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第28話『騒動の後』

お待たせしました。

第28話できましたので、宜しくお願い致します。


※改稿しました。ストーリー・キャラ設定等は変えてません。

※2022年3月8日改稿しました。

※2026年8月1日改稿しました。

『お兄ちゃん』


『何?』


『おぶって』


『いいよ』


 俺はブロンズちゃんの要求(わがまま)を聞き、お姫様(ブロンズちゃん)をおぶりながら魔王城へ向かうことにした。


 赤髪ちゃんはそんな俺達のやり取りを見て何を思ったのか親のような微笑みを見せた。


 俺はそんな赤髪ちゃんを見て、質問した。


『あの、答えたくないなら答えなくていいんですけど、さっきの金髪の男は何者なんですか?』


 やはり何か深い因縁があるのか赤髪ちゃんの顔は途端に真剣な表情となった。


『彼は元々は正義教団のただの傭兵でした。ですが彼はどうしても正(・)義(・)が(・)理(・)解(・)で(・)き(・)ず(・)、正義とは真逆の行動をとり、問題ばかり起こしてきました。そんな彼に正義教団の幹部は怒り狂い、彼を死刑にすることにしたのですが……彼は、同(・)じ(・)傭(・)兵(・)で(・)も(・)あ(・)る(・)私(・)の(・)親(・)友(・)バ(・)レ(・)ス(・)に(・)罪(・)を(・)な(・)す(・)り(・)つ(・)け(・)た(・)の(・)で(・)す(・)』


『罪をなすりつけた……酷い話ですね』


 なるほどさっきの金髪の男は、ガチのクズ野郎って事か。そうなった経緯は知らないが、そんな奴とはもう二度と関わりたくないものだ。……またさっきみたいに不意をつかれて刺してきそうだし……。


 確かに正義を掲げる奴らにとっては、奴は不快でしょうがないだろうな。正義とはまるで真逆だったし。


 ……というかさっき赤髪ちゃんが話してた中で出てきたバレスって名前、どこかで聞いたことがあると思ったら、確かあおいちゃんと、ベンリ街へ行った途中で会った女騎士の人か……?


『――そして罪をなすりつけられたバレスは……死(・)刑(・)判(・)決(・)を(・)下(・)さ(・)れ(・)て(・)し(・)ま(・)い(・)ま(・)し(・)た(・)』


『え? 死刑……ですか……?』


 でもバレスさんはこの前会ったはずだ。死刑を免れたのか、それとも幽霊なのか……後者だったらと思うと震えが止まらない。


『はい……ですが、死刑は公開されず、なぜか無かったことになりました』


『それって……?』


『恐らくあの賢いバレスの事です。何か策があってうまく逃げたのだと信じております』


『あの、そのバレスって人って……もしかして緑色の髪の人でしたか?』


『え? あ、はい。確かに緑色の髪でしたよ。もしかして……バレスに会ったのですか?』


『はい。実はベンリ街へ行く途中でバレスという女の人と会いました』


 俺がそう言うと、赤髪ちゃんは大喜びするわけでも、泣いたわけでもなく、ただ微笑んだ。行方不明の親友の生存を聞けば大抵の人は泣いて喜ぶところだが、赤髪ちゃんはバレスさんが本当にうまく逃げたと心の底から信じていたのだろう。反応はそれほど大きくはなかった。


『やっぱり、そうでしたか。バレスは元気でしたか?』


『はい、元気そうでしたよ。しかも、銀の甲冑を着ていて、紋章もあったので、おそらく、今はどこかの国の騎士なんでしょう』


『ふふふ、私の予想通りです。バレスは常に安定を求めているような人なんです。せこくて、ずる賢い、正義教団の騎士なのにも関わらず、人の正義にも悪にも左右されない私の憧れの騎士でした』


