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156.刺激的な11日目の朝…と痛恨のミス

まだ日も登り始めたぐらいに目覚めた俺。

いつもより早い時間だというのに、とてもすっきり爽やかな目覚めだ。

理由は言うまでもない。


満足した。

大満足でした。

とても美味しゅうございました。


マグのおねだり通り、最初にいきなり激しいキスのメインディッシュ。

思う存分堪能したのち、トロトロになった彼女に今度は甘々なフレンチキス。

なでなでとぎゅ〜もつけてのデザートちゅっちゅ。


しっかり味わい尽くし、最後に1つおやすみのキスをしておしまい。


はぁ〜…ごちそうさまでした♡


…マグは目を覚ましていないようだ。

ふふふ…疲れちゃったかな?

昨夜(ゆうべ)はお楽しみでしたからね♡


さてさて…いつまでもこの余韻に浸っていたいところだが、残念ながら今朝はやることがある。


俺は隣で幸せそうに眠るメリーちゃんに微笑み、軽く一撫でしてから布団を出る。


手早く支度を済ませ、動きやすい運動着に着替えた俺は、身体強化を使いメリーちゃんを抱っこ。


起きた時に誰もいないのは寂しいからな。

とはいえ…誰の元に運ぼうか……。


普通に考えりゃフルールさんなんだが……フルールさんは家事のために早く起きる。

それだとあまり意味がない。

ならば、メイカさんかユーリさんだが……。


ん〜…懐いてるのはユーリさんだし、ユーリさんのところにお届けしよう。


早速ユーリさんの部屋へと向かう俺。

そこで気付く。


鍵かかってるんじゃね?と。

昨日は普通に解散したし、俺たち以外はみんなバラバラで眠ったはずなので、普通に考えれば鍵がかかってる。


あかん、考えてなかった。

未だにマグとの甘々な時間にぐへへしてた。


だがなんとなくユーリさんの部屋の扉に手をかけると、普通に開いた。


…鍵かけなよユーリさん……。

いくら信頼してるからって、男の人と同じ屋根の下なんだからさぁ……。

無用心すぎるよ……。


まぁ今はそれに助けられたようなもんなので何も言わない。

代わりに扉を少し開けて、中の様子を(うかが)う。


灯りはついておらず、カーテンも閉め切っているため少し見辛いが、どうやらまだ眠っているようだ。

布団がこんもりしている。


流石に無言で女性の部屋に入るのは躊躇われたので、一言声をかけてから入室する。


「ユーリさん…?…お邪魔しま〜す…」


返事は返ってこなかった。

俺は足元に注意しながら、静かにベッドへと向かう。


ベッドへと辿り着いた俺は、早速メリーちゃんを忍び込ませるべく布団を(めく)る。


「っ!?」


俺は素早く布団を戻した。

ユーリさんの服が捲れて、豊かなお山が解放されていたからだ。


びっっくりした……!

だが、冷静に考えればお風呂で見てるし、なんなら触ったりもっと凄いことされてるし、今更見えたぐらいで取り乱すのも情けない。


……いやなんでブラ付けてないんだ?

まさか昨日風呂あがってからずっと?

寝るとき邪魔とかはよく本とテレビで見たり聞いたりしたことあるけどさ……。


…ふぅ〜……よし。


一息ついた俺は、再び布団を捲り、メリーちゃんをササッと布団に入れて布団をかける。


ミッションコンプリート。


はい。

慣れるもんじゃありませんでした。

むしろ触ったときの感触を覚えてる分余計にドキドキしました。


ほんっと無防備だよこの狐さんは……。

よく今まで襲われなかったよ……。

あとで説教だな。


まぁ何にせよ、メリーちゃんは納品したので、サッサと出かけるか……。


そう思って(きびす)を返した俺の腕をガッと掴む者がいた。


「!?」

「…おはよう、コウスケ♪」


ユーリさんである。


「お、おはようございます……すみません、起こしちゃいましたか?」

「誰かが部屋に入ってきた気配がしたからね。そしたらあなたがメリーちゃんを抱っこしてたから……」

「静かに寝たふりをしてくれたんですね」

「うん。…でもちょっとだけ驚いた顔が見たかったから、服を捲っといたけどね」

「確信犯かよ」


何やってんだこの狐っ子は。


「…ユーリさん本当に俺のこと男だと思ってます?」

「思ってる思ってる♪」

「じゃあそういうことやめてくださいよ……」


なんで知ってるのにそういうことするの?

