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33(婚約編)

1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。

 行きたくない…。でも、仕事はしたいし、色々やりかけてて気掛かりだし…でも、ジェイク様に会いたくない。


 私が仕事を辞めても、リアンは尊重してくれるわ。でも、ここで辞めたくない。夢だったもの。知識と経験があれば、リックがルパルト領の経営に悩んだときも助けてあげられるかもしれない…でも、ジェイク様に会いたくない。


 堂々巡りに、溜息が止まらない。私の人生なんて、誰かの一存でどうにでもなるんだわ…。



 シーサが「フロイト公爵令嬢様がお迎えにみえてます。」と言うので、驚いて階段を降りていくと、リアンとビアンカが玄関で話しているところだった。

「ミリィ、おはよう。迎えに来たの。」

 フロイト公爵家の豪華な馬車で、揃って王宮へ向かう。ビアンカは申し訳なさそうに話し始めた。


「昨日は、本当にごめんなさい。心から謝罪いたします。父に相談したところ、父は退位し、兄が宰相を継承することに致しました。また、第二王女様へ婚約を願い出て、兄の地盤を固めて参る所存です。今後は、フロイト公爵家がコール伯爵子息様の後ろ支えとなりますので、今回のことはどうかご容赦くださいませ。」

 深々と頭をさげたビアンカを見て、私とリアンは、目を見合わせて驚く。


「フロイト公爵令嬢殿、謝罪は受け入れる。また、あなたが頭を下げる必要はない。この度の兄上の御栄転、お喜び申し上げます。フロイト公爵家が私の支えになってくださるとの申出、有り難くお受けいたします。」

 リアンも深々と頭をさげた。


「ありがとうございます。このままだと、ミリィに顔向けできませんもの。ミリィ、私のこと許してくれる?まだ、親友だって思ってくれる?」

 ビアンカは、目に涙を浮かべている。私は、ビアンカの横に座り直し、強く抱きしめる。


「ビアンカ、大好きよ…。許すも何も、ビアンカは悪くないもの。今までも、これからも、ずっと親友でしょう?」

 ビアンカは涙目で、うんうんと首を縦に振っている。私は、ビアンカの頭を撫でる。撫で続けると、だんだんビアンカに笑顔が戻ってきた。




 事務室に着くと、皆んなが「ジェイク様が宰相に任命されるらしい。」とざわめいている。そこに、肝心のジェイクが現れた瞬間、皆んなの息が止まった。


「おはよう。皆も知ってるかもしれんが、宰相になることになった。父が急に辞めると言い出してな…午後、任命式があるので、後のことはよろしく頼む。」

 皆んなの注目は、そこではない。


「……?あぁ、これな?朝起きたら、こうなってたんだ。妹にやられたらしい。」

 ジェイクは、ひどく剃り込まれた頭を掻いている。


「頭がすーすーして、敵わん。ははっ。」

 昨日まで存在していたはずの豊かな金髪が無かった。


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