表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/75

Good mooning sir

第2部開始となります。


舞台は、より宇宙へ……

        第4章 襲撃者


     1

時の流れはゆるやかに、ゆるやかに、往きつ戻りつただ廻る……。始まりは終わりであり、終りは始まりである。人と人は呼び合い、そしていつかその地に還る……



火星域におけるダイモス落下と、翔龍姫消失の1時間前……



 -地球 野島崎東方800浬 水深約500m-

 深淵たる闇、耳に痛みを強いる程の静寂が圧力を以ってこの機内を支配した。

 もう、何日経ったのか、すでに考えるのはやめていた。とそこに、赤い光点が閃いた。

 「ビンゴ!」

 思わず喜びが口を吐く。

 「ソフィ、Wake up.」

 唐突に正面のディスプレイが瞬き、待ちこがれた言葉が表示された。

 『Good mooning sir.』

 まさしく皮肉だ。速見 (すぐる)、いや、フェスト騎士団長、ジョーカー・クロウの口許に笑みが差す。

 「よく言うぜ。今が昼か夜かも分かりゃしねぇ」

 不時着後潜水。そのまま電装系停止。今のいままで一切の光が絶えていたのだ。

 「まずはlight up」

 すぐさま機内に光が満ち、ジョーカーは額のナイト・スコープをひっぺがす。

 「この光、待ち兼ねたぜ」

 ジョーカーが僅かに動くと、足元で何かが音を立てた。

 ごみだ。

 エステールのシャトル、フェーベのコクピットは食い散らかしのレーションカスが散乱していた。

 「情けねぇもんだ。かつてはゲィツの番人と呼ばれた俺が……」

 食糧庫の番人と呼ばれていた事実は伏せておこう。

 しかし、フェーベの復旧作業に集中していてそれどころではなかったのも事実だ。

 「ソフィ、自己修復プログラム起動。動力最優先だ」

 『comprehend sir.』

 フェーベの持つ修復機能。停止時に発動させると、殆んどの損傷はナノマシンによって修復される。ただ、ナビゲーションAIのソフィがダウンしていると発動出来ないのが難点だ。しかしそれもやっと解決。宇宙(そら)に戻るのも時間の問題だ。

 「さて……」

 それでも修復に時間はかかる。さしあたりやっておくことと言えば、周囲の探索だ。

 ジョーカーは操縦席のコンソールに再び向かい合う。

 「どうせ、連中居やしねぇしな……」

 アクティブセンサーと光学センサーを起動。周囲を探知し始めた。

 探査の片手間、ジョーカーは太平洋の旧大陸図を表示した。

 「ふふん、なんとまぁ、レムリア大陸西端に不時着か」

 伝説の古代大陸、レムリア。現在尚学者達の間で憶測の飛び交う謎の水没大陸だ。現代科学ではその実像にも迫れずにいるのだが、ジョーカーはこの7年、暇に明かせて地図だけは作成していた。

 と、アクティブセンサーに反応。この反射率は……。

 「金属……沈没船か?」

 沈没船のお宝は男の冒険心をかきたてる。しかも現在海賊として生計を立てるこの男には猫にマタタビだ。すぐさまアクティブセンサーのレンジを絞り、全体像を割り出した。

 「何だこりゃぁ」

 いや、割り出せない。大きすぎる、と言うよりは大陸の一部である。

 ジョーカーは眉を顰めた。

 ……地上構造物?

 急ぎ船外灯を集中させ、光学センサーに切り替えた。不純物の多い海底。望遠をかける度、画像は荒れる。しかし、問題の物体表面は辛うじて読み取れた。そう、文字だ。しかも、ジョーカーはそれを読むことが出来た。

 「おいおい、何でフェスティマ文字がレムリアにあんだよ」

 フェスティマ文字……。フェストの古代文字だ。既に使用する者はなく、ある一部の者か学者以外は読むことの出来ない文字である。無論、ジョーカーは学者などではない。前者、一部の者。フェスト王室と騎士団長、そしてゲィツの間で交わされる公文書に使用されてきた。そんな特殊な文字をよりにもよって地球の、しかも海底に見ようとは。

 「ソフィ、移動可能か?」

 暫く後、回答はなされた。

 『yes sir.reserve engine ready……』

 ジョーカーはフェーベをゆっくりと移動。問題の金属反応へ近付けた。

 「ソフィ、機関部修復は一時停止。search mode起動」

 『search morde ready……』

 ……まずは年代だな。

 X線による測定。即座に解析は終了した。

 「はぁ!?」

 その数字に奇声を上げ、思わず0の桁を数え直した。

 「ちょっと待てよ。これ数字あってんのかよ」

 『positive sir.』

 0の数は7。

「200万年前って、どーゆーことよ」

 そんなジョーカーの嘆きを中断するように、ソフィからの警報が鳴り響く。

 反射的にレーダーレンジ拡大。

 「くそ……」

 その反応は、火星の衛星付近で発生した高エネルギーを感知した物だった……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