痴女なの?


「だって…慌てる姿が可愛いんだもん♡」

「そりゃあマグの姿なんですから可愛いに決まってるでしょうよ」

「わぁ、ごちそうさま♪」


ユーリさんは楽しそうにころころと笑っている。


「…ユーリさん…そういうことしてるとほんとに襲われますよ……?」

「大丈夫大丈夫♪こんなの他の人にやるわけないよ〜♪」

「俺も男だっつってんですよ?」

「それこそ大丈夫だよ。コウスケはマーガレットや私が嫌がるようなことはしないでしょ?」


ユーリさんはまだまだ楽しそうに笑う。


……マグを美味しくいただいたことで発散したはずの欲がまたムクムクと育ち始める。


ただし、マグに向けた甘いものではなく、少し濃い目の…あまり友人に向けてはいけないようなものが……。


「…ユーリさん。俺毎日我慢するの辛いんですよ……?」

「?我慢って?」

「毎日毎日ユーリさんやメイカさん…他の女の子にくっつかれて、ぷにぷにの肌を感じたり、体を好き放題弄られたり……とても青少年には辛いんです」

「う、うん…?」


俺はメリーちゃんを踏まないようにベッドの端の部分に回り込んでからベッドに乗って、ユーリさんへと近づいていく。


「コ、コウスケ……?」

「寮に着いても、ユーリさんにメイカさんにフルールさんにメリーちゃんがぴっとり……メリーちゃんはまだ可愛いもんですけど、あなたたちはもう心も体も大人でしょう?それを毎日毎日ふにふに押し付けられて、お姉さん風吹かせて弄る……そんなの普通の男は耐えられませんよ……?」

「コ、コウスケ…なんか怖いよ……?」

「怒ってますからね……まぁそれだけではないですけど……」


ユーリさんは後退りするが、ベッドは壁際。

すぐに壁に到達し、俺に近づかれるのを待つだけとなる。


そんなユーリさんに容赦なく、ゆっくりと近づきながら話す。


「俺散々言いましたよね……?男だって……ユーリさんだって男に襲われるのは嫌でしょう?初めて会った日、付き纏っていたあの男に物凄い嫌悪感を抱いていたでしょう?」

「あっ…う、うん……それはそうだけど……」

「けど?俺なら絶対にそんなことしないって?甘いですよユーリさん。チョロ甘です。男は例え草食系だろうと狼ですよ?むしろ草食系の方が我慢する分、爆発力はエグいと思います」

