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114.8日目の予定…吸血鬼たちと一緒

本日2回目の食事はマグと交互に入れ替わりながら、メリーちゃんにあーんしまくりながら終わった。


疲れた。


しかもメイカさんが、俺とメリーちゃんとユーリさんの髪型が同じことにめざとく気づき、例によってテンション爆上がり後、昇天しかけたので、それを呼び戻すのにも疲れた。


兎にも角にも、その後満腹になったお腹をさすりながら、今日の予定を話し合う。


「嬢ちゃん。確か迷宮1階にある闘技場の個人練習室…とかいうのに行くんだっけか?」

「はい。その前にギルドでちょっとお話があるので、そっちが済んでからになりますけどね」

「ふ〜ん……それってどんなお話なの?」


すっかり回復したメイカさんが、ジト目で俺に聞いてくる。


…昨日の件があるからなぁ……。

ん〜…でも、今はユーリさんがいるからちょっとな……。


「それは後で話しますよ」

「…本当?」

「はい。約束です」

「…それならいいけど……」


ほっ……。

とりあえずこの場は凌いだか……。


「そのあとなんですが……ディッグさんたちは迷宮に潜るんですよね?」

「あぁ、ユーリ嬢ちゃんとも早いとこ連携が取れるようになっときたいしな。それがどうした?」

「いえ、お休みだったらコーチを頼みたかっただけです。なんでか私は1人で特訓するなと言われてるので…」

『妥当じゃない(か)?』

「あれ〜?」


俺そんな危なっかしい?

確かに昨日はオーバーキルかましたけども、その辺もちゃんと調整出来る様にするつもりだよ?

そんな危ないことなんて無いって。


くいくい


「……大丈夫」

「メリーちゃん…」


ほらぁ〜、メリーちゃんだってこう言って…


「……マーガレットは大丈夫」

「…メリーちゃん?」


なんか意味合いが理想と違う気がするんだけど?


「……マーガレットは、大丈夫」

「待ってメリーちゃん。諭すように言うのやめて?病気?病気なの?私ってば病を患ってるの?」

「……大丈夫」

「メリーちゃん!?」


なんでそんな温かな視線をよこすの!?

ねぇ!俺が何をしたの!?

俺の何が大丈夫なのっ!?


「まぁマーガレットが危なっかしいのはいつものことだとして」

「フルールさん?」

「誰かがついていないとなんでしょ?でも他のみんなは迷宮に潜る。誰か他に当ては無いの?」

「…一応チェルシーがついてくれるそうです」


まぁ当事者だし、歳も近いしで、人選としては妥当だよね。


「チェルシーちゃんかぁ。チェルシーちゃんって魔法はどのくらいなの?」

「それは見たわけじゃ無いので分からないんです」

「えぇ……。あ〜…でもそっかぁ……ん〜…あの時魔法を使ったのに気づかなかったんだよなぁ……」


あの時……?

メイカさんが言う、チェルシーが魔法を使ったあの時……?


(…あっそっか。コウスケさん、ほら、最初の日。コウスケさんがあの夢を見た時ですよ)

(うん?あの夢を見た時……あぁ…あれか……)


そういや、あの時チェルシーの目を見たら意識が遠のいたんだよな……。

そっか、あれ魔法だったわ。

夢の内容が濃くてちょっと忘れてたわ。


「う〜ん…まぁそういうことなら大丈夫かな……?」

「はい、ただ…チェルシーが来るのがいつも午後からなので、練習室に行くのはそれからになりますね」

「そうなの?なんで?」

「種族的な相性の問題ですね。チェルシーはあまり朝が得意では無いそうなので……」

「へぇ〜」


だからそれまでに用事を済ませとこうかな。

ハルキに俺とマグの魂を分けて、どうにか並んで歩けないか、とか、ジャージみたいな動きやすいやつ無い?って聞くとか。


あとは……教会にいるショコラちゃんたちの様子も気になるし、ちょっと覗いてみないかマグに聞いてみるか?


「ねぇ…それ、誰かがいれば良いのよね?」


と、そこでフルールさんが俺に聞いてくる。


「はい、そう聞いてます」

「なら、私たちがついて行ってもいいかしら?」

「えっ」


それはありがたい申し出だけど……


「良いんですか?」

「えぇ。いつも大体の家事が終わった後って本とかも無いし、魔法の練習もあんまり派手に出来ないし……それに献立を考えないといけないし、お買い物にも行かないとだし……」

「それ本当に良いんですか?」


めちゃくちゃ忙しそうなんだけど?


