111.お姉さん組の看病…突撃あなたのマイルーム
さて、メリーちゃんと手を繋ぎながら2階に上がったわけだが……どっちから起こすか……。
「メイカさん……いや、捕まったら抜け出せなくなる可能性が高いか……。フルールさんからにしようか」
「(こくり)……それがいい」
というわけでフルールさんの部屋の前に来ました。
早速空いてる手で扉をノックする。
「フルールさ〜ん」
…返事が無い。睡眠中のようだ。
だがその睡眠をぶち壊す。
「行くよメリーちゃん」
「……(こくり)」
「とつにゅ〜う!(小声)」
ガチャっと扉を開け部屋に入る。
…備え付けの家具以外には何も無い、寮のデフォルト部屋だ。
まぁ当然っちゃ当然だ。
フルールさんたちも貧相な布切れ1枚だけの状態だったんだから。
でもやっぱり寂しいなぁ……。
ぬいぐるみとかプレゼントしようかなぁ…って思ったけど俺の部屋も似たようなもんだった。
まず自分の部屋のインテリアを揃えろって言われそう。
まぁそれはともかく。
「フルールさん、起きてくださぁい」
「……」
呼び掛けても返事が無い。熟睡のようだ。
仕方がないので揺らしも入れて再度呼び掛ける。
「フルールさん。フルールさ〜ん」
「……ん………マーガレット……?」
「はい、おはようございますフルールさん」
うむ、起きた。
良かった良かった。
と、思ったのだが……
「ん〜………頭痛い……」
あ〜…こりゃ二日酔いですな……。
ケランさんの読みが大当たりだ。
「今日の朝はユーリさんがあっさり系スープを作ってくれましたよ」
「あっさり系……?そう…悪いわね……お客に家事を任せてしまって……」
「それは全くできない俺たちが言うべきセリフですよ。ほら、フルールさん。起きれますか?」
「ん〜……駄目…もうちょっと……」
ありゃ〜……大変だ……。
俺は酒を飲んだこと無いから分かんないけど、実際目の当たりにすると二日酔いって辛そうだなぁ……。
「あ〜…じゃあここに持ってきますよ。だから楽になるまで休んでてください」
「…悪いわね……それじゃあお言葉に甘えさせてもらうわ……」
「はい、お大事に」
「えぇ……」
……心配だなぁ……。
風邪とか病気のときとか弱ってるときって、無性に人恋しくなることあるからなぁ……。
本当はいてあげたいんだけど……。
う〜ん……。
「…メリーちゃん……」
「……ん、まかせて」
「ん…いいの?」
「……うん、ママといる」
「…メリー……」
メリーちゃんに頼もうとしたら、それを察した彼女に先を越されてしまった。
…やっぱ頭いいよこの子。
そんないい子は頭を撫でてあげよう。
「ありがと、メリーちゃん。それじゃあよろしくね。あとでスープ持ってくるから」
「……うん♪」
頭を撫でながらフルールさんを託し、俺は少し気になりながらも部屋を後にする。
大丈夫かなぁ……?
リバースしたりしないよなぁ……?
…何かあってもいいように、いつでも動けるようにしとこう……。
「さて…問題は……」
(メイカさん…ですね……)
マグと共に嫌な予感を抱きつつ、メイカさんの部屋の前まで来た。
だってあの人…普段でもたまに暴走するのに、二日酔い状態だとさらに甘えてきそうで……単純に大変そう。
まぁリバースしなきゃ役得…だとは思う。
メイカさん美人だし。
(コウスケさん…?)