「そ、草食……?」

「そういうことに消極的な人のことですよ。俺もそういうのはマグの手前ずっと我慢してましたけど……いい加減限界です」


ユーリさんは抵抗することなくただただ俺のことを見つめる。

そんな彼女に覆い被さり、ユーリさんの目を真っ直ぐ見つめながら、彼女の脇腹辺りをツツツっと指で撫でる。


「ひぁっ!?」

「ほら…男に体を触られてますよ?でも安心してください。傷付ける気はさらさらありませんので。ただこうやって……」


スィ〜っと…


「んぅっ!…ふぅ…ふぅ…!」

「撫でるだけなので。ほら…ここも」


俺はユーリさんのお腹をさする。


「ふぁっ…♡コウスケぇ…!待ってぇ……!そ…こは…ダメぇ……!」

「ユーリさん……」


俺は彼女のお腹をさすりながら、先ほどからピンと張って戻らない彼女の狐耳の側に顔を近づけ囁いた。


「あんまり大きい声出すと…メリーちゃんが起きますよ…?」

「っ!?」


咄嗟に自由な両手で自分の口を塞ぐユーリさん。


…その手で俺を退ければいいのに……。

判断力が落ちているのか、マグの体を傷付けまいという心遣いか……。

…まぁ今はどちらでもいいか。


「…ユーリさん……それじゃあ無防備ですよ…?」

「〜〜っ!」


彼女のお腹をむにむに。

筋肉質な体は、触っててちょっと楽しい。


しかし今は急がねばならない。


俺はお腹を撫でていた手を上に…ユーリさんの体をなぞりながら顔へと登らせる。


「っ!コ、コウスケぇ……」


そうすると、自然とユーリさんのお胸へと向かうことになる。

彼女は今仰向けなので、彼女のお胸は重力に逆らえずにそれぞれ左右に広がっている。


「…いつも自分から当ててるのに…恥ずかしいんですか…?」

「それは……えっと……!」


俺は言い淀む彼女の山と山の間に指を進ませる。


「〜〜〜〜っ!♡」


必死に声を抑えるユーリさん。


うん…可愛い…♡


そうして俺の手がユーリさんの顔まで上がってきた。

そのままユーリさんの首筋を撫で、頬に手を添える。


「〜っ!…はぁ…はぁ……コウスケ……?」

「…抵抗しないんですね」

「ふぇ…?」

「くすっ…今のユーリさん…凄くえっちですよ…♡」

「〜〜〜っ!!」


カーッとただでさえ赤かった顔をさらに赤くするユーリさん。


そんなユーリさんを見つめながら、俺は仕上げにかかる。


「ねぇ…ユーリさん……今…俺の手がユーリさんのほっぺたに添えられてますよね…?」

「う、うん……」

「…これ…何をしようとしてるか……分かりますか……?」

「なに…を…?………っ!」


おや…気付いたようだ。


「ま、ま、まさか……ちゅ、ちゅちゅちゅ…!ちゅーっ!?」

「あら可愛い。そうですねぇ、ちゅーの体勢ですねぇ…♪」

「ま、ままって!待って!そ、そういうのは…す、好きな人同士が……そう!好きな人!ほ、ほら!コウスケが他の人とちゅー…キスするなんて、マーガレットが許さないんじゃない!?」


ようやくそのことを突いてきたか……。

もう少し早くに言われるもんだと思ってたけど……よっぽど取り乱してるんだな……。


というかちゅーって言うのが恥ずかしくなったのか、キスって言い直したな……。

可愛らしいことで。


「確かにユーリさんの言うことは正しいです」

「あっ…じゃ、じゃあ……ね…?」


なんかちょっと間があったような……?ふむ……?

…まぁいいか。


「でもマグは俺にハーレムを作ってほしいみたいで……」

「えぇ!?」

「だからむしろ積極的に女の子と関係を持った方がいい感じらしくて……」

「えぇ〜……?」


だよねぇ……そうなるよねぇ……。


「…まぁ…うん……そういうわけなんでユーリさん。目を閉じなさい」

「閉じなさい!?」

「俺とちゅっちゅしようぜ」

「さっきまでの雰囲気はどこへ!?」


雰囲気とな?

はっはっはっ…どっか言っちゃった☆


「まぁ最初から本気じゃないですし、別にいいんですけどね」

「えっ!?ほ、本気じゃなかったの!?」

「そりゃまぁ…いきなり襲うとか普通にやばいですからね」


本当はキス寸前でやめて、油断するのは駄目なことだと教え込もうとしたんだけど……。

まぁいいやな!


「ユーリさんも男の人の恐ろしさを実感しましたでしょう?」

「えっ…えっ…?ちょ…ちょっと待って…?じゃ、じゃあ我慢が出来ないとかなんとかも演技ってこと…?」

「いえ、全部本心ですよ?」

「ふぇ…?で、でも…キスするとかしないとか……」

「キスするなんて一言も言ってませんよ?」

「えっ……?」

「確かにキスの体勢ですねぇ、とは言いましたけど、するなんて言ってませんから」

「………た…確かに……!」


ユーリさん本当に冷静じゃなかったんだなぁ……。

まぁ友達にいきなり襲われるなんて脳がフリーズしてもおかしくはないやなぁ。


…もうちょっとからかってみよう。


「ユーリさん」

「むぅ……なぁに…?」

「…キス…したかったですか?」

「ふぁっ!?」

「ふふふふ…ユーリさん可愛い…♡」

「あっ……むぅぅ〜っ!!意地悪ぅぅ〜っ!!」

「いつもからかってくるお返しですよ〜♪」


毎日毎日俺の理性を削りやがってこの野郎ってな。

少しは俺の辛さを知れば良いのだよ♪


「ではでは、俺は昨日の子たちに会いに行くので、メリーちゃんのことお願いしま〜す♪」

「あっこらっ!んも〜っ!気を付けてねっ!」

「くすっ♪…ありがとうございます♪いってきます」

「いってらっしゃいっ!」


ぷ〜い、とそっぽを向きながらも、身を案じてくれるユーリさんを微笑ましく思いつつ、俺は彼女の部屋から出ていく。

1階に降りて、誰もいないリビングを通りキッチンへ向かい、そこで水を飲んで一服した後…


「…やらかしたぁ……!」


後悔した。


「くっそぉ……ここまで頑張って積み上げてきた信頼がパァだよぉ……!もうユーリさんと普通に話せないかもぉ……!下手したらこの寮から出てっちゃうかもぉ…!」


まだマグを美味しくいただいた昂りが残ってたのかぁ……?

