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悪役嫁、姑と対決する

夫が会社を辞めた。

普通なら「どうしよう!」と思うところだけど、2回の巻き戻りを経験して「良かった」と思う。

さて、今日から家にいるわけだ。

幸い今日は日曜日で私も休みだったので、これからの事を話すことにした。


「さあ、明日からの計画をたてましょう!」


というと


「とりあえず、ハローワークだな」と夫。


「いや、その前に」


私は昨日考えて書いた用紙を広げた。


「失業している間にする事」


①冬真の保育園の送り迎え


②買い物に行く


③掃除洗濯


④夕食の献立を考えて料理を作る



「えっ、これ俺が全部やるの?」


「そうよ!ただ、料理はちょっと難しいと思うから、しばらくは私が買ってくるものを書いて下ごしらえの手順を書くから野菜とか肉を切っておいて。

ハローワークに行く以外用事ないんだし、私が「働きながらこなしていた」事ぐらい出来るよね」


そして用紙を裏返した。


⑤料理教室に行く


「なんだよ。それ!」


「うん、この機会に料理が出来るようになってもらおうと思って。私の会社のマリちゃんが行っているところなんだけど、毎週木曜日にあるんだって。あっ、マリちゃんは土曜日の教室らしいけど土曜日は人気で空きがないから木曜日ね」


「何だそれ、勝手に決めんなよ!」


夫が切れかけた。


「そこになおれ!」


「だいたいね、今まで家庭を顧みなかったのを反省するいい機会よ。それにね、料理教室、先生もきれいで女性の方ばかりできっとパパモテモテよ。料理が出来る男性なんて素敵じゃない!」


夫はしばらく考えていた。

そして、意外な事に


「それもいいかもな。いい気分転換になるかも」


と言った。


ふふっ、会社の後輩のマリちゃんは20代後半の独身の女性。

確かにマリちゃんが行っている土曜日は若い女性がいっぱいよ。

でもね、平日の話を聞くと「マダム」が多いらしい。

たまに定年後の男性などもいるそうだ。


マリちゃん、1月に1回ぐらい有給とって料理教室のアシスタントに行っている。

副業とかではなく、実はこの教室マリちゃんのおばさんはやっている教室で、マリちゃんは将来おばさんから引き継ぎたいらしく、ボランティアで手伝っているんだとか。

今の会社はとりあえずの収入とその資金のためと言っていた。


ちょうどこの頃からブログが流行り始めて、マリちゃんもお料理の記事をアップしていて、ひそかに大人気だ。

ちなみに過去2回ともマリちゃんは結婚後に退職しておばさんのアシスタントに正式になり、その後料理教室を引き継いでいる。


私もちょうど、この数年後からブログを始めた。

夫の愚痴と会社の愚痴と。

過去2回とも秘かにしていたため、マリちゃんのようにアクセス数は伸びなかったけど、ネットを通じて繋がりが出来て、その縁で在宅の仕事などをもらったりした。

今回は少し早く初めて、縁も繋ぎながらマリちゃんのように自分の道を探すつもりだ。

今のところ、夫が落ち着くまでの1年だけ、この会社にはいることにした。

そうしないと実は2年後に大変な騒動に巻き込まれることになることをしっている。

ただ、今は後回しに。


翌日、早速会社に行きマリちゃんに「よろしく」とお願いした。


「春先輩まかせてください!伯母にもしっかりご主人見張っているように言っておきますね!」


マリちゃんが言って二人でちょっと悪そうな顔して笑いあった。

悪役嫁は悪役顔になるのだ。

5歳下のマリちゃんには私の愚痴をよく聞いてもらっている。

年齢は下だけど友達といっていいと思う。

大体、もっと年を取ると5歳の差なんて関係なくなるなと思う。

まあ、2回の経験からだけど。


そして、何故夫を料理教室に行かせるか。

1回目なんだけど、夫は「資格を取る」と言って通信教育に申し込んだ。

ところがだ、届いた教材を1回も空けることなく失業期間を過ごした。


お金がないのに頑張って申し込んだのにまったくの無駄になった。

それを処分するときの怒りと来たら!

2回目は離婚したからわからないけど、きっとこの時は私と別れる方が大変だったと思うから教材は申し込んでないだろう。


ハローワークには行っていて一応は就職活動はしていたけど、日中ずっと家に居てソファーに座っていた。

なぜ、ずっとソファーなのか分かるのかと言えば、に夫の座ったば所にカビが生えたからだ。

信じられん。


なので考えた末の料理教室。

絶対に資格の為の教材を取り寄せるよりいい。

それにちょっと時期はずれているけど、夫はこのあと長く就職が決まらないのを知っている。

過去2回ともこの数か月後に長く勤めた会社に決まっているから。

他に決まるなら決まる方がいいけど、きっと今回も同じになりそうだ。

その会社はハローワークに出ていたのではなく、「チラシ」で募集していた。

今回は過去2回よりよりちょうど3月ほど退職が早くい。

過去2回は辞めてから2か月後にこのチラシと出会う事になり、その翌月から働くことになる。

なので、あと半年後。

前は雇用保険を貰う事はなかったけど、今回は3か月後には貰えると思う。

この頃は、自己退職の場合は2か月後からの支給だった。

将来法が改正されることになるんだけど。


翌週から夫は、料理教室に通い始めた。

ただ、「おばさんばかりだよ」と文句を言っていたけど、なんだかとても楽しそうだ。


そして、これは驚きなんだけど同世代の男性がいたのだとか。

すっかり意気投合したんだと言っていた。

そして、二人は、おばさまたちの「アイドル」のようになっている・・・と言うのをマリちゃんから聞いた。


すばらしい!


