表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/46

15(婚約編) リアン〜side〜

1話ずつ毎日21時頃の更新予定です。

 俺は獣かっ!

 頭を冷やすため、水を大量に浴びる。


 ミリィの艶やかな瞳を見たら、理性を失った。


「はぁー。」

 初めてのキスは、綺麗な花畑や月夜の晩みたいな場所でするべきなのに…取り返しがつかない。


 柔らかかった。そして甘かった…。


 消えろ、煩悩!!と再度、大量の水を浴びる。


 これから歓迎会もあるし、時間がない…取り戻せ、理性を。




 歓迎会では、ミリィもちゃんと食べてたし、卒業式の頃より顔色もだいぶ良くなった。でも、今日は疲れてるだろうから、早く休ませた方がいいな…。シーサに目配せする。


 俺も寝る準備を済ませ、明日の書類に目を通す。


 コンコン…。

「失礼します。若旦那様、ミリオン様が就寝されます。」

「分かった。シーサ、今日のミリィはどうだった?」

「はい。今日のミリオン様は、お優しくて、ゆるふわで、すべすべで、あと良い匂いがして、その…最高でした。」


「はぁ。もういい、さがれ。」

 頭が痛い。シーサよ、そういうことじゃないんだ。



 ミリィの部屋に行くと、ベッドで文官入門を読んでいる。俺に気付いたミリィは、ほっとした表情をした。


 手を握るとミリィの指先が冷たい。心配になり、さすっているとだんだん温かくなってくる。瞼を閉じたミリィから、すやすや寝息が聞こえてきた。


 こうして見ると、寝顔のミリィは5年前に初めて図書室で見たあどけない少女のようだった。あの頃も、王立学園や煌びやかな王都の生活に慣れずに困っていたが、今もそうなのかもしれない。慣れない家に連れてこられ、慣れない人間に囲まれて、慣れない食事をし、慣れない寝台で眠る。ミリィに負担ばかりかけている。文官の寮は学園の友人達もいるのに、ここに連れてきたのは、少しでもミリィと一緒にいたい俺の我儘だった。


 そっとミリィの柔らかい髪に口付けを落とし、部屋を後にした。



 次の朝、ディミトリに、今日ミリィが何かしたいと言い出したら叶えるようにと指示し、あと朝食は一緒に食べる旨を伝えた。


 2人の居室にあるテラスに、ミリィは座って待っていた。逆行の朝日に照らされて、白金の髪が透け、細い頸が美しい。


「おはよう。ミリィ。」

「おはよ!リアン。」


 ミリィは、カイチの作るパンが気に入ったようで、「ルパルト領の小麦の薫りがするし、もっちもちよ!」と喜んでいた。


 朝食の後、出仕の準備をする俺を見にきて、「このタイは、私が結ぶわ!」とか「後姿、よーし!」とか、世話を焼きたがった。可愛いすぎる。


「いってらっしゃい。」

 ミリィが、俺の左頬にちゅっとキスしてくれる。

「くっ…行ってくる。」

 俺は、名残り惜しいまま、出立した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