結婚準備 4
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「マリア、大丈夫かい?」
ドレスの試着と、靴と装飾品の確認を終えて、わたしがあまりにぐったりしていたからか、お母様から休憩の許可をいただいた。
わたしがダイニングに避難してお茶とお菓子をもらっていると、お兄様が苦笑しながらやって来た。
お兄様は先に招待客リストの確認と、招待状へのサイン入れをしていたようだ。
「お兄様、マリアは生まれてくる性別を間違った気がしています」
「また突然おかしなことを言い出したものだね」
だって、結婚式の準備が大変すぎるんだもん!
お兄様がわたしの隣に座って、よしよしと頭を撫でて慰めてくれる。
「でも、今日と明日が終わったら、ほとんどの確認作業が片付くと母上が言っていたよ。確認が終わればあとは母上の方で進めてくれるみたいだから、当日までマリアがすることはほとんどないよ?」
「だといいんですけど。……あ! お兄様、新婚旅行の話聞きましたよ! 新婚旅行ってなんですか! わたし、聞いていないんですけど」
「何って、結婚したんだから新婚旅行はつきものだろう? せっかく夏だし、海沿いのリゾートがいいんじゃないかと思っているんだが、どう思う?」
お兄様、すっかり行く前提で話を進めてきましたね。
行かないの選択肢は端から存在していないんでしょうね。
まあ、わたしも旅行は嫌いじゃないし、海沿いのリゾートと聞けばワクワクドキドキするけど、ここで頷いたら負けのような気がしなくもない。
……でも、嫌だって言ったところで無駄だと思うし、結局折れるしかないのよね~。
新婚旅行として考えなければ、お兄様との旅行は面白そうだし。
海にもしばらく行っていないから、楽しみと言えば楽しみだ。
「わかりました。海沿いのリゾートでいいですよ。楽しそうですし」
「そう。じゃあ、宿泊先はこちらで手配しておくね?」
「はい、お願いします」
そんな面倒くさそうなことは、もちろんお兄様に丸投げだ。
ドレスの試着で疲れ果てたから、これ以上余計な仕事を増やされるのは勘弁だもんね。
それに、わたしに予約なんてさせたら、きっと日付を間違えるとか宿泊先を間違えるとか、必ず何かポカをやらかしそうだから、しっかり者のお兄様に任せた方がいい。
ふはははは、わたしは自分がいかにポンコツかっていうことを熟知していますからね!
って、自慢にもならないけど!
「わかった。じゃあこちらで進めておくから、マリアは母上の相手を頼むよ」
「…………かわってくださってもいいんですよ?」
「何言ってるんだい? 花嫁の支度の邪魔をするほど、私は無粋ではないよ。それにこれから出かけるところがあってね。夕方には戻るから、いい子にしてるんだよ」
わたしは結婚準備から逃げたかったのでお兄様のお出かけについて行きたくなったけど、そんなことをしたらお母様が大激怒しそうなので諦める。
お兄様がダイニングから出て行ったあと、のんびりケーキを食べていたら、遠くから「マリアちゃ~ん」とお母様の呼ぶ声がした。
……え~、もう少し休憩させてほしいんですけど、ダメなんですか? ダメなんですね!
わたしはカクンとうなだれると、急いでケーキを食べ終えて、お母様の元に向かったのだった。
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