お兄様と結婚式と 2
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そんなこんなでぐったりしながら家に帰って、次の日。
結婚式を五日後に控えて、わたしは朝からお母様に振り回されていた。
お兄様はお兄様で、お父様と一緒にあれこれと忙しそうよ。
結婚式を終えたら、次の日に新婚旅行に出発だから、それの準備とかも大変みたい。
夏休みの期間を最大限利用して目いっぱい楽しんでおいでって言われてるから、移動を含めて一か月以上の旅行になるのよね~。
「ねえマリアちゃん~。結婚式のあとのパーティーだけど、三着目はママとお揃いにしない~?」
お母様、ドレスは決まったはずなのに、ここに来て変更を入れようとしていますね。
お友達に、娘の結婚パーティーのときにお揃いのドレスを着たと聞いたお母様は、同じことをしたくなった模様ですよ。
「いいですけど、今から変更を入れて大丈夫なんですか」
「それは大丈夫よ。もう手配かけてるもの」
手配済みってお母様、わたしがダメって言ったらどうするつもりだったのかしらね。
まあ、結婚準備は全面的にお母様に丸投げしちゃってたから、そのくらいの希望は叶えますけどね。
貴族の結婚式は家同士のつながりだから、嫁ぎ先や生家がほとんどの準備をするものだけど、わたしの場合は他家に嫁ぐわけじゃないから、お母様が一人で取り仕切ってくれたのよね。
しかも結婚が決まってから式までが早かったからとっても大変だったと思うわ。
「……お母様、いろいろ手配してくれて、ありがとうございました」
「あら、なあに、改まって」
「大変だっただろうなって思って」
「まあ慌ただしかったのは本当だけど、楽しかったわよ~。やっぱりいいわね、結婚式って。わたくしもパパともう一回結婚式をあげたくなってきたわ」
「それは……やめてください」
同じカップルで結婚式を二回あげるとか、滅茶苦茶注目されて冷やかされますから!
まあ、うちの両親はいくつになっても仲がいいわよね。
「ああ、そうそう、結婚式だけどね? 王家からは国王陛下夫妻と、ルーカス王子殿下、ブリギッテ王女殿下が出席されるそうよ」
え? ルーカス殿下も来るの?
それはちょっと意外だったわ。
ブリギッテは来ると思っていたけど、ルーカス殿下はわたしのことが好きじゃないし、あんなことがあったから気まずいと思っていたんだけど。
「ふふふ、公爵家の結婚式と言っても、王族がこんなにも来てくださるのは珍しいわよね」
あらお母様、鼻高々ね。
まあ、派手好きのお母様だから、注目を集めるのは万々歳なんでしょう。
……でも、ついに結婚式か~。
お兄様は、わたしと契約結婚して、本当にいいのかしら?
最後に聞いてみたい気もしたけど、もうここまで来たら止まらない。
もうすぐ、わたしはお兄様と夫婦になる。
悪役令嬢になるのを回避するために選んだことだけど、今となっては、これが正しい道だったのかはわからない。
でも、お兄様やお父様、お母様まで巻き込んでしまったんだから、突き進むしかないよね!
そして、絶対に断罪はされないようにする!
わたしの断罪に、お父様やお母様、お兄様が巻き込まれないようにするの。
それが最大の家族孝行になるって、信じるしかないでしょ!
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