21(婚約編)
1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。
週末まで長かったわ。毎日へとへと!
やる気とは裏腹に、ジェイクの指導について行くだけでやっとだった。
今日は、ビアンカと待ちに待ったカフェに行く日。
「リアン、どの服が良いと思う?」
「んと、赤かな?でも、全部、似合うよ。」
「ふふっ。赤にするわ。」
恥ずかしいけど、貧乏だから服のレパートリーが少ない。クローゼットの中はがらんとして、文官のローブが目立っている。
「ミリィ?来週の週末は、暇かな??俺と買い物に行かない?服とか、装飾品とか…」
「買い物?…んと…行かない。」
私は持参金もなく、身一つでコール伯爵家に来て、お世話になってしまっている。あと、年越しパーティのドレス費用をルキに返済しないといけないし。自分の貧乏さに、溜息が出る。
「若旦那様、ミリオン様がお着替えされますので、ご退出くださいー。」
シーサに押し出されてくリアンは、何か言いたそうな表情をしていた。着替え、見たかったのかな…?
「シーサ、髪型はなんて言うか…私の地味さと服の質素さを補う感じにできる?」
シーサは大きな身体をリズミカルに動かしながら、緩く捻ったり、細かく編み込んだり、素敵に結い上げてくれる。後れ毛が、くるくるしてて、とても華やかだわ!
「行ってきまーす!」
「ミリィ、待ってくれ。送ってく。」
馬車の中で、なぜかリアンは、口を開きかけては閉じ、を繰り返している。お店は行列ができていて、すごい人気なのが分かる。
「あ、ミリィ、ここよ!」
ビアンカは、お店の外で待っててくれてた。
「ビアンカ!」
「フロイト公爵令嬢殿、今日はミリィをよろしく頼む。」
「ケーキを食べるだけなのに大袈裟ね。ミリィ行きましょ!」
ビアンカに手を引かれて着席した私は、可愛い犬の顔のチョコレートケーキを、ビアンカはライオンのモンブランを選んだ。
迷ったけど、えいっと耳から食べると、チョコとラズベリーソースが合わさって美味しい。ビアンカは、ライオンの口の部分に刺さっていたシマウマ型のクッキーを取って、またお菓子作りしたいわと言いながら、もぐもぐしていた。
ビアンカは今、王宮で第2王女の女官をしている。職場が近いし、終わってから、お菓子作りするのもいいかも。
ひそひそ声で…
「王女様のお相手は、本当に大変よ。まだ、物分かりの良い第2王女で良かった。第3王女だったら、1週間も持たなかったかも。ルキ様も、気の毒だわ。」
「そうなの?」
「シシリーナ王女は我儘だし、自由奔放で有名なの。仕事なら辞めればいいけど、ルキ様は婚約者でしょ?逃げられないわね…。」
「大変そう。てっきり良い縁談なのかと思ってた。」
「まさか…!爵位も弟に譲ることになって、帰るところもないのよ。隣国に連れてかれて、シシリーナ王女にまんまと囲われたってわけ。」
「知らなかったわ。ルキ様、大丈夫かしら?」
「本当、見目麗し過ぎるのも玉に瑕ね。シシリーナ王女のお気に入りの殿方は何人かいたみたいだけど、ルキ様が適任だったのよ。彼って、社交的で器用だし、ちょっと腹黒いでしょ?だから、意外とシシリーナ王女を上手く操縦してるかもしれないわ。ふふふ。」
「それなら良いけど。ビアンカ、私からも報告!実は、ビアンカの上のお兄様が上司になって、仕事を教えてもらってるの。」
「えぇ!?ジェイクお兄様が??そんなことあるの?」
「そんなにびっくりする?私が行った時には、もう決まってたわ。」
「びっくりするわよ。ジェイクお兄様は、女嫌いなのよ。昔、婚約者にこっぴどく浮気されて、女という存在を忌み嫌ってる。お母様と私は話してもらえるけど、メイド達とは一切話さないわ。」
「確かに言葉は少ないけど、的確に教えてくれるし…とりあえず、会話はできてるわ。」
「ミリィ、すごい!」
「そうなの?ふふ。」
ビアンカが、ライオンの顔を真っ二つにして食べ始めたので可笑しかった。それから、鼻息を荒くして、王宮でのスキャンダルを面白く話してくれるので、お腹をかかえて笑ってしまった。すぐに時間は経ってしまい、来週は王宮と事務棟の間にあるカフェテリアでランチしようと約束して、お店の外で別れた。




