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第31話『VSドラゴン』

お待たせしました。

第31話できましたので、宜しくお願い致します。

今回、文字数多めです。


※改稿しました。ストーリー・キャラ設定等は変えてません。

※2022年4月2日改稿しました。

 ――黒く、黒く染まった空を見上げた。


 そこには昔話でよく見るあの伝説の架空の生き物が、地上で戦争してる人間達を見下していた。


『あれは……()()()()か?』


 あの大きな翼といい、逆鱗といい、もはやドラゴン以外の何者でもない。でもなぜドラゴンがここに……?


『あれ何なんすか!? あんな巨大な生物見たことないっすよ!』


『私もないわよ……!?』


 アレンとスカーレットさんのこの反応を見るに、どうやらこの世界にとってドラゴンは伝説として残されてすらなく、完全に未知の生物のようだ。


『隊長はあの巨大生物をご存知なんですか?』


『ああ、知ってはいたけど、実際見たのは初めてだよ……』


 あのドラゴンは一体どこから現れたんだ? 誰かが某有名カードゲームで召喚でもしたのか?


『ていうか、さっきの轟音がした方向って……』


『あ……ブラックさん達が……』


 軍服アレンがブラックの名前を出した途端にプラチナさんは作戦の事を忘れ、血相を変えいても立ってもいられず、戦場……即ちブラックの所へ走っていこうとした。


『ちょっと待って! プラチナさん!』


 俺は走るプラチナさんの手を掴み落ち着かせるように言うが……。


『隊長放して! あそこにはブラックとダイゴ君とミユウちゃんが!』


『だからって今行くのは危険だ!』


『それでも放ってはおけない!』


 プラチナさんは強引に俺の手を弾いて、戦場へ走り去ってしまった。


 ああもう……仕方ないな……。


『アレンとスカーレットさんはここで待機しててくれ。俺が行ってくる』


『わ、分かったす』


『隊長、どうかご無事で』


『ああ、もちろんだ!』


 俺はプラチナさんを追いかけると共に、戦場の様子を見に行った。


 すると、俺の身体はいつの間にか、()()()()()()()


『え? あれえええ!?』


 思わず動揺して落ちかけたが、今の自分の記憶を探ってみるとどうやらこの世界の俺はこの空中浮遊魔法を日常的によく使うようだ。まるで呼吸するように使うから身体が無意識的に空中浮遊魔法を発動したんだろうな。


『でも、よし、これなら……』


 俺は飛行機のように身体をまっすぐ向けると、スピードが格段に上がり、プラチナさんに追い付くことができた。


『プラチナさん!』


『隊長! 止めないで下さい! 私は……私は!!』


 プラチナさんを説得しても止まる気はない。たとえ作戦を放棄してでも、軍事命令違反になっても、仲間を助けに行く事を選んだようだ。


 その気持ちは分かる。俺だってもし――()()()が今まさに命の危機に晒されていたとしたら、プラチナさんと同じように走り出してしまうかもしれない。


 だからここで説得したところで聞く耳なんて持たない。そんなことをしても時間の無駄だ。それならばいっそ――


『いえ、俺に捕まってて下さい! 全速力で向かいますよ!』


 俺はそう言ってプラチナさんに手を差しのべる。俺がプラチナさんを戦場へ運ぶ鳥となるのだ。


『隊長……! はい!』


 俺はプラチナさんを背負いそのまま戦場に向けて全速力で空を駆けた。1人背負うとスピードが若干落ちるが、幸いにもプラチナさんは体重が比較的軽い方なので、あまりスピードが落ちることはなかった。しかしその胸だけは……いやこれ以上は言わないでおこう。



『あ、ブラック!』


 全速力だったので話す間もなく戦場に着いた。


 現状はあちらこちらに帝国軍兵士の死体が大量に転がっており、残ったのは流星軍のメンバー……ブラック、ダイゴ、ミユウの3人だけだった。


『良かった! まだ生きてた!』


『当たり前よ! ブラック達が簡単に死ぬわけないじゃない! もう隊長ったら心配性なんだから!』


 プラチナさんは仲間が生きてると分かると途端に手のひらを返すように表情が明るくなった。


『いや1番心配してたのはプラチナさんでしょう?』


『てへっ!』


 てへっ! じゃないよ、全く……。


 プラチナさんは怒る気が失せるほどの美人だからかなのか、それとも憎めないからなのかは分からないが彼女に対して強くツッコむ事ができなかった。というかむしろ可愛い。てへっとする所めちゃくちゃ可愛い。なぜ可愛らしい人にはこんなにも癒やされるのだろう。何をやらかしても許せそうだ。


