無邪気な御仁
王国側からすれば、魔王の版図ように捉えられているに違いない、俺んち(いや、魔王とか♪ 身の程もわきまえずに 格好つけすぎたよ……うん。反省)。
流石に、これほどの人物であれば――無体な扱いをすることはあるまいと、
または、どう扱われようと王国側の損にはならないと言った、そんな思惑も透けて見えるかの様で……。王国内では、きっと この御仁は……如何なる派閥にもよらずに、自由気ままに生きてこられたのだろう。
これからの件について、何らかの不始末が発生した場合、それを押し付けて尻尾切りも容易な……そんな人選であったのかも知れない。
* * *
「ピッ・ピッ・ピッ・ピッ~ン♪」明らかにお口から発せられた時報が、ガロワ公の陶片から聞こえてきた「もうすぐ晩御飯だよ♫」
その報せを聞くなり、ガロワ公はバタバタと大慌てで帰り支度を始め……と言っても、大した手間も無いようではあったけれど
「辺境伯殿! 急ぎましょうザンス! 貴公のあの……お美しい奥方様が……お作りになられる美味の数々……
「あぁ……いずれも私が、口にしてきた……あらゆる美食たちですら、足元にも及ばない魔性の一品ばかりザンス
「食べ損なえば、史家の筆で面白おかしく、笑い話にされてしまうほどの大損ザンス! 急ぎましょうザンス!!」
なんだか微笑ましいまでの食い意地。この人物にまつわる胡散臭い話は、数多いものの……決して悪人の類では無いのだろう。
「なんと……なんと愛らしい御方か」頬に手を当てて、溜息を吐く、アルシェノエルの様子もそれを物語っている様。(君って……おっさん趣味だったのな)




