えぇ……っと、どちらが……御本業で?
目を瞑り、髪を泡立てていると隣にヴィルマがやって来て、あーだこーだと話しかけて来ながら、身体を洗い始めた。
――先程の、あのやたら身なりの立派な御仁は、名をエヴドキア・ガロワ公と仰るらしい。
トトカルチョの支払いで渋る御仁にもかかわらず、実に本当の御貴族様であるらしく、路銀を入れた財布を この地に単身やって来る途中で無くしてしまっわれたのだとか。
俺がヴィルマにお仕置きしている傍らから逃げ出して、難を逃れたヴィヴィとギアネリを相手に声を掛け、一口。
――決して、やってはならない起死回生の資産運用であるところの、賭博に手を出して
晴れて無一文と化した彼の御仁は、背に腹は代えられぬと、貴族の体面もなにも、かなぐり捨てて。
必死に掛け金の返還を求めていたのだと言う。
「そうじゃ、その辺りが手が届かんのじゃ~。宜しく頼むのじゃあ♪」
* * *
てっきり先に屋敷に戻ったとばかり思っていた、貴族の令嬢御一行様が、
長い……長いトイレの旅から戻って来たところで、アルシェノエルによって、彼の氏素性についての説明がなされたといった次第。
「よし! 次は、わしの番じゃな! 洗ってあげるのじゃ♡」
エヴドキア・ガロワ公。
こちらで暮らす様になって、長くなる身ではある訳だが……その名前は、折につけ 何かにつけ――耳にする名前だった。
曰く「槍の騎士」、曰く「剣の芸術家」、曰く「画聖」、曰く「天才音楽家」、曰く「プレイボーイ」、曰く「錬金術師」、曰く「詐欺師」、曰く「騎士の中の騎士」。
枚挙に暇が無い、彼を表現する その呼び名の数々。
兎も角、傑出した才人であると言うことだけは一貫した評価の人物である様で、
そんな彼は、もうじきやって来る王国側からの使節団を、迎え入れるこちら側の――事実上の内偵を王より命じられ、一足先に一人、現地入りした、そう言う立場の御仁であるらしかった。
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