「まぁ…しばらくは昨日の残りがあるから、献立はそれに合わせた何かをちょいっとね。まさか手抜きなんて言わないでしょう?」

「とんでもない」


そんなん言えないよ。

チャーハンの素を使っても若干危ういところがあった俺が、いろんな料理を作ってくれるフルールさんにそんな偉そうなこと言えるはずがない。


少しだけだけどやってるから分かる。

料理って大変。


「ま、そういうわけだし、それにメリーも、どうせならマーガレットといたいでしょ?」

「……うん」

「ふむ…分かりました。それじゃあお願いします」

「えぇ、任せて」

「……♪」


というわけで、今日の予定は決まった。


ショコラちゃんには悪いが、また今度ゆっくり出来る時に行こうかな。


ちゃんとマグに聞いてからね。


…他の村人たちがちょっとねぇ……。

極限状態だったから、何かに噛みついてないと心が持たなかったとしても、マグとその両親を疑うのはね……。


…まぁいいさ。

どのみち、俺が結論づけることじゃないからな。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ある程度お腹も落ち着いてきた後、俺たちは全員で冒険者ギルドへ向かった。


フルールさんとメリーちゃんは前のゴシックドレスに日傘で日光ガード…なのだが、メリーちゃんが俺とフルールさんと手を繋ぎたそうにしていたので、今メリーちゃんの両手は俺たちの手で塞がっている。


そうすると日傘がさせないので、俺のもう片方の手にメリーちゃんの日傘が握られることに。

フルールさんの傘とぶつからないように、それでいてメリーちゃんに陽の光が当たらないよう隙間を作らないように日傘を差してあげる。


「……♫」


その甲斐あってか、メリーちゃんは上機嫌。

それを見て周りもにっこり。

とてもほのぼのとした通勤風景となった。


そのまま冒険者ギルドに着き、メイカさんたち冒険者組と別れた後、俺たちは受付へ向かう。


ちなみにフルールさんとメリーちゃんの美人親子はとても目立っていた。

特にフルールさんの美貌に男性のみならず、女性すら見惚れていた。


と、向かった受付口にはナタリアさんがいた。


「あれ?マーガレットちゃんだ。おはよう、今日はどうしたの?」

「おはようございます、ナタリアさん。これから闘技場の練習室に向かおうと思っているんですが、その報告と、あとララさんかリンゼさんにちょっとお話があって…」


ナタリアさんは俺のことは知らないし、ハルキのことも知らないだろうからな。

知ってる人に繋いでもらうのが確実だ。


「ふむふむ、分かった。ララさ〜ん!マーガレットちゃんが来ましたよ〜!」

「は〜い!ちょっと待ってね〜!」


ナタリアさんに呼んでもらい、俺たちは横にずれて後ろの人に譲る。


そこにララさんがやってきた。


「お待たせマーガレットちゃん。今日は…あら?あなた方は…」


やってきたララさんがフルールさんたちに気づく。

ん〜…お互い顔は知ってるだろうけど、話したことは無いからな。

ここは俺が…


「こうして話すのは初めてね。私はフルール、こっちが娘のメリーよ」

「あっ初めまして。私はララと申します。本日はどうされましたか?」


俺が口を開こうとするより先に、フルールさんがララさんに挨拶をした。


ついでに、フルールさんがメリーちゃんを娘と言ったとき、周りの人…8:2で男性の方が多いギャラリーたちが驚いたりがっかりしたり、三者三様の反応をした。

なるほど、釘を刺したな。


でも凄いよねフルールさん。

こんな見た目なのに俺と同じぐらいの子供がいるなんて思わないよな、普通。


「今日はマーガレットの付き添いよ。この子1人じゃ危なっかしいんでしょ?」

「えぇ、申し訳ございませんが…」

「いいのよ。私たちも同意見だから。あなたが言わなくてもマーガレットを1人にはしないわ」

「そうですか。そう言ってもらえると安心します」


俺の心は絶賛乱れ中なんですが?

なんでみんなそんな俺を危険視するん?


くいくい


「……大丈夫」

「ねぇ何が?それ本当に何に対して言ってるの?」

「……(ぐっ)」

「いやいやいやいや分からん分からん」


親指立てられても分からんて。

あとなんで頷いた?


(コウスケさんですからね!)

(そしてなんでマグは自慢げなの?)


自慢出来る要素無さそうなんだけど?