おっと、さっさと行こうか。
「メイカさん、マーガレットです。起きてますか?」
俺は扉をノックして呼び掛けてみるが、返事は返ってこない。
なので、もう1度呼び掛けてみてから、俺は部屋に踏み込むことにする。
「メイカさん、起きてますか〜?…入りますよ〜?」
扉を開けて部屋の中を見た俺は、そのまま扉を閉める。
「……」
(……)
俺たちはちょっと考え込んでから、もう1度中の様子を見る。
扉の隙間から見えるメイカさんの部屋はごっちゃごちゃだった。
あっちこっちに服やアクセサリー、あと何かの薬の瓶とか何かの骨とかが散らばっている。
瓶が床にあるのはまずいだろ……中身入ってるやつもあるし……。
あと骨が転がってるってやだなぁ……ここは迷宮か?
…あのアクセサリーって、この前魔法の勉強をした時に持ってきてたやつじゃないか……?
魔法関係のやつだろ?お高いやつだろ?
その辺にほっといて良いの?
「これは…どうしようか……」
(う〜ん……まだ1週間でこの散らかり様じゃあ…今後もっと物が増えたら……)
「…やばいね……」
(やばいですね……)
う〜ん……足の踏み場が無いほどじゃない。
マグの言う通り、まだ1週間ぐらいだし、メイカさんたちはほとんど迷宮にいたからだ。
それでもこの散らかり様…しかも迷宮で取ってきたであろう素材がごろごろしているって……これほっといたらゴミ部屋になりかねないぞ……?
「…先にちょっとだけ片付けとくか……?」
(そうしましょう……下手したら踏みますよ……)
「そうだね……瓶だけでも上に避難させとこうか……」
骨は…どうしよう……端に寄せたこ。
んで本命の瓶を机の上に……アクセサリーが乗ってるなぁ……机の端に寄せとこ。
そうしてせっせと机の上に並べて、服もちょっと畳んで、下着は…さすがに管轄外…と思ったけど洗濯の手伝いとかした時に触ってるわ。畳んでほい。
それじゃあ起こすか。
俺がメイカさんを起こすためにベッドへ近づく…ここにも服があるが、うん……とりあえず起こそう。
そうしてメイカさんに呼びかけようとしたとき、俺は少し違和感を覚えた。
(コウスケさん?)
(…ねぇマグ……。メイカさんって昨日肩出しの服だったっけ……?)
(えっ…?)
そう、布団から肩まで出して寝るメイカさんのその肩に、服が見えなかった。
確か昨日メイカさんは肩を出さない服だったはずなんだけど……。
……嫌な…予感がする……。
「…メイカさん、朝ですよ〜…?」
「ん…ん〜……朝……?」
「はい、朝ですよ〜」
「ん〜……まだ眠い〜……頭痛い〜……」
「ユーリさんがスープを作ってくれてますよ」
「ユーリちゃんの手作りスープ……!食べたいぃ……でも頭痛いし体も怠いぃ……」
「あぁ〜……」
メイカさんも二日酔いだなぁ……。
「じゃあここに持ってきましょうか?」
「いいの……?ありがとう……」
…う〜ん…ここまで弱ってるメイカさんも珍しいなぁ……。
酒は飲んでも飲まれるな…だっけ?
