109.髪をセット…お揃いで!
ふふんふんっと♪
俺は今メリーちゃんの髪の毛を、昨日買ったクシで梳いております。
楽しいです。
買ったクシはサイズがちょいちょい違うので、メリーちゃんには1番ちんまい白いクシを使っております。
「……♪」
メリーちゃんも気持ち良さそうで何よりです。
俺、誰かの髪を梳いたこと無いんで不安だったのです。
良き良き。
「……♪」
鏡越しに見えるユーリさんも、なんだか楽しそうに微笑んでいる。
さっきなんか遠い目をしてたけど…大丈夫そうかな?
しかしあれだね……自分のベッドに女の子が座ってるって、男の子としてはちょっとドキドキしますな。
一緒に寝たから今更ではあるけどさ。
しかも俺、上が裸の状態で潜り込んだけどさ。
一般的な青少年には刺激が強すぎるぜ。
俺もマグがいなかったら危なかったかもだぜ。
(いいなぁ……)
マグさんや。
また…羨んでいるのかい……?
結局昨夜はマグに甘えられまくって、甘えさせようと決めていた俺をたじたじにさせるようなデレデレっぷりだったのに……まだ足りないと申すか……。
この甘えんぼさんめっ!
可愛いなまったくっ!
さてさて、そろそろメリーちゃんのサラサラ髪を綺麗なストレートに出来るわけだが……。
「メリーちゃん、せっかくだし髪型いじってみても良い?」
「……うん、いいよ」
「ありがと」
それじゃあどうしようかな〜?
う〜ん……ツイン…ポニー…サイドにおさげ……悩ましいな……。
…こういうときは本人の意思を確認しよう。
「メリーちゃんは何かこれが良いって要望はある?」
「……ん〜…」
俺の質問に考えこむメリーちゃん。
やがて鏡越しに俺を見つめ始め、口を開いた。
「……おそろいがいい」
「私と?」
「……うん(こくり)」
「ふむ……」
お揃い…お揃いかぁ……。
ん〜…今日は迷宮1階層の闘技場の訓練室を使って特訓の予定だから……昨日と同じく、動きやすくアップなポニーテールで行こうかな?
じゃあメリーちゃんもお揃いポニーで。
俺は引き出しからヘアゴムとリボンを取り出して、メリーちゃんに見せる。
「それじゃあメリーちゃん。この中から好きなの選んで?」
「……んー…これ」
「これね。んじゃ、失礼」
「……ん」
メリーちゃんが選んだのは水色のリボン。
うん、メリーちゃんの紫に合うんじゃないか?
早速ポニーテールにするべく髪をまとめる。
「痛かったら言ってね?」
「……ん」
と、言ったものの、そんな引っ張るわけも無し、すーっと優しく持ち上げて…えーっと……?
…片手じゃキツいか……?
いや、リボンの端っこを上手いこと持って…リボンに髪を乗せるように通して…よし、まとめ〜の……
「大丈夫?引っ張りすぎてない?」
「……大丈夫」
おけおけ。
ほいじゃあリボン結び〜の……いや待て…もうちょい左……ん〜…この辺かな……?
「ん…これで…よし…かな……?ユーリさんも見てくれませんか?」
「うん?いいよ〜」
俺だけじゃ不安なのでユーリさんにも見てもらう。
「ん〜…うん、大丈夫。変じゃないよ」
「良かった。それじゃあメリーちゃん、これで完成でございますよ〜」
「……おぉ…♫」
よしよし…ご満悦なようだ。
「じゃあ次はユーリさんですね」
「やった♪お願いしま〜す!」
ウキウキでメリーちゃんと場所を交代するユーリさん。
可愛らしい人だよホント。
俺は交代している間にクシをチェンジ。
んー…ユーリさんには……ブラウンのやつにしようかな。
買ってきた中で1番大きいやつ。
「それじゃあまずは髪を梳いていきますねぇ〜」
「は〜い♪」
てなわけで、鏡越しにメリーちゃんが見える中、ユーリさんの髪を梳き始める。
ふむ……やっぱり……。
ユーリさんの髪、最初の頃よりしっとりしてる。
やっぱ昨日のお風呂で、キューティクルを少し補充できたからだろうなぁ。
俺はぴこぴこ可愛く耳を動かしているユーリさんに話しかける。
「ユーリさん、ここのお風呂はどうでしたか?」
「凄かったよぉ……広いし見たことない物ばかりだし……それに、あんなにお湯が張ってあるのなんて、温泉以外で初めて見たよ……」
「おぉ、温泉ですか」
やっぱりあったんだな、温泉。
「知ってるの?」
「えぇ、お米が載ってた本に一緒に載ってました」
「へぇ〜。なんだか嬉しいなぁ…そうやって自分の国のことを知っててもらえるのって」
「ふふふ…それじゃあユーリさんには、私がこの街の良さを教えましょうかね」
「えへへ…やったぁ♪」
そんなお話をしている間に、無事にユーリさんの髪を梳き終えた。
さてさてそれじゃあユーリさんにも聞きましょう。
「では、ユーリさん。あなたは髪型のリクエストはありますか?」
「えっとねぇ……私もお揃いじゃあダメかなぁ……?」
「はい喜んでぇ!」
ダメなわけが無いんだよなぁ。
というわけで、ユーリさんに髪留めを選んでもらった結果、彼女は黒のリボンをチョイス。
早速メリーちゃんにしたように、ユーリさんの髪もポニーテールにする。
そしてこれまた同じように、メリーちゃんに確認の協力要請、結果はOK。
「どうですかユーリさん?」
「わぁっ!可愛い!ありがとうマーガレット!」
「どういたしまして」
ユーリさんも大満足なようだ。
うん、可愛い!
