18(婚約編) リアン〜side〜
1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。
定時退勤。俺の今日の目標だ。明日からミリィも仕事だし、今日はミリィとゆっくり過ごしたい。
騎士団の朝は、剣稽古から始まる。一対一の勝ち抜き戦だ。
「はい!俺が一番手やります!」
次から次に、抜刀即斬!先輩も上官もお構いなし。烈火の如く、剣を振り、最後の相手まで駆け抜ける。これが、1番早く終わる方法だ。
朝稽古の後は、事件の見張、突入、捕縛だが、これは組織の底上が効率に良い。俺は、策を練り、それを丁寧に仲間に説明する。最小限の時間で、最大限の効果を!先輩も上官も叱咤激励し、奮起させる。
詰所に帰還し、報告書を上げれば、もう帰っていい。俺は、2倍速でペンを走らせた。
「お先です!」
ザワザワ……団員の皆が、俺の気合いに朝から恐れ慄いていたことはつゆ知らず、俺は呑気に定時退勤した。
意気揚々と家に着くと、あれ?…ミリィがいない…?
フロイト公爵家に出掛けたと聞き、ディミトリを恨めしい顔で睨む。
「若旦那様から、ミリオン様が望めば何でも叶えるよう仰せつかっております。」
…言ったけど!
待てども待てども、帰ってこない。門扉付近を徘徊したり、いっそフロイト公爵家まで迎えに行こうかと準備していたら、ディミトリに止められた。
「申し上げ難いのですが…今、迎えに行ったら嫌われますよ?」
…俺に落雷したかと思った。
よろよろと執務室に戻ってきた俺は、悲壮のまま、書類を片付けることにする。
気付くと、外は真っ暗だ。さすがに迎えに行っても良い頃合いじゃないかと思っていると、馬車の音がする。いそいそと玄関で待っていると、ミリィが帰ってきた。
出迎えも早々に、ディミトリに急かされ、夕食を取り、寝る準備を済ませることになった。
コンコン…。
「失礼します。若旦那様、ミリオン様が就寝されます。」
「分かった。シーサ、今日のミリィはどうだった?」
「今日のミリオン様は、お友達と会えて楽しかったみたいで…帰りの馬車の中で、ハミングされてました。」
「は、はみんぐ?」
「はい、小鳥さんかと思いましたー。」
「……さがっていい。」
この敗北感はなんだ??
そのあと、ミリィの部屋におやすみを言いに行ったところまでは良かった。
問題は、そこからだ。
いつの間にか、俺はミリィをベッドに押し倒していた。
広がる波打つ柔らかい髪の毛…ヴィオレットの瞳に引き寄せられて、近づく体温が混ざり合う。
触れた唇から漏れる吐息が、俺の名前を呼ぶ声だと気付いたら、もう止められなかった。
激しく、そして優しく。
赤く熱った頬、潤む瞳…華奢な肩、細い頸、ミリィのすべてにキスをして。
初めて会ったあの日から、これまで言えなかった「好き」の言葉は、何回言っても足りなくて。
白い肌に跡を付けながらも、所有されてるのは俺だと思う。俺はもう、ミリィなしでは生きられないから。
シーサはエプロンを付けた女版海坊主をイメージしています。
ミリオン・ルパルトは、小柄で華奢、大きく緩いウェーブの白金の髪に、薄めのヴィオレットの瞳で、儚げな見た目だけど、真面目でしっかりした性格の女性とイメージが固まりました。リアンに一途で、リアンだけが特別で、リアンの前でだけ素の自分を出せるような、そんな女の子にしたいです。