 赤髪ちゃんは嬉しそうにバレスさんの事を語った。


 大切な友人でもあり、尊敬の眼差しの対象者でもあるってことか。赤髪ちゃんにとってバレスさんは、それほどまでに素晴らしい人だったんだろうな。


 俺と初めて会ったあの時、少ししか関わらなかったが、次会うときはもっとバレスさんと話してみたいな。


『また会えるといいですね』


『はい』


 赤髪ちゃんは最高の笑顔で返事をした。赤髪ちゃんもこんな表情するんだな。


 そんな赤髪ちゃんを俺はとても魅力的に感じた。もちろん赤髪ちゃんはいつだって可愛い女性だが、その笑顔はずるい。そんな眩しいものを向けられたら誰だって惚れかねない。


 もしこの世界がギャルゲーの世界だったら、間違いなくこのシーンはCG絵になる。クリア後にギャラリーで思う存分見まくれるやつだ。


『――さて、魔王城に着きましたよ。帰ったら、まず皆さんに説明しなければ』


『そうですね……ん? ブロンズちゃん?』


 ブロンズちゃんの様子を見ると、そこには天使とも呼べる可愛すぎる寝顔があった。可愛い。すぅすぅと寝息を立ててまだ起きる気配はない。可愛い。


『ダスト様! そのまま止まってください!』


 敵の気配でも感じたのか、赤髪ちゃんは突然大きな声を出した。


『え!? なんですか!? 敵襲ですか!?』


『あ、いえ、ブロンズさんの寝顔をちょっと盗……思い出に撮影しようと思いまして』


『あ、そっちか』


 急に大声を出してきたから敵襲かと思った……。


 全く、さっきまであんなことがあったのに赤髪ちゃんは本当に元気だなぁ……。


 ところでそのブロンズちゃんの寝顔の写真は1枚いくらで売ってるのかな? ぜひ売ってくれると嬉しいな!


 その後赤髪ちゃんは本当にブロンズちゃんの寝顔を、プロのカメラマンのように間髪入れずに何枚も何枚も撮りまくった。その時の赤髪ちゃんの顔は不審者かと思うくらいすっごいニヤニヤしている。……まあ気持ちは分かる。ブロンズちゃんの寝顔にはそれほどまでに狂わせる何かがある。それは間違いない。


『あの……これいつまで撮影するんですか?』


 いくらブロンズちゃんの寝顔が可愛くても、50回以上パシャパシャパシャパシャと撮りまくってたら、ブロンズちゃん起きちゃうんじゃ……。それに俺もブロンズちゃんをおぶり続けるのもそろそろ疲れてきたし……。


『あ、失礼しました。軽いとはいえブロンズさんをずっとおぶったままでは疲れますよね。すみません。あの、本当に申し訳ないのですが最後に1枚いいですか?』


『はい、あと1枚くらいなら』


 すると赤髪ちゃんは投影器具を支える道具を使って固定させた。


『記念に私達3人で撮りましょう』


『ああ、なるほどー』


 赤髪ちゃんは3人全員が写真に入るように、あれやこれやと指示をしてきた。俺はブロンズちゃんの顔が投影器具に映るようにしゃがむことになった。赤髪ちゃんも、それに合わせるようにしゃがんだ。


