寄ってきた。
「リゼット!まだ立てるか!?」
「お前が諦めたら、俺たちはどうすりゃいいんだよ!」
「お前の一点突破に、何度助けられたと思ってる!」
泣きながら叫ぶ仲間の声。
それが私の中で絡み合って、
また胸の魔力紋が、小さく脈を打った。
(……まだ、終わりじゃない……)
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「……私……まだ……」
息を整えるように、
一度、大きく呼吸をした。
極薄のPSUが、
心臓の音に合わせてまた赤く光る。
「……まだ……立てる……!」
レイナが、安堵したように目を細めた。
その手がまた私の腕を掴む。
「じゃあ、一緒に行きましょう。
――最後まで。」