「それと、マーガレットが頼みがあるって言ってたから……ほら、マーガレット?」

「あい……こほん…。ちょっとですね……あの〜…上に、頼みたいことがあると言いますか……」

「上?ギルドマスター……あぁなるほどね。うん、どうぞ」

「ありがとうございます」


良かった伝わった。

ダンジョンマスターにお願いがある…なんてこんな公共の場で言えるはずが無いからね。


「えっ?上?ギルドマスターにお願い?どゆこと?」

「はい、ナタリアさんは目の前の方に集中してね〜」

「そんなぁ!?気になりますよぅ!」


隣で接客中のナタリアさんが会話に入ってきたが、ララさんが接客へと戻す。

ちなみにその応対されてた冒険者も俺らの会話が気になるようだ。


すまんな。トップシークレットだ。

気にしないでくれ。


「それではフルールさんたちはどうされますか?」

「そうね。上で待たせてもらおうかしら」

「かしこまりました。それではこちらへどうぞ」


ララさんに案内され、俺たちはカウンターの中に入り、2階へと向かう。


「うぅ…気になるぅ……!」

「あの〜……」

「あっ!は〜い、お待たせしました〜!」


頑張れナタリアさん。

でもこの事は言わないけどねナタリアさん。


さてさて、案内されたのは待合室。


「それではフルールさん、メリーちゃん、この部屋でお待ちください」

「ねぇ、私たちもダンジョンマスターと話したいのだけど」

「えっ!?そ、それは……」


フルールさんの唐突なお願いに、珍しく焦るララさん。


あ〜…そっか……。

あのとき勢い余って言っちゃったから知ってるんだった。


「すみませんララさん。フルールさんたちには実は言っちゃってて……」

「えっ!?そ、そうなんだ……。う〜ん…なら、問題無い…かな……?…ちなみに何をお話になるんですか……?」

「安心なさい。別に取る気は無いわよ」

「そっ!?そういうわけではなくてですね……!」


あらら……完全にフルールさんのペースだな……。


ララさんはフルールさんがハルキにそういう話をするんじゃないかと心配になったから聞いたんだろうけど……大丈夫だよ、ララさん。


「私はお礼を言いにきただけよ」

「お、お礼……?」

「…私たちに光をありがとう…ってね」


そこでフルールさんは俺を見る。


光…って、まさか俺のこと?

…ほとんどなんも出来てないよ?

メリーちゃんに懐かれてる理由も分からんし。


「…そういうことですか。申し訳ありません…早とちりを……」

「大丈夫よ……いえ、そうね。それなら、その堅苦しい話し方はやめてもらえるかしら?」


お、なるほど。


「!……はい、では……こんな感じでいい…かな?」

「……出来ればメイカぐらい気安い感じが良いんだけど……まぁ、あなたは真面目そうだからそれで良いわ」

「ありがとう」


まぁララさんは元から礼儀正しいからな。

それでも十分柔らかくなったと思うよ?


…メイカさんぐらい気安い感じって、褒めてるんだかないんだか……。


ま、いっか。


「それじゃあ、俺と行きますか」

「えぇ、そうね…って、その喋り方……ララは知ってるってことね」

「はい…じゃなくて…うん」

「そう。あぁでも、ハルキのことを知ってるんだから当然か」

「そういうことです。ララさんはハルキのお嫁さんなので」

「あぁ、やっぱり。その指輪とさっきのでそうだろうとは思ってたわ」

「おっ、さすがです」

「見てれば分かるわよ」


そうなぁ…ララさんハルキのこと好きすぎるもんなぁ。

ハルキの話になると、顔から体から幸せオーラ出るもんなぁ。

チェルシーとリンゼさんもそうだけど。


ちゃんと嫁全員を愛してるんだな。

偉いぞハルキ。

俺は一体誰目線で言っているのか。


くい


「……(じー)」

「うん?あぁごめん。行こっか」

「……(こくり)」


一向にハルキと話に行こうとしない俺たちに痺れを切らしたのか、メリーちゃんが無言で催促してくる。


メリーちゃん…やっぱり人見知りかな?

外にいる間ずっと俺とフルールさんの手を離さないし、俺たちが誰かと話しているとき、その相手の死角に移動しようとするし。


まぁメリーちゃんは普段からおとなしいからな。

それに冒険者の人たちって基本強面(こわもて)だし。


まぁとにかく行こう。


「それじゃあ、私は下に戻るね」

「はい、ありがとうございました」

「ありがと、ララ」

「ううん、また何かあったら言ってね、フルール。また後でね、マギーちゃん。メリーちゃんも」

「……(ひらひら)」


おっ、メリーちゃんがフルールさんの手を離してララさんに手を振っている。

…フルールさんの影に隠れながら。


それにララさんは優しく微笑み返し、手を振る。


その後、廊下に出てララさんと別れ、俺は2人を会議室の奥にある通信室へと案内する。


さぁて…何から話すかなぁ……。

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