第6話 闇の宴の契り
~演技と真実の狭間で燃える愛~
「何で…桃子さん…!」
壇上からゆっくりと降りてきた鉄也の声は、怒りと悲しみが入り混じり、震えていた。
赤い瞳が彼女だけを射抜く。
「敵陣にたった一人で乗り込むなんて…正気じゃない!
こんな状況では、俺には君を庇う術などない…まさに自殺行為だ!!」
彼の言葉に応える間もなく、周囲の闇の戦士や取り巻きたちの怒号が嵐のように渦巻いた!
「生意気な正義の味方め!」
「ブラック様を誑かす気か!?殺せ!殺してしまえ!!」
「いや、死ぬより酷い目に遭わせてやれ!!」
殺気が渦巻く中、鉄也は歯を食いしばって桃子の前に立った。
(まずい…このままでは皆が彼女に襲いかかる…。彼女だけは絶対に…何があっても守らなければ…!)
彼は桃子の目の前まで歩み寄り、低く囁いた。
「桃子さん…本当に無茶苦茶だ…。昔から君だけは、どんな時も命に代えても守りたかったのに…。
こんな形で再会するなんて…」
その時、傍らにいた同種の美女たちが妖しく笑いながら前に進み出る。
「ふふっ、ブラック様、お怒りはごもっとも♡」
「こんな抵抗する価値もない小娘など、総帥様自らが犯して玩具にしてしまいましょうよ!」
「そうすれば我らも納得できますわ~!」
「なっ…何だと!?」
鉄也の全身に闘気が迸り、瞬間殺意が迸った。
だが次の瞬間――
桃子が真っ直ぐに彼を見上げ、頬を染めて小さく、だけどはっきりと呟いた。
「…鉄也さんになら…いいよ…。」
「っ…!!」
その言葉が鉄也の心を貫いた。
(これしかないのか…。こうすることで、彼女を皆の手から守れるなら…。
これはあくまで…皆を欺くための演技なんだ…!)
決意を固めた鉄也は、次の瞬間、がらりと態度を変えた。
冷徹な笑みを浮かべると、桃子の細い腰を強引に掴み、自分の胸元へと引き寄せる。
「ふん…そういうことなら、望み通りにしてやる!!」
ガチッと音を立てて仮面を外し、彼は彼女の唇を激しく奪った。
周囲からどよめきが上がる中、彼は演技でありながら、長年秘め続けた想いをぶつけるように、何度も深く重ねていく。
――二人の心は同じことを思っていた。
(こんな状況じゃなかったら…普通に平和な時に出会って、俺たちは…きっと誰に邪魔されることもなく、自然に結ばれていたのだろうか…)
そんな切ない思いを胸に秘めながら、鉄也は強引に彼女の衣をはだけさせ、宴の真っ只中で彼女の身体を貪るように抱いた。
だがその手つきは、外から見れば荒々しくも――桃子にだけはわかった。
触れる肌のぬくもり、抱きしめる腕の力加減、吐息の優しさ…どこまでも彼らしい愛情に満ちていることを。
「んっ…あっ…鉄也さん…!」
周りの視線も怒号も、いつしか二人の世界から遠く消えていく。
彼の熱い肌に触れるたび、桃子の身体は内側から火がついたように熱く火照り、甘い痺れが全身を駆け巡った。
目の前に大勢がいるというのに、彼の存在だけを感じて、何度も何度も絶頂の波に打ち震えた。
「桃子…!!」
鉄也もまた、演技の枠を超えて、抑えきれない想いのまま彼女を抱きしめ続けた。
長年心に秘めた愛が、悲しみも絶望も全て溶かし尽くすように、闇の中で激しく燃え上がった。
何度も重ね合い、二人は互いの体温と鼓動を魂に刻み込んでいった――
宴の闇の中、危機を超えて結ばれた二人。
この夜が、運命を大きく変える始まりになるとは、まだ誰も知らなかった――




