祭
♦︎隆side
おっほほー
思わずそう言いたくなるような状況を俺はこの目にしてしまった。
俺がこれまで恋愛の手伝いをしてきた二人が手を繋いでいたのを目撃したのだ。
「隆どうしたんだ?」
「ああ、健介か。この世で最も嬉しい瞬間っていうのはこういうことを言うんだな。」
「た〜か〜しく〜ん?俺と遊んでるのがそんなに楽しいのか!」
「違う。」
「流石に即答は酷いだろ!?俺と遊んでるのそんなに楽しくないのかよぉ……」
「冗談だ。楽しいよ。」
「俺は、今集中して観察しているんだ。悪いな。」
「隆がそんなに集中することなんて知らなかったんだが、もう少し詳しく教えてくれ!」
そう言った健介は、隆の肩越しに見て気がついた。
「もしかして、あのカップルか?」
「健介、お前すごく勘がいいな。蒼介とは大違いだ。」
「蒼介?……ああ!少し前に一緒にカラオケにいったよな?無自覚系イケメンの奴」
「そうだ。あいつと橘さんだよ。」
「嘘だろ!?あいつと橘さん付き合ってたのか?」
「そう思うだろ?ああ見えて付き合ってないんだよなぁ……」
「あそこまで甘い雰囲気を周りにばら撒いといて付き合ってないとかふざけてるだろ!」
♦︎蒼介side
脳みそが溶けたかと思うレベルで頭が熱い。
映画館の中でも、相当やらかした自信がある。
というか、手を繋いで出てきた理由もその中の一つだ。
映画館の中に入ってからすぐぐらいは、普通の状態だったが、映画を見始めた瞬間気がついてしまった。
これ、ちょっと大人な恋愛ものだということに……
席の周りからは、カップルたちの……
これ以上はやめておこう。
楽しく映画を観るつもりだったのだが、あまりに方向性が違い俺は理性の修行をしている気分だった。
俺は、あんな大人やカップルになるつもりはない。
だが、一番申し訳ないのが茜だ。
おそらく茜は普通の恋愛ものだと思っていたんだろうが、大人な内容であったため、隣を見た時に、すごく驚いた顔をしていた。
手を繋いでいた理由は、出てくる時に急に茜の方から手を繋いできたからだ。
何がしたいのかやはりわからない。
俺が女心を理解するのはいつになることやら……
「蒼介!なーにしてるんだ?」
隆と……健介?