だからってユーリさんに手を出すとこだったなんてぇ……!


…ユーリさんにはあぁ言ったけど、あのままだったら寸止めもできたか怪しかった……。

頭の中がピンクに染まっていって、フリのつもりが本気で手を出しかねないぐらい俺も冷静さを失ってた……。


ユーリさんの反応が一々色っぽくて、攻めているはずの俺の方も余裕がなくなってしまった……。


うぅ……今まではマグがいるんだからっていうのも理性を保たせる1つの柱だったのに、それが無くなったどころか理性を削る要因になってしまったからなぁ……!


だからっていきなりユーリさん襲うかよ普通……!?

さっきまでマグとイチャコラしてたのに、目覚めてちょっと経ったらユーリさんに迫ってたとか……最低野郎じゃないか!?節操なしっ!


マグと話してたときはあんなにハーレムに対して消極的だったのに、少しからかわれたらすぐに乗って、マグとの話を免罪符に使うなんて……はぁ……。


やっぱりハーレムなんて無理だよマグぅ……。

俺の心が持たないもん……。

相手がいたとしてもこれじゃあ駄目だろうよ……。


でもそんなことより今大切なのは、ユーリさんがどう思ってるかだよぉ!


絶対大丈夫だって、それを利用してからかってくるのはアレとしても、その信頼を裏切るなんて……うぅ…最悪だぁ……!


ほんとにユーリさんが寮から出るなんて言ったらどうしよう……!?

せっかく仲良くなれたのにそんなことになったら、心が死ぬしみんなにも申し訳なさすぎてやっぱり心が死ぬっ!


謝るべきか……?

でも最後丸く収まった感じで部屋出てきちゃったし……謝るならさっきのうちに謝るべきだろうしぃ……うわぁぁ…やらかしたぁぁ……!!


…今ならまだ間に合うか……?

思いっきりいってきますの挨拶しちゃって、そっぽ向かれながらもいってらっしゃいを貰っちまったけど……。


…って、もうこんな時間!?

いつも起きるぐらいの時間が近くなってるじゃないか!?

これじゃあ何のために早起きしたのか分からないよ!


あぁぁ…でもユーリさんがぁ……でもエリーゼとフレデリカがぁ……!

ど、どうしたらいいんだぁぁ……!!?


えーと…えーとぉ……差し迫ってるのはどちらも同じ……。

でもユーリさんは真面目な人だから、みんなに黙っていきなり居なくなるなんてことは無い……はず……!

ならばエリーゼたちを……あぁくそっ!

今更だけどエリーゼたちがどこに泊まってるのかとか、馬車には宿から直接乗るのかとかを知らないっ!

これじゃあ会えるかどうか分からないっ!


…やばい……最悪の想像しちゃった……。

ここで出かけて、エリーゼたちを見つけられなくて帰ってきて、そしたら机の上にユーリさんの書き置きがあって、寮から出ていっちゃう…って……。


あ…あぁぁ……あり得るぅ……!


どうしよう……どうしよう……!?

そうこうしてる間にも時間は減ってる……そろそろフルールさんが起きるはずだ……。

いっそフルールさんに相談……いやだからそれだと時間がぁ……!


…………こうなったらどっちもこなす……!


まずユーリさんに謝る。

時間が無いから簡潔なものになるけど、その分誠意を込めてしっかりと謝る!

そしてあとでお話を云々(うんぬん)言って、帰ってくるまでここにいてくれる確率を高める!

そしてダッシュで……東門!


最初俺たちが通ったのと同じところだ。

メイカさんやモーリッツさんは王都から来たみたいな話ぶりだったから、多分東門が王都への道なはず……。


くそっ!こんなことなら迷宮内の地図や魔物や採取物の資料ばっか見てないで、街の外の地図を見ておけばよかった!


だがとりあえずはこれで行く……!

物凄い作業感が溢れてて、相手にキチンと誠意が伝わるか怪しいし、人としてどうなの?とも思うが……行く…俺は行く!

これで行くっ!!


そう決めるや否や、俺はユーリさんの部屋へと静かに戻る。


その間俺は、どうすれば相手に誠意が伝わるかを必死に考えた。

相変わらずゆっくりできない家だなぁ……。


まぁそこは頑張ってもらうとして、次回の更新は5/1(土)の予定です!


お楽しみにー!

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