 ただし魔王、テメーはダメだ。



 ブラック達も俺達が来たことに気づき、俺とプラチナさんの着陸地点までやって来た。


『隊長! あれ? プラチナもいる……?』


『ブラック~!』


 ブラックがこちらに近づくとプラチナさんはブラックに勢いよく抱きついた。


『プ、プラチナ……前が見えないんだが……というか戦闘中なんだが』


『無事で良がっだああああああああああああ!』


 プラチナさんは戦闘中なのにも関わらずブラック達が無事だということに感極まって、まるで子供のように号泣してしまった。


『隊長……作戦ではアレンが来るはずでは……?』


『ブラック……すまない。ちょっと事情があって予定が変わってしまってな。1から説明したいところだが……まずは、あれをどうにかしないとな』


 俺達は空を見上げた。ブラックもミユウもダイゴも、ドラゴン(アレ)にどうやって勝つか頭を悩ませていたのだろう。


 ()()()()()()()()()()、こういう時どういう戦略を考えるのだろう……?


『隊長、あの巨大生物をどうやって倒しましょう……?』


 今、まさにそれを考えてるところだが、いまいちパッとする作戦が思い付かない。いや思い付くわけがない。ここにいる俺はダスト隊長じゃなくて、()()()ダストだからな。


『とりあえず攻撃あるのみかな……どの攻撃が効くのか、体の部位に弱点はあるのか……それを片っ端から検証して行くしかない。皆、準備はいいか?』


 こんなことくらいしか言えなかった。大丈夫かな。こんな作戦とも呼べない指示をして俺を偽物だと指指されたりしないだろうか。


『『『『はい! 隊長!』』』』


 部下たちは嫌な顔1つせず、俺に向けて大きく返事をしてくれた。どうやら杞憂だったようだ。


 この返事だけでどれだけ隊長に対する信頼が厚いかよく分かる。


『私、この戦いが終わったら……ブラックと私の可愛い娘達と……高級料理店に行くの!』


『おっと、そのセリフは完全にフラグなので今言わない方が良いですよ』


『フラグって何? 美味しいの?』


『全然美味しくないです。血の味と涙の味がしますよ?』


『ふーん、よく分からないけど、フラグってやつは食べない方が良いんだね、りょーかい!』


 プラチナさん、お姉さん的ポジションなのになんかアホっぽいな。いや、天然陽キャというべきか……。


『と、とにかく皆、死ぬなよ!』


『はい!!!』


 俺はドラゴンに手を向けて号令を出す。


『突撃だあああ!』


『おおおおおお!』


 俺は号令をかけた後、ドラゴンに接触するために空を飛んだ。


『よし、まずは――――』


 ――ってあれ? この世界の俺ってどうやって戦うの? と思ったが、身体が勝手に反応したのか気づいたら剣と銃を出していた。なにこれかっけえ。


『よし、これなら……』


 まずは銃を使いドラゴンの頭に弾丸を撃ち込んだ。だが全然効いている様子もない。しかもこちらを見てすらいない。


『うげ……全然効いてねえな……』


『隊長! 私にお任せを!』


 そう言って空へ飛び上がったのはブラックだった。それに続きダイゴも飛び上がりドラゴンの腹に大きな拳をぶち込んだ。ブラックはドラゴンの翼を剣で斬り落とそうとした。だが2人の攻撃はドラゴンにはかすり傷1つつかない。まるで蟻がライオンに攻撃してるかのようにダメージが無さすぎる。


