最終話 闇夜の奇跡
~永遠の約束、果たされて~
あの決戦から、数週間が過ぎた。
世界は嘘の歴史が正され、闇の民も安らぎを得て、穏やかな日々が戻りつつあった。
だが桃沢桃子の心には、鉄也との別れの痛みが今も深く刻まれていた。
夜更け、一人であの城跡を訪れた彼女の耳に――
カツ…カツ… と、ゆっくりとした足音が闇夜に響いた。
風でもない、幻聴でもない。
そのリズム、響き…忘れるはずもない懐かしさが、彼女の全身を貫いた。
(この足音…まさか…)
桃子は息を呑み、ゆっくりと振り返る。
月明かりが、闇の彼方から歩み寄る男の姿を照らし出す。
漆黒の髪、かつてと同じ面立ち…だが肌の紋様は柔らかく輝き、瞳は元の黒色に戻っていた。
戦士でも総帥でもない、ただの一人の男――黒金鉄也が、そこに立っていた。
「桃子…。」
低く優しい、あの愛しい声が闇を切り裂く。
彼は柔らかく微笑み、両手を広げて告げた。
「迎えに来たよ。」
「っ…!鉄也さん…!!」
桃子は走り出し、彼の胸に全身で飛び込んだ。
何度も何度も名前を呼び、頬を濡らす涙が彼の胸元にこぼれ落ちる。
「生きていたの…!?約束通り…本当に迎えに来てくれたの…!」
鉄也は彼女を強く、優しく抱きしめ、髪に口づける。
「ああ…ブラックホールの闇の奥で、命の核が俺を守ってくれた。
光と闇の力が溶け合って、新たな命を授けてくれたんだ。
約束しただろ?いつまでも愛してる…必ず君を見つけるって。」
彼の瞳には、もう悲しみはない。
ただ、永遠に変わらぬ愛だけが輝いていた。
「これからはもう別れない。
来世なんて待たなくていい…この世界で、ずっと君と共に生きていく。」
月明かりのもと、二人は長い長い口づけを交わす。
遠くから仲間たちの笑い声が聞こえ、風が優しく祝福の歌を運んでくる。
正義と闇、死と別れを超えて――
二人の永遠の愛の物語は、こうして幸せに幕を閉じた…




