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第22話 テイマーアケア

 「さあ、迎え撃とう」

『『『おー!』』』


 各地から危険な魔物が集まってくる中、アケアとスライム達は一致団結した。

 透過させていたスライム達も集め、迎撃態勢だ。


 対して、隣のシルリアもはっとする。


「この状況でも、アケアは……」


 迫ってきているのは、謎の黒いオーラを持った魔物たち。

 DランクがBランク相当になるという恐ろしさだ。

 しかし、アケアの行動を目にして、一瞬でもネガティブになった自分を恥じた。


「ワタシも……」


 だが実は、アケアは単純に危機に思っていないだけ。

 魔境の森でさらなる困難も乗り越えてきたからである。

 それでも、シルリアが元気づけられるには十分だった。


「ワタシも負けてられないな!」

「うん!」

『『『うんー!』』』


 アケアが周囲にスライム達を散らばらせると、シルリアは剣を構える。

 それから、トンっとアケアに背中を合わせた。


「シルリア?」

「そちら側は任せたぞ」

「了解!」


 準備は万端だ。

 そして一瞬の(せい)(じゃく)の後、魔物たちは出現した。


「「「グオオオオオオオオ!」」」

 

 先ほどのボアウルフだけではない。

 ランクもバラバラの多種多様な魔物たちだ。

 スライム達の報告通り、やはり黒いオーラを帯びている。


 それでも、シルリアは()(かん)に向かった。

 

「はあああッ!」

「「「グギャアアアアア!」」」


 煌々(こうこう)とした光を放つ剣を手に、高速の剣技を振るう。

 どれだけ相手が強くても、攻撃に当たらなければ良い。

 そんな無茶苦茶な戦闘スタイルだ。

 

「こんなところで負けられるか!」


 シルリアは近い魔物から順に斬っていく。

 本気になった彼女は、一体また一体と、十体ほどの魔物を倒した。

 オーラを持ったBランク魔物もいると考えれば、大金星だろう。


「……ハァ、ハァッ」

「ギャオッ!」

「なにっ!?」


 だが、魔物の数が多すぎる。

 シルリアは一瞬の隙を狩られそうになってしまう。

 そこには後方から魔法の支援が入った。


「シルリア、大丈夫!?」

「ああ助かった! そっちは……なっ!?」


 しかし、アケアの方を振り返ると、シルリアは言葉を失った。


「三連【業火球】、範囲拡大【稲妻球】。そこは 【スライム合体】と【スライム物理耐性強化】を。こいつには【闇魔球】か……」


 アケアはスライム達を強化し、細かく指示を出している。

 さらに、自身も様々な属性を灯して、最前線で魔物を殲滅(せんめつ)していく。


「なんなんだ、これは……」


 まるでテイマーとは思えない。

 それどころか、最上位魔法系ギフトでもあり得ない動きだ。

 また、アケアサイドを見て気づくことがある。


(まさか、ほとんどを自分の方に向かわせたのか!?)


 アケア側とシルリア側では、魔物の数が違い過ぎる。

 もはや誘導したとしか考えられないほどに。

 その上で、シルリアのカバーもしていた。


(これが……)


 シルリアは一瞬、ブルっと身を震わせる。

 向かってきている魔物たちは、間違いなく化け物だ。

 しかし、それらなど話にならないほど頂点に君臨する者がそばにいる。


(これがアケアなのか……!)


「シルリア、もう少しだよ」

「あ、ああ!」


 こうして、アケアが引っ張る形で、シルリア達は魔物の大群を迎撃したのだった。

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