現代文明に触れた、異世界人のテンプレ
「す、凄いザンス……凄いザンス……我々が、この域に辿り着くには……百年……いいや、無理ザンス! 二百年……いやいやいや、そんな程度では全然足りないザンス。庶民の家々にまで普及したガラス窓。水で流れる厠、鉋クズより薄く柔らかい Kamiとか言う衛生的な尻拭き……おっと私としたことが、お下品だったザンス。女神アレクサンドラよ……私を許して欲しいザンス。――見たことも 聞いた事も無い機械から、自動的に給仕される冷たい飲み物、温かい飲み物。昔、出向いた魔界でも……ここまでは無かったザンス……」
ぶつぶつと呟きながら貪欲に、ありとあらゆることを写メに収めてまわるガロワ公。ストレージが悲鳴を上げるのも時間の問題。
「あるぱごぉ~ん?」影の中に潜んだままの悪魔の名を呼ぶ「なんか……彼、魔界に行ったことあるって言ってるけど……お前、知ってる?」
聖鈴教会の影響の強い土地からやって来られた、ビッグネームの接待。悪魔連れはマズかろうと――考えたからこその、このポジションな訳ではあった訳だけれど、
⦅さぁ? 魔界って言っても……うちは極一部の勢力ですから⦆
足元から帰って来た声に、だよね……。
* * *
公に対する噂の中には、それはそれは……ミュンヒハウゼン男爵の御伽噺の様な物も多く含まれてはいた訳だったが――
王国側からすれば何としてでも、うちとコトを構える事態にだけはなりたくない、その一心からの人選なのだろう。才人を事前に送って折衝を任せ
もしくは派手が過ぎて、目障りで鼻摘みな彼を、人外魔境に追いやりたいと……そして、あわよくば亡き者となって欲しいと……そんな所だったのか。