『じゃあ、映しますよ』


 はいチーズとは言わずにカシャッという音を待つだけだった。


 この世界では写真を撮るとき、はいチーズとは言わないんだったな。というかそういう習慣も概念もない。


『キレイに撮れましたね』


『はい』


 その写真を確認した赤髪ちゃんは……まるで母親のようにとても澄んだ目をしていた。さっきの変態モードとは大違いだ。


『撮影に時間を取らせてしまって申し訳ございません。さあ、帰りましょうか』


『はい』


 もうすぐマイホームだと安心しきった俺達は魔王城の扉を開けた途端に、待ってたかのようにゴールドちゃんとシルバーちゃんが泣いて飛びついてきた。


『ブロンズウウウウウウ! どこ行ってたんだよおおおおお! 心配したんだぞおおおおおおお!』


 特にゴールドちゃんは、ドバドバと滂沱の涙を流している。その涙だけで大きいペットボトルがすぐ一杯になりそうだ。


『ちょ、ブロンズちゃん寝てるから』


 まだ寝かせてあげてと言った矢先にゴールドちゃんの声がでかすぎたのか、ブロンズちゃんは目を擦りながら目を覚ました。


『ん……あ、ゴールド姉に、シルバー姉……?』


『あ……あ……ブロンズウウウウウウウウウウ!!』


 その後ブロンズちゃんは、ゴールドちゃんにプロレス技を決めるが如く強く抱き締められ、またしても苦しんだという。


 そんなやり取りが終わると、俺はゴールドちゃん、シルバーちゃん、あおいちゃん、そして嘘つき魔王を集め、これまでの経緯を丁寧に説明した。あんまり語彙力ある方じゃないから、ちゃんと伝わっているか不安ではあるが……。


『ブロンズウウウウウウウウウウ!!!!! 怖かったねえええええ! もうどこにもいっちゃダメだぞおおおおおお!』


 ゴールドちゃんの反応は案の定で、スーパーシスコンタイムに突入していた。気持ちは分かるが泣きすぎだろ。少しは落ち着けや。


 ブロンズちゃんも涙目で『心配かけてごめんね』と言いながらゴールドちゃんを抱きしめた。


『ブロンズちゃん……無事で良かった……本当に良かったよぉ……』


 つられてシルバーちゃんも涙目になり、ブロンズちゃんに抱きついた。


 ブロンズちゃんも『シルバー姉も心配かけてごめんね』と抱きしめ返した。


『そんなことがあったんですね……全然気付きませんでした。ごめんなさい……やっぱり私役立たず……しかも、お姉さまの活躍も見れなかったなんて最悪です……まあ、何はともあれ、ブロンズさんが無事でなりよりです』


 あおいちゃんの反応はやっぱりネガティブ! あおいちゃんはあおいちゃんだった! しかし最後はブロンズちゃんが無事で良かったと安堵したようだ。


『あー、えっと……大変……だったみたいだね……ブロンズちゃん? 怒ってる……よね? ごめんなさい』


 この嘘つき爺さんは何をやらかしたのか、バツが悪そうにして土下座しながら謝罪をした。その土下座の形はあまりにも丁寧で美しかった。


 なんてキレイな土下座なんだろう……。もし、土下座選手権なんて大会があるのなら、優勝は間違いないだろう。


『ていうか、いつの間に爺さんに戻ってたんだな』


 俺は魔王にそう耳打ちをした。


『だって……じゃないとあのエグい撮影会が開かれることになるからさ』


 まあ確かにあれはキツイ。見てるだけの俺も頭がどうにかなりそうになったくらいだ。


『さて、魔王様。今回、あなたが犯した罪……わかりますね?』


 赤髪ちゃんは魔王を見下ろすように立ち、圧をかけてそう問いかける。


『……はい』


 この威厳無し夫の魔王は、赤髪ちゃんに圧倒され、罪を問われた。そして赤髪ちゃんは、さらにこんなことを言い出した。


『皆さん、今回の騒動を起こした原因といっても過言ではない魔王様の処遇を決めるために、これより……裁判を始めます!』


『さ、裁判?』


『ダスト様は初めてでしたね。この魔王城では誰かが罪を犯し、大事になってしまった場合、あるいは、大事になりかけた場合に、裁判は開かれます。この裁判は、有罪か無罪を判決する為に、お互いの主張を言い合います。証拠を提示することもあります。そして、より辻褄が合う方……つまり、相手を論破することができた側の勝利となります』


 俺の知ってる裁判と全く同じってことか。本物の裁判は見たこと無いからよく知らんけど。


『今回の場合は、魔王様の罪は確定してますので、何が悪かったか……どういう罰を与えるかを決めるものとなります』


 つまり魔王にとってはどれだけ罰を軽くできるかの勝負ってわけだな。なるほど、なかなか興味深い展開になってきた。

 

『コホン、では改めて……これより裁判を始めます!』


第28話を見て下さり、ありがとうございます。

第29話の方も出来次第、投稿していきたいと思います。

宜しくお願い致します。





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