結婚準備 1
お気に入り登録、評価などありがとうございます!
「なるほど! 光魔法は、風や水などの魔法と、そもそもの原理が違うんですね!」
ニコラウス先生、興奮中。
ニコラウス先生は資格持ちではないためハイライドと直接話ができないからわたしが仲介しているんだけど、もう、最初から興奮状態よ。
わたしはただハイライドの言ったことをそのまま伝えているだけなのに、興奮しすぎてわたしの肩をガクガク揺さぶる始末だもんね。
お兄様もアレクサンダー様も、ニコラウス先生がまさかここまで興奮するとは思っていなかったみたいで、唖然としていた。
……せめてもの救いは、日曜日だから学園の中にはほかに生徒がほとんどいないってことね。
特別に生徒指導室を開けてもらって、そこでニコラウス先生とハイライドを会わせたんだけど、ハイライドはニコラウス先生の勢いにすっかり押されてわたしの髪の中に隠れている。
「おい、こいつ、やばくないか?」
……うん、気持ちはわかるわ、ハイライド。
今にもハイライドを捕まえて解剖しそうな勢いだもんね。
ニコラウス先生にもアレクサンダー様にも、もちろんお兄様にも、ハイライドはただのカナリアにしか見えない。
だからわたしの髪の中に隠れていても何も思わないのかもしれないけど、わたしの目には翅の生えた人の姿――ついでにイケメン――に見えるから、髪の中に隠れられるとちょっとドキドキするんだけど、出て行けって言ったって出て行かないでしょうねえ。
一通り光魔法の原理についてハイライドに質問したニコラウス先生は、せわしなくメモを取りながら、「ところで」と話題を変えた。
「光の妖精は、皆鳥の姿をしているんですか?」
「え? どうなんでしょう……。ハイライド、資格持ちじゃない人には、妖精はみんな鳥に見えるの?」
この問いかけが、まずかった。
ニコラウス先生がくわっと目を見開いて、がしっとわたしの肩を掴む。
「マリアさん! 資格持ちじゃない人とはどういうことですか? マリアさんには、ここにいる妖精……ハイライドが、違う姿に見えているということですね⁉」
うっかり極まるとはこのことである。
余計な情報を提供してしまったがために、ニコラウス先生の興奮に再び火がついた。
そこから先は、もう大変だった。
わたしにはハイライドが人の姿に見えると言えば、お兄様とアレクサンダー様まで過剰反応して、ニコラウス先生には似顔絵を描いてほしいと意味不明なことを言われ……。
勢いに押されて似顔絵を描いたら、わたしのあまりにお粗末な絵心に、ハイライドが「俺はこんな顔ではないぞ‼」と怒り出し、お兄様からは憐れんだ目を向けられて、アレクサンダー様はなんとも目を逸らし、あの優しいニコラウス先生にまで残念な子を見るような目で見られたわ。
そのあとは、お兄様とアレクサンダー様が女子寮にハイライドを置いておいていいのかとまた意味のわからないことを言い出して、そんな二人に構わず、ニコラウス先生はぶつぶつ言いながら書いたメモをまとめはじめてもうカオス‼
せっかくの休日だって言うのに、昨日と言い今日と言い、わたしはぐったりと疲れ果ててしまったというわけよ。
ブックマークや下の☆☆☆☆☆にて評価いただけると嬉しいですヾ(≧▽≦)ノ