そして料理教室の日の夕飯は、その料理教室で作ったものが出るようになった。

片付けも夫だ。

マリちゃんの伯母様、つまり先生が「作りながら片づける!料理は洗い物まで!」と教えてくれたようだ。


その他の日の夕飯も作ってくれるようになり、なんと二人で台所に立つこともあった。

冬真もちっちゃい手で手伝ってくれる。


正直、これを1回目で出来ていたらと思う。

そして、2回目は出来るわけもなかった。


そんなある日、やっぱり嵐はやってきた。

ちょうど、私は帰宅して洗濯物をたたんでいた。

夫は料理教室から帰宅して、作ってきたものを食卓に並べてこの日作ったものに合う副菜を聞いたのだと言って作っていた。


けたたましいインターホンの音と共に


「雅樹!春さん!これはいったいどういった事!」


とうとう、姑がやってきた。



「雅樹を辞めたと聞いたわ!それになんであなたが作っているの!春さんがやりなさい!」


ああ、今聞いたのか。

実は、夫は舅にだけは話していて「父さんから伝えて」と言っていたらしい。

舅は多分、姑が出張るとややこしいことになるので今日まで黙っていてくれたんだろう。

舅は穏やかな人でなぜこのわがままな人と結婚したのか?と思う。


姑のモットーは

「男子厨房にはいらず」だ。


それなら料理人はどうなる?と思うし、大体舅は海辺の出身で魚をよくさばいている。

そこだけ姑は舅にさせている。


ただ、これも実は後日舅が困ることになるんだが・・・。


「あら、お義母さん。いらっしゃいませ。いつも突然ですね!今雅樹さんがお料理作ってくれているんです。一緒にどうですか?」


真っ赤な顔した姑が


「ご飯を作るのは女の仕事なのよ!」と言った。


「そこになおれ!」


私は叫ぶ。

今まで姑に怒鳴ったことなどなかったため、姑がビクッと飛び上がった。


「お義母さん、女の仕事と言いますが私も外で働いています。じゃあ、外で働くのは男性の仕事ですか?」


「あ、あなたが勝手に働いているだけじゃ・・・」


「いいえ!違います。雅樹さんのお給料だけでは食べて行けないからです。ローンもあるし。」


そう、夫の元の会社の給料はとても低かった。

そして、再就職の次の給料も低い。

ただ、最初の会社よりは安定はしていた。

なので、1回目の時は私が次に失業しても節約をしてもなんとかなったのだ。


姑は最初の勢いがそれてしょんぼりした。

実は、わがままな姑だけど気が弱いところがある。


「母さんも食べていけよ。俺、今料理教室通っているんだ」


姑が食卓の上を見た。


とてもおしゃれな料理が並んでいる。


「今日、作ったんだ。さあ食べて!」


「おばあちゃん、お父さんの料理美味しいだよ!」


冬真が姑の手を引いた。


そこからは和やかに時間が流れた。

夫から何故、会社を辞めることになったのか、そして今料理は楽しんでやっているし友達も出来たと。

就職活動も頑張っているので心配しないでほしいと。


私も

「私が働いて良かったと思います。雅樹さんを支えられるので」

と悪役嫁を引っ込めて殊勝な事を言うと姑はちょっと目頭を抑えて


「美味しいわ。人に作ってもらって食べるって美味しいのね。それも息子に作ってもらえるなんて幸せだわ」と言った。


何かが変わってきていると思う。


その時、夫の携帯がなった。

そういえば、この頃まだガラケーなのよね。


「元同僚からメールが来た。会社が倒産したって。社長一家は夜逃げだそうだ」


「まっ!」

姑が絶句する。


私はわかっていた。

ただ、ちょっと前の2回より早いなとは思った。

夫からいやうちからお金を巻きあげられなかったから早くなった可能性はあるな。


「これで良かったのね」と姑が言った。


「ああ、早く脱出出来て良かったよ」



「ほんと良かったわ。今度お父さんにも作って食べさせてあげてよね」



おお、なんと舅の事を忘れていた。

ただ、聞くとちゃんとご飯を作ってきたと姑は言っていた。

どうやら食事途中に舅から話を聞いて、途中で飛んできたらしい。

うちからご両親の家は車で10分である。

近いからすぐにやってくる。


夫が作ったと言うデザートをお土産に持って姑は帰って行った。


見送ったあと夫の形態にまたメールが入った。


「えっ?社長の奥さんからだ」


ええええええ~~~!

あの相談自称美魔女(段々長くなるな)?

今頃、またなんで?

夜逃げしたんじゃないのか?


夫がメールを見せてくれた。


「相談したいことがありますお会いできないでしょうか?」


よし!わたしが成敗してやる!



【冬真の一言】


ママ、おばあちゃんにはいつも「はい」しか言わなかったのに

また


「そこになおれ!」っていった。

かっこいいな。


そして、ぼくがねるまえに何かを見て


「オーホッホッホッ!」ってわらっていた。

テレビのレンジャータイにでてくるわるもののおんなのひとみたいだ。


でも、かっこいいよ!ママ。


でもね、パパのつくるごはんはママがつくるよりおいしいってのはヒミツだよ。

ママのごはんもおいしいんだけどね。

うちの夫も料理教室でも通ってほしい。

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