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第25章:友達以上、恋人未満

夏休みの午後。

のりっぺは、しっちゃんの家の前でインターホンを押した。

「しっちゃーん、遊びに来たよ!」


「おう、入れよ」

しっちゃんは少し照れたように笑い、のりっぺを部屋に通した。


ゲームをしたり、アイスを食べたり、

他愛もない話をしていると――


階段から、疲れた足取りでしずかが降りてきた。

「……あら、我が妹よ。挨拶遅れちゃったね」


「お姉ちゃん! 就活どうですか?」


しずかは苦笑した。

「まあ……いろいろ大変よ」

 でも、妹の顔見たら元気出たわ」


その言葉に、のりっぺは嬉しそうに笑った。


しずかはふと、二人を見て言った。

「ねぇ、久しぶりに三人で宝塚ファミリーランド行かない?

 昔みたいに」


のりっぺの顔がぱっと明るくなる。

「行く行く! しっちゃんも行こ!」


「……まあ、いいけど」

しっちゃんは照れ隠しのようにそっぽを向いた。

こうして、三人は久しぶりに“あの場所”へ行くことになった。


同じ日の午後。

ミッチはレッスン帰りの汗を拭きながら、

シュートとシュプールで待ち合わせていた。


「今日もケーキを楽しみにきた」


「もう、しょうがないんだから」

月に一度の“二人だけの時間”。

ミッチにとって、誰にも言えない夢を話せる大切な日だった。


帰り道、ミッチがふと思いついたように言った。

「ねぇ、宝塚ファミリーランド寄っていかない?

 久しぶりに観覧車乗りたいなって」


シュートは少し驚いたが、すぐにうなずいた。

「いいよ。行こう」

二人は並んで歩き出した。


夕暮れのファミリーランド。

観覧車の光が灯り始める頃。

ミッチとシュートは、動物園のトラの前で

ソフトクリームを食べながら話していた。


「ミッチ、次のレッスン……」

「うん、頑張るよ。ありがとう」


その時――


「……あれ?」のりっぺが立ち止まった。


「ミッチ……? え、シュートと……?」


しっちゃんも、しずかも足を止めた。

ミッチとシュートが振り返る。

四人の視線が交差した瞬間、空気が止まった。


のりっぺは震える声で言った。

「ミッチとシュート。二人きりでどうゆうこと?」


ミッチは逃げずに、まっすぐ三人を見た。

「……私、宝塚歌劇、受けるの。シュートはそれをささえてくれている」

「ずっと言えなかった。ごめん」


のりっぺの目に涙が浮かぶ。

「言ってよ……親友やのに」


しっちゃんは胸が痛んだ。

(なんで……シュートは俺には言わなかったんだ)

でも、ミッチの震える声を聞いた瞬間、二人の関係を

理解し、応援することを決めていた。


しずかが静かに言った。

「あなたたち、恋人同士?」


ミッチは少し首を傾げ

「友達以上、恋人未満」と答えた。

「シュートは…… 私の話を聞いてくれていたの。

 誰にも言えない夢のこと……全部」


しっちゃんの胸がまた痛む。

(佐伯……お前だったのか)

でも、その痛みを飲み込んでいた。


のりっぺはミッチの手を握った。

「ミッチ、うちは応援する。ほんまに、心から」


しずかも優しく微笑んだ。

「夢を追う人はね、応援されるべきなのよ」


しっちゃんは、照れくさそうに言った。

「……頑張れよ。 俺たちがついているから」


ミッチは涙をこぼしながら笑った。

「ありがとう…… ほんとに……ありがとう」


帰り道。

のりっぺとしっちゃん、しずかが少し前を歩き、

ミッチとシュートは後ろを歩いていた。


シュートが静かに言った。

「ミッチ」


「なに?」


「……お前は、マリンカの花みたいだ」


ミッチは驚いた。

「え……?」


「小さく見えて、実は誰より強い。

 光に向かって伸びていくところが、そっくりだ」


ミッチの胸が熱くなる。


シュートは続けた。

「それに…… はいからさんにも似ている。

 泣きながらでも前に進むところがさ」


ミッチは大きく目を見開きシュートを見つめた。

「ありがとう…… ほんとに」


夏の夜風が吹き抜ける。

ミッチの夢は、もう“秘密”ではなくなった。

それは――

仲間たちが支える“物語”になった。


しずかは家に帰ると、ぽそっと言った。

「しっちゃん。振られちゃったね」


「お姉ちゃん。何を言っている」


「私はあなたの姉よ。ごまかせ無いよ。

ミッチをちゃんとあなたなりに支えてあげなさい」


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