ユーリさんの銀髪に、黒いリボンが映えて良い感じ!
リボンも上手いこと結べたし、俺も満足のいく仕上がりでっせ!
「あっ!ねぇねぇマーガレット!」
「うん?どうしました?」
「マーガレットの髪は私が梳いて良い?」
おっ。
つまり髪の梳きあいっこというわけか。
断る理由が無え。
「いいですよ、お願いします」
「うん!任せて♪」
俺はユーリさんに使ったブラウンのクシを机に置き、昨日使った黒いクシを彼女に渡して場所を交代する。
椅子に座ると、鏡にはルンルン♪と楽しそうなユーリさんの姿と、やや膨れっ面のメリーちゃんが……
「って、どうしたのメリーちゃん?」
「えっ?あっほんとだ。メリーちゃん?」
「……(ぷく〜)」
俺らがメリーちゃんに話しかけるが、メリーちゃんはむくれるだけで答えてくれない。
う〜ん……?
どういうことだ……?
どうすれば良いか分からずに2人して首を捻っていると、マグがメリーちゃんと同じように拗ねた感じで教えてくれた。
(…羨ましいんじゃないですか?)
(羨ましい?でもメリーちゃんはもう…)
(そうですけど……でもメリーちゃんもコウスケさんに何かしてあげたいんだと思いますよ)
(ん……そういうものか……)
ん〜…そうかぁ……。
でも髪はユーリさんにしてもらうし……ん〜……
「…じゃあ…メリーちゃんはリボンを結んでくれる?」
「!……うん♪(こくり)」
当たった。すごい。
そうして無事解決したので、俺は鏡に向き直り、ユーリさんが髪を梳き始める。
その間に俺はマグに話しかける。
(マグの言う通りだったねぇ……)
(まぁ…えぇ…なんとなく分かりますから……)
拗ねてるねぇ……。
してほしいんだねぇ……。
このままでも可愛いけど、さすがにそれはかわいそうかな。
な・の・で……
(マグ)
(なんですか?)
(…今夜は何してほしい?)
今夜もマグの好きなようにしてあげよう。
と、思ったのだが……
(!……コウスケさん…そう言っておけば私が満足すると思ってませんか……?)
さすがマグ、察しが良い。
…でもなぁ……
(…ごめんね……他に出来そうなことが思いつかなくて……)
夢の中でしか触れ合えないから、俺がマグに何かしてあげられそうなのがそこしかないんだよね……。
面目無い……。
(あぅ……そんな気にしなくても…コウスケさんが頑張ってくれてるのは知ってますし、わがままを言っている自覚もありますから…謝らないでください……)
(うん……ちゃんと今日、ハルキに相談するからさ……)
(はい、分かってます…だから…その……えっと……)
…俺よりもマグの方が傷が深そうなんだけど……。
(…分かった。じゃあここは引き分け、ということで、ね?)
(えっと…でも……)
俺も大概だけど、マグもかなり気にしいだよね。
…なら、アプローチを変えようか。
(そっかぁ……でもこのままだと悲しいなぁ……)
(えっ?)
(あ〜あ、誰か俺を癒してくれるような明るくて優しくて礼儀正しくて、しかも甘やかしてくれる可愛い女の子、いないかなぁ〜)
(あっ…あっ…えっと……!)
(あっそうだ。昨日甘やかしたお礼に、ユーリさんに癒してもらおうかなぁ〜)
(えっ!だ、駄目っ!)
