奏の能力
まず奏視点
癒吉 奏は多芸だ。
読唇術、情報の聞き分け、速読(覚えたて)、物事の分析力。
そして、輝に対しての読心術。
まるで聖徳太子の様だと、司に言われた事があったが、違うのだ。欲しい情報だけ選別しているだけなのだ。聖徳太子はどうだったか知らないけれど。
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
ー奏ー
「どうしてこうなった。何故一人だけ。」
「うーむ、弱いからじゃのう。」
あれから俺は一人だけクルシュと図書館に籠って魔法の勉強中でございます。
他の転移者の皆?ナニソレオイシイノ?ごめんなさいごめんなさい!
輝率いる転移者達は皆ダンジョンに向かった。
ただ、自分はステータス低すぎて....。
戦力外通知を受けた。仕方なし。だって皆よりステータス一桁低いのですよ?あり得んでしょう!
どうやら、この異世界の住民だとレベル1で30が平均値らしい。
それより遥かにクラスの皆は高いから。いきなりダンジョンで活躍出来るだろうとの事。
しかし、一般人よりも低いステータス故にダンジョン攻略に参加すらさせて貰えないらしい。なら、ダンジョン攻略組ではなく、後方支援...料理やら鍛冶屋やらやれば良いのでは?と思うかもしれない。
しかし、自分は職業がヒーラー。
この異世界では、回復という手段が乏しい。傷が塞がるのは基本的に自然回復のみだという。ヒールの魔法は皆使えないことも無いけれど、とても回力が低く、効率はかなり悪かったりする。
しかも自分限定でしか使えない。
時間があれば少しずつMPを回復しつつヒールで回復すれば良いけれど。戦闘中は無理だ。
攻撃にも使わなければならない。
そこで回復専門職なのだが。実は殆ど存在しない。生半可なヒーラーは戦闘で相手を倒す手段が乏しい為、レベルが上がらず殆ど戦闘には出ない。邪魔になってしまう。
前線ではそれほど希少な存在なのだ。...が。
「このステータスじゃあやっぱり連れてってもらえないよね!」
「うむ、そのステータスじゃあ由利子せんせん?も許可出来んじゃろうて。」
「由利子先生です。」
そんなこんなで前線には危険過ぎる自分はダンジョン参加を由利子先生に禁止され、クルシュはクルシュで希少故にヒーラーとして活躍出来ないものかと考案し、結果図書館で勉強中という事である。
「うーん!勉強でレベル上がればなぁ!」
「うむ。魔物を倒す以外効率的とは言えないのぉ!」
僕は手元の本を読んだ。
『経験値獲得とは
経験値獲得をする事によりレベルが上がり、ステータスを向上する事ができる。
経験値獲得方法
以下の順は効率が良い順に挙げるものとする。
1 .魔物を倒す。2.体を鍛える。または魔法を使う。3.年齢の上昇。以上である』
「つまり勉強して魔法を使いまくる以外お主にレベルアップの道はないのぉ。ただ、一レベル上げるだけで途方も無い時間が掛かるが。」
「せ、せめてオンラインゲームのようにパーティーで倒したら、パーティー内の人全員入るとかにして欲しい。」
「おんら?パーティー?」
「いや、何でもないです。」
げんなりして答えた。
こうして日中勉強して、クルシュ相手にヒールを使いまくる日々が決定している。
仲間外れは慣れてるけど。なんかさみしい。
さて、輝達は午前中に出ていったけど。
恐らく夕方帰って来るだろう。この世界の料理はあまり美味しくない。なので少しだが僕の本領を発揮しようと思う。
「さて、MPも無くなったし、少し遊んで来るかな?お腹すいたし。」
「ふむ、確かにこれ以上は暫く魔法が使えなさそうじゃな。昼飯でも食べてる頃には回復もするじゃろう。厨房に行ってはや飯でもして来るとしようかのぉ。」
僕はこっそり図書館を抜けて、クルシュが入ってはいけないという部屋に入るのだった。
次回輝視点