ミーハーな公爵家令嬢
「辺境伯殿!? あ、あれは……あれは、なんザンスか?!」
「……あ~あれは、汽車っすわ。本当なら蒸気で動くんですけどね? ガワだけ真似て、別の理屈で動いている……らしいです。噴き出している白いものは……製作者が言うには『様式美!』だそうで良く分かりません」
ウチで貸し出した陶片を早くも使いこなして、昭和バブル期の日本人の海外ツアー客みたいに、興味深げに辺りを激写して回るガロワ公。
* * *
次の日から俺は、公の専属観光案内係を務める事になった。そして何故だか、ついて来ると言って、聞かなかったアルシェノエル。
それと、トキノによって余程注意を要する人物であると判断されたのか、呼び出しに応じてLA・LA・PALOOZAから駆けつけてくれた、胡乱を察知するためのアレサナ(アルパゴンだけでは信用ならなかった訳だ)、そして屋敷でのメイド奉公にも慣れた様子のイラカも小間使いとして。
公爵家令嬢は、なにやら恐ろしいまでの めかし込み様で(なに? その……綺麗な お顔につけたスワロフスキー?)、ネルの『領域』の中では、あり得ないことではあったが、風邪でも引いてんのか? と言った具合で、ずっと赤い顔のまま。
デズデモーナの話に、よるならば――
「気をつけてね旦那様。あの子、小さい頃からガロワ公の熱心な支持者だから。……公の武勇伝に憧れて、槍を手に取ったって言っても良いくらいなんだから!」
(……なに? その可愛らしい お姫様)
「あの子を公に取られでもしたら……大損するわよぉ~? 『プリムデイル王国の陽光』なんて呼ばれた あの子に比べたら、あとに残る私たちなんて、お肉料理の付け合わせにも、成れないかもしれないわよ~?」
(どうしよう。取るとか、取られるとか……君らには悪いけど びっくりするほど、興味湧かない)