(ん〜?どうして〜?)
(えと…えと…!こ、ここに…その…あ、明るくて優しくて礼儀正しくて…そ、それにコウスケさんのことが大好きな女の子がいますよ!)
……いかん……それはさすがに照れる……。
(そ、そっかぁ…じゃあマグが甘やかしてくれるってことで良いのかな……?)
(は、はい……!あの…が、がんばりましゅ……ます……)
可愛すぎかよ……!
(えっと…じゃあ…お願いしようかな……?)
(は、はい……!)
…あぁ〜……顔あっつい……。
「? マーガレット?」
「んっ!?あっ…すみません…聞いてませんでした……」
やべぇ……集中しすぎた……。
危ねぇ危ねぇ……。
「いや、何も言ってないからいいけど……もしかしてマーガレット…そんなに眠れてないの……?」
「いえ…そういうわけでは……」
「本当……?メリーちゃんと2人なら楽々入れたのに、私が入っちゃってギリギリだったから……」
「いえいえ、私の方こそ優しさに包まれてる気がして安心して寝てましたので」
「そう?それならいいけど……」
まぁマグに甘えられまくって、心的には睡眠不足ではあるんだけどね。
ついでに甘えてくるマーガレットが俺の理性的にも危険なもんだったからその疲れもあるかもだけどね。
「……(じー)」
…メリーちゃんが何か言いたげにこちらを見つめてくるのを鏡越しに確認したが、見なかったことにしよう。
あいつらまたイチャついてるぜみたいなこと言われそうで怖いから。
「はい、髪の毛終わり。それじゃあメリーちゃん、よろしくね」
「……(こくり)」
そうこうしているうちに髪を梳き終わったようで、ユーリさんがメリーちゃんを呼ぶ。
「メリーちゃん、結び方は分かる?」
「……(ふるふる)」
「じゃあ教えてあげる。まずはマーガレットの首にリボンをかけて。髪の毛の下からね」
「……うん」
ユーリさんの指示に従い、メリーちゃんが俺の髪の毛の下からリボンを首にかける。
「そしたらそのリボンを両側から引っ張れば髪がリボンに乗るから、そうしたら片手にリボンの両側を持って、空いた手で髪を整えて」
「……んしょ…ん…こう?」
「うん、そう、そういう感じ。それであとは位置を気をつけながら結ぶの」
「……?」
「えっとねぇ…ちょっとメリーちゃんのリボン見せてねぇ……うん、分かった。そこをね……」
…なんか…凄くそわそわするというか、友達に髪を結ってもらうのって結構落ち着かないなぁ……。
嫌ってわけじゃなくて…こう…ほんとそわそわする。
どうなるのかっていうワクワクと、メリーちゃんたちが楽しそうで微笑ましいのと、2人の手や自分の髪の毛がちょいちょい首筋に触れてこそばゆいのとかがない混ぜになってるんかな……?多分。
「……出来た」
「うん、出来たね。マーガレット、どう?」
おっ、結い終わったらしい。
さてさて出来栄えは……?
「…おぉ!紛うこと無きお揃い!上手いねぇ!」
「……むふん♪」
おぉ、得意げだ。かわいいのう♪
「でしょでしょ!メリーちゃん要領が良いから、教えたら他の髪型もすぐ出来るようになるよ!」
「おぉ……凄いねぇ!」
「……むふん…」
あっ照れた。かわいいのう♪
撫でちゃえ。
「!……むふん…♪」
「あっ!いいなぁ!」
「それじゃあユーリさんも」
「わっ!…えへぇ…♫」
ユーリさんの頭にはちょっと届かないので、頬を撫で、そのまま顎の下へ移動…よく猫とかにやってるような感じで撫でてみた。
ユーリさんはちょっと驚いたが、すぐに嬉しそうな声を出してにへっと笑う。
…届かないからって頬撫でるは無いよなぁ……我ながら……。
ちょっとしゃがんでもらうとか、やりようあった気がするけどなぁ……。
しかも猫とかみたいにって…猫撫でたことねぇよ。テレビとか漫画とかで見ただけだからほぼ感覚でやってるよ。
そもそもユーリさん猫じゃなくて狐だよ。
まぁ子猫ちゃんではあるな。やかましいわ。
はぁ〜…勢いって怖いなぁ……。
「……♪〜」
「♫〜」
…まぁ…嬉しそうだからいいか。
(コウスケさんコウスケさん)
(どうしましたか?マグさんや)
(私もそれ、その顎をくいくいってするのしてほしいです!)
…ここにも子猫がおりましたか……。