…これは怖いなぁ……。
「では持ってきますね」
「うん……おねがい……」
俺はメイカさんの部屋を出てリビングに降りる。
と、そこにはディッグさんとケランさん、ユーリさんがスープと昨日の残り物を机に並べて、食事の準備をしていた。
「ディッグさん、おはようございます」
「おう、嬢ちゃん。おはようさん」
「昨日は後片付けを任せてしまってすみません」
「構わねぇよ。それより、昨日はちゃんと眠れたか?」
「はい、ぐっすりと」
「そりゃよかった」
嘘は言ってないから、ユーリさん。気まずそうな顔をするのはやめるんだ。
さすがに服着ないで寝たなんて恥ずかしいから。
追及されそうな雰囲気を出すんじゃない。
「あれ?メリーちゃんは?」
「フルールさんと一緒にいます。それでですね……お2人はやっぱり体調が優れないようなので、部屋までスープを持っていくって言ってきたので、2人分お願いします」
「ん、うん分かった。ちょっと待っててね」
「あっユーリさん。そこにトレイがあるので、よかったらどうぞ」
「ありがとうございますケランさん」
そうしてユーリさんに2人分よそってもらい、俺は再び2階へ上がる。
まずはフルールさん。
「メリーちゃ〜ん。スープ持ってきたから開けてくれる〜?」
両手が塞がってるので、中にあるはずのメリーちゃんに救援要請。
中からとてとてと可愛らしい音が近づいてきて、扉が開いた。
「ありがと、メリーちゃん」
「……ん」
「ちょっと待ってね。フルールさんにスープを渡さないと」
扉を開けたメリーちゃんにお礼を言い、俺はトレイを机に置いてから、フルールさんにスープを持っていく。
「はい、フルールさん。お待たせしました。体は起こせそうですか?」
「ん〜…なんとかね……だいぶ良くなってきたから……」
そう言いながら、のっそりと体を起こすフルールさん。
…まだ体は重そうだなぁ……。
「食べれそうですか…?」
「うん…食べれるけど……まだちょっと怠くて……」
ん〜…まぁまだそんなに経ってないからなぁ……。
よし、椅子を持ってこよう。
「?なにしてるの……?」
「いえ、フルールさんがキツそうなので……」
俺はスープをトレイに戻し、椅子をベッドの近くへ持っていく。
そしてまたスープを持ち、椅子に座ってフルールさんに言う。
「メリーちゃん、フルールさんに食べさせてあげてくれる?」
「……まかせて」
「ありがとう、メリー……」
「よろしくねメリーちゃん」
「……(ぐっ)」
おや、サムズアップなんてどこで覚えたんだい?かわいいな。
「それじゃあ私はメイカさんにも届けてきますので」
「えぇ…マーガレットも、ありがとうね……」
「いつもお世話になってるお返しですよ。お大事にどーぞ」
メリーちゃんに任せ、俺はスープをメイカさんのところへ届けるべく部屋を後にした。
お椀1つなら片手でも行けるな。
これなら大丈夫そうだ。
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〔フルール〕
マーガレットを見送り、部屋は再び私とメリーの2人だけになった。
ちょっと前まではこれが普通だった。
2人で生きていくと覚悟も決めた。
でも今は…2人でいることが少し寂しく感じてしまうようになった。
「…ねぇ、メリー」
「……?なぁに?」
スープの入った器を持った娘に話しかける。
この子も明るくなった。
少し前までは私とも喋ろうとしなかったのに。
いや、違うか……。
私が誰とも関わりを持とうとしなかったんだ。
そうするとこの子の話し相手がいなくなってしまう。
それじゃあこの子が誰とも喋らなくなるのも無理はない。
…嫌われても、不思議じゃない。
だから初めてマーガレットと…コウスケと会ったとき、この子が自分から話しかけに行って驚いた。
そして、マーガレットは普通の人間じゃなかった。
この子が何かを感じたのか、それとも単純に同年代の子が気になったのか……。
それは分からないけれど……。
「…メリーは、今の生活は楽しい?」
「……うん!」
娘のとびきりの笑顔が見れるようになったのだ。
昔のように、この屈託のない笑顔が見れるのがこんなにも幸せなことだったなんて……。
「そう…よかったわ」
「……ママは?」
「うん?」
「……ママは楽しい?」
「…えぇ、とっても…!」
「……ん♪」
…本当にいい笑顔……。
ありがとう…コウスケ…マーガレット…メイカ…ディッグ…ケラン……。
……あとハルキもね。
しばらく会ってないけど。
…今度お礼を言っておかないとね……。
「……ママ」
「ん…はいはい」
メリーが器をこちらに近づけてくる。
そうね。今は早く回復しないとね。
みんなに恩返しができないものね。
…でもね?メリー……。
器を押し付けて、直接飲ませようとするのはやめなさい……?
器に入ってるそのスプーンは飾りなの?
ちょっとストックが怪しく……いえ、まだいけます。
…でももしかしたら投稿遅れさせてもらうかも……。




