12.孤独な女王(6)
お城に招待されたラルクたちは、キョロキョロと辺りを見ていた。高そうな壺に花瓶。庭には、手入れされた白い薔薇と青い薔薇の花壇。
そして赤いカーペットならぬ白地に金色の蝶が描かれたカーペット。白い玉座。
「真っ白ね」
「知らないのか?このルティス王国は、その昔、龍王ザルクルフが一人の人間を助けその人間が国を作り王様になたってその王様が“龍王の色である白をモチーフにした城にしろ”って言った伝説からこの城の名前が別名“白銀の城”なんだ」
得意気にラルクは、言ったがエルフであるルリラナは、どうでもいいような呆れた顔で、部屋に入って行った。それをみたサンは、笑いながら
「ククク…ドンマイ」
「変な笑いながら言うな!」
「そんなら…プププ…ドンマイ!」
「バカにしてるのか?」
「…………クハハハハハ!残念だったな!」
「どこぞの魔王だよ」
サンがボケてラルクが突っ込む。何故か仲が良い二人に不思議そうな目でトラードは、見てルリラナの後を追うように入っていった。
「……入るぞ」
「ああ」
大きな部屋だ。白いベッドに白い壁あらゆるものが白色だ。しかし、ミコトが着ているドレスは、白ではなく黄色。腕を組み椅子に座って、待っていた。
「どうやら二人は、友達になったみたいだな」
優しい顔でミコトは、サンに向けて言った。しかしサンは、目をそらし
「違います!」
「フフフ…まー座れ、俺の部屋に招待したのは、訳があるからな。
お茶とお菓子を食べながらでもゆっくり話そうではないか」
ラルクは、三人が座っているテーブルへ行き空いている椅子に座った。サンは、持ってきた紅茶と色とりどりのマカロンを皿に置き一人一人に配り始めた。
「今日は、マカロンか」
「はい。ミコト様。ピンク色のがピスタチオ味で緑色のがイチゴ味です。
今日の紅茶は、ミスタナ産のダージリンティーです」
「ありがとう」
サンは、深くお辞儀をして、ミコトの後ろへ立つ。
ミコトは、空をみて深呼吸をして
「私が生まれる前、この国の前王であり我が父のハートイルと妃の間には、子供が生まれなかった理由で、愛想を尽くしたハートイルは、愛人をくった。そして、愛人との間に子供が生まれた。それが俺だ」
愛人との間で生まれた子供。当然王として示しはつかない。その上、妃にとっては、侮辱にしからないのだ。
「屈辱を味わった妃は、黒いローブをきた人に会いこう言った“愛人とその子を殺してきなさい”とな。その黒いローブを着た人は、ミコト様の母親を殺して、ミコト様を殺したってことにして守っただ」
「どうしてなの?」
ラルクは、頭のなかで、整理をする。ミコトは、愛人と王様から生まれた子供。その嫉妬心から愛人とミコトを殺すことにした。しかしそいつは、ミコトを守った。
「それがもし全て、俺がハートイル前王の娘だと解ったのも母親が誰に殺されたのかもそして、ハートイル前王を殺した事も全て“朱獅子の目”と名乗る黒いローブをきたやつだとすれば、答えは、ひとつある」
「なんだよ?」
「お前だ」
ミコトは、ラルクに指を指し目を見ながら言った。ミコトは、立ち上がり引き出しの中から琥珀石をだしラルクに渡す。
「それはお前がよく知っている筈だ。マーキュリーへ行け。そこにアークルのみこがいる」
「どうしてそんなことを?」
みこを探しているとは、言っていない。ラルクは、何かを隠しているような気がしたトラードは、首を傾げラルクを見た。
「“白銀の青年が現れたら力になれ”と言うのは、代々王家に伝わる伝統みたいなものでな。ラルクが白銀の髪と言うことで、俺は、それを伝えたまでだ」
そう言って、椅子に座る。
「部屋も用意してあるから今日は、この城でゆっくり休め。
おい、この者を部屋に案内しろ」
ミコトの声が聞こえたのか、部屋の外にいたメイドたちが現れた。
「こちらへどうぞ」
「はい。ありがとうございます」
ラルクたちは、立ち上がりメイドの後を追うように歩き始めた。ふとラルクは、何かを思い出したのか立ち止まり振り向く
「ミリア」
「なんだ?」
「お前がどう由来で孤独な女王って言われてるか知らねぇが、お前は、孤独じゃあねぇよ。サンもいるし俺たちもいるだろ?」
そう言って、部屋から出て行った。ミコトは、サンを見て扉を見つめた。
「ッククク…面白い奴だ」
独りではない。不器用ながらそう言われた気がした。ミコトは、にっこり微笑み窓から空を見た。