『氷魔法……氷槍(アイススピア)!』


 後衛の位置からミユウは氷の槍を発射して、ドラゴンの首を貫こうとしたが、弾かれてしまった。


 というか、この世界では魔法に技名があるんだな……。こっちの方が断然かっこいい……。元の世界に戻ったら、魔王城の皆に、技名を提案してみよう。


『ってそんな事考えてる場合じゃねえ! ドラゴンの弱点を見つけないと! 今もブラック達も必死にドラゴンに攻撃し続けてるんだ! 俺も手を動かそう!』


 とは言ってもどこを攻撃しても全然効かない……くそっ! こんなのまるでボスキャラに1ダメージも与えられない負け戦闘をやらされてるような気分だ。


 そんなゲームをやっていた頃の懐かしい気分になったところでプラチナさんが何かに気づいたのかこう言った。


『ねえ隊長、私、あれの弱点分かったかも』


『プラチナさん、本当か!?』


『ええ、とりあえず私を()()の元へ連れてって』


 プラチナさんはアレに向かって指を指した。


『分かった!』


 俺はプラチナさんを担ぎ再び空中浮遊魔法を使って、ドラゴンへ接近した。


 やべぇ……近くに来てみるとドラゴンってやっぱり大きいんだな……すげえ迫力だ……。恐怖を感じるというか……圧倒される。もし今の俺がただの一般人のダストなら恐怖のあまり気絶していたかもしれない。それほどまでにこのドラゴンには威圧感がある。


『隊長、あれに口を開かせることはできる?』


『口を開く……? まあ、やってみよう』


 俺はドラゴンの口元まで接近し、顎に剣を投げるように突き刺した。するとドラゴンはやっと攻撃された事に気づき、ドラゴンの口はわずかに開いた。その隙をプラチナさんは逃がさなかった。プラチナさんはドラゴンの口が開いた瞬間その中に小型爆弾を放り投げた。


 数秒後、ドラゴンの口の中で爆発が起こった。するとさすがのドラゴンも怯んでしまい地面へ落下した。相当効いたようだ。


 なるほどな。ドラゴンは皮膚が硬いだけで内側は柔らかいんだな。よく思いついたなプラチナさん。


『よし、皆、そいつの攻撃に気をつけながら、口元を攻撃するんだ!』


 俺が仲間達にそう言うと、ブラックとダイゴとミユウはドラゴンの口元に集中攻撃をした。ドラゴンはその攻撃にというわけではないが、内部破壊により苦しそうに呻いた。それにより通常の攻撃でも今のあのドラゴンにとっては少しは重く感じているようだ。


 これなら倒せる……と思ったのだが、何の予兆もなくドラゴンの目から赤いビームが発射され、ブラックとダイゴの体を貫いた。身体を貫かれた2人は血を撒き散らしてそのまま倒れてしまった。


『ブラック! ダイゴ!』


『あ……ああ……よ、よくもおおおおおおお!』


 プラチナさんは、仲間を……というよりブラックに致命傷を負わせたドラゴンに復讐心を燃やした。


『待って! プラチナさん!』


 プラチナさんは空中なのにも関わらず俺から離れ、ドラゴンに向かって、大量の爆発を投げ込んだ。だが冷静さが欠けているせいでドラゴンの弱点である口元には全く当たっておらず、全てが無駄撃ちになってしまった。だが、それでもプラチナさんは感情に任せ、とにかく爆弾を投げ続けた。


『よくも、よくも、よくも、よくも、よくもおおおおおおおお!』


 ドオン、ドオン、ドオン、ドオン、ドオンと爆弾の音がまるで音楽のように響く。もしこの状況を楽しんでいる狂人がいるのなら、おおなんという美しい音色だろうと目を輝かせているだろう。


『プラチナさん!』


 俺の言葉はプラチナさんには届かず身体が地面に打ち付けられる寸前までひたすら爆弾を投げ続けた。しかしそれでもドラゴンにダメージは入らなかった。


 その後ドラゴンはさすがに鬱陶しくなったのか長い尻尾でプラチナさんを払った。


『きゃあああああああ!』


 尻尾に激突したプラチナさんが遠くへ吹っ飛ばされそうになったところを俺は全速力で回収した。


『プラチナさん!』


 プラチナさんはドラゴンの尻尾によるダメージが大きかったのか気を失っている。


 これはまずい……まだ戦っているミユウもたった1人で魔法攻撃を連射し続けているが、もう魔力が限界に近づいているみたいだ……このままじゃ……ミユウもドラゴンに倒されるだろう。


 でも、今の俺に何ができる……?


『何ができるかだと? 今の貴様の全力を出せばいいだけの話だ』


『誰だ!? ってまたお前か……』


 またしても突然現れた……お前は……俺の夢によく出てくる、めちゃくちゃ偉そうでいつも嗤っている男……。


『クハハハハ! 貴様は相変わらず、よく夢を見る男よ……いや、正確には夢ではないがな。ここは、お前の()()()()()()()()()()


『封印された記憶の中……!?』


第31話を読んで下さり、ありがとうございます。

次回は、仕事の為、またペースが遅れてしまいますが、できる限り早い投稿をしていきたいと思います。

宜しくお願い致します。



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