22話
…にしても従者。ふーん従者か。
ジト目でジークを見つめてみると、バツが悪そうな顔で目をそらしやがった…あとで屋上、もしくは校舎裏案件だな?
「…貴方方の内心、内情などワタクシの知ったことでは無いですが、依頼を受けた以上はしっかり働いてくださいね?」
おぉーこわ。しっかり圧をかけてくる、さすが王女。
まぁ【燐光覇】のパーティ全員の顔…というか表情が死んでるのを見れば何かがあったのかはわかるからな…
「…アルフ……」
エステルが小声で呟く。すまんな、正体はまだ明かせそうにない……
「んデ?イツ出発するンです?」
片言訛りで俺が切り出す。正直このお通夜みたいな雰囲気は耐え難い…
待ってました!と言わんばかりにふふふとニーニア王女が笑う。
「今、ですわ!」
ニーニア王女が高らかに腕を挙げ、指を鳴らす。
次の瞬間には全員、ダンジョンの前に転移していた。
密林にある洞窟の入口…それがどうやらダンジョンの入口らしい。
「ここが過去、王家の試練に使われていた不思議なダンジョンですわぁ!!ダンジョンクリアでどんな願いでも叶えてくれる…と口伝で伝わっていますの!!」
その言葉を聞いて、エステル、ユナ、ネルの顔付きが変わった。
重騎士ラルだけが面白くなさそうに舌打ちをしていた。まぁそうだろうな…
「さぁ行きますわよ!!」
ニーニア王女と共に【燐光覇】パーティがダンジョンに突撃する。
俺も依頼だから仕方ねぇか、と頭を掻きつつダンジョンに入る。
「…俺はそんな口伝…聞いたことはないんだが…」
1人遅れたジークがダンジョンの外でそうポツリと呟いた。
結果ダンジョン攻略は驚くほど簡単に、拍子抜けするほどにあっさり攻略できてしまった。
まるで誘われいるように。
狂武闘家ネルが無鉄砲に突っ込み雑魚を蹴散らす。
魔導剣賢者ユナが雑魚を尽く討ち滅ぼす。
勇者エステルは眼前の雑魚を切り伏せる。
前を3人に任せ、俺、ジーク、重騎士ラルの3人でニーニア王女の護衛。
バックアタックも無いまま、ほんの少しだけの襲撃から守るだけ。
「…拍子抜けじゃねーか」
ラルが呟く。
「同感」
俺もその言葉に同調する。
「おかしい…こんなに魔物がいないなんて……」
「ジーク…ブツブツ何言ってんだ?」
そしてたどり着いた最深部。
大きな木の幹とその根っこで構成された広い空間に出た俺達。
「…ボスが居ねぇ…?」
圧倒的違和感。それは手遅れを知らせる誰かの笑い声。
「辿り着きましたわぁ!!私はここに用事があったのです…『さぁ教えて?願い事を?』
「なにを…なにをしている!?ニーニア!!」
ニーニア王女はエステルの間の前に立ち、その両手でエステルの頬を包み、問いかける。
願いはなに?…と
「私の願いは…!!」
瞬間、目の前の世界が光に包まれ暗転する。
暗転前に見たのは…ニーニア王女ではない背後に取り憑いていたナニカの汚ぇ笑い顔だった。
〜NOW LOADING〜
「ここはアスガルムか…?」
暗転が開けた世界で目を開けると広がるのはアスガルムの城下町。
「えすて…ッ!?」
その中に見知った顔が…俺の横を通り過ぎる。
【燐光覇】の全員が笑顔で。
俺には目もくれず。ただ通り過ぎる。
俺が知らないヤツを囲みながら。談笑しながら、通り過ぎる。
「いやぁー…無事で良かったなぁ!アル!」
ラルが、少年か?少女とも見れるヤツの背中をバシバシ叩く。
「…ホント良かった。心配したんだから、アル。」
ネルがアルとやらに抱きつきながら歩く。
「心配したんですからねっ!」
ユナはアルに歩調を合わせながら…
『大丈夫やで!ワイがその間守っとんやからな!』
祝福刀クサナギは俺の腰ではなく、ヤツの腰に。
「これでみーんなで旅ができるねっ!」
そう喜ぶエステル。
「ごめんね、皆。心配してくれてありがとう。今度は離れ離れにならないよ…!」
アルがそう返答した……俺はただ、その幸せそうな景色を見た。
「あん?…そーいやエステル。お前呼ばれてなかったか?」
「ファンかな…?うーん…えーっと…知らない人しかいないなぁ…」
エステルがラルの言葉で振り返りこちらを見るが、知らないと言い放つ。
あぁ…そうか……
俺はまた、追放されたのか。
エステル達が幸せそうでよかったね!!




