11.孤独な女王(5)
状況は、ともわれやっとの思いで、魔物を街から追い出すことが出来て安心したのかミコトは、空を見てホッとした顔で目を閉じる。
「亡くなった人の人数は、何人だ?」
「大人8人子供が7人です。負傷者は、大人子供合わせて20人です」
「そうか…」
15人も殺してしまった。ミコトは、歯を食い縛り目をあけ前を向く。すると、兵士が、ミコトの所へ行き膝まつく
「王女様、不思議な事があるのですが…」
「なんだ?」
「負傷者の皆が口を揃えて、空から降ってきたオレンジ色の髪をした女性に怪我を治してくれたと…」
空から降ってきた?ミコトは、首をかしげて兵士を見る。
空を飛べるものと言えば、鳥系の亜人だ。しかし、昔は、多く居たらしいが今では、亜人など珍しい種族だ。そして、人間を助ける亜人も聞いたことがない。
「亜人なのか?」
「いえ。ご確には、屋根の上から飛び下りてきたらしいです。一番驚きなのが、その女性がごく普通の人間らしく魔法で直してくれたらしいです」
「人間がだと?」
人間が魔法が使えるわけない。魔法道具があれば話が別だが、話の流れ的に違う。なら、見た目が人間だけども他の何かだとすれば、ハーフだ。治癒魔法が得意で、善に溢れた種族とすれば人魚。だとすれば、人魚と人間のハーフなのだろ。
「その者は、どこにいるんだ?」
「それが、解らないです」
「解らないだと?何故だ?」
「解りません。雲隠れをしたかと思うほど、オレンジ色の髪をした女性が見当たらないらしいです。皆は、礼を言う前に立ち去ってしまってたので、残念がっていました」
サンは、そう言いながらミコトにローブを羽織らせ、ボタンを止め終わった同時にミコトは、フードを深く被り歩き出す。
「サン、行くぞ」
「はい」
ミコトとサンは、ラルクたちがいる中央広場へ向かい亡くなった人の最後の祈りをすることにした。
最後の祈り。永遠の別れ。葬式。ラルクたちは、目をそらすことが出来なかった。しかし、見ていられなかった。逃げたいのに逃げれない。足が、動かなかった。
ふと小さな女の子を抱えた父娘がいた。
「ねぇ!パパ!ママ、大好きな綺麗な花に囲まれてお昼寝をして幸せそうだね!?」
「そうだな」
父親は、ぎゅっと女の子を抱き締めて、涙を浮かべる。それを不思議そうに女の子は、父親をみる。
「どうしたの?パパ?何で泣いてるの?ポンポンが痛いの?」
「何でもないよ。さぁお花をママにあげような」
「うん!」
そう言って女の子は、花を飾る。この女の子は、母親の死を解っていないのだ。ミコトは、握る拳をほどいて、父娘がいる所へ向かった。
「私も花を飾っても良いですか?」
「うん!」
ミコトは、微笑み女の子の頭を撫でポケットからイチゴの飴を見せる。
「あげる」
「わぁ!お姉ちゃんありがとう!」
女の子は、嬉しそうに飴を父親にみせポケットにしまった。
「強く生きるんだ」
女の子は、首をかしげてミコトをみた。白色の花を置き手をふってラルクたちがいるところへ向かう。
「待たせたな」
ルリラナは、黙ってじっと父娘をみて空を見る。
「消えゆく 灯火 ーー
私は 生きる ーー
忘れぬ心と共に 前を向いて歩け ーー
また 何時の日で 君と会うために ーー」
ルリラナは、静かに歌う。ミコトは、首をかしげてルリラナをみる。それに気がついたラルクは
「エルフが死んだ人への歌で “お前が死んで俺は生きる。お前の事は忘れずに未来へ進むから、生まれ変わったらまた会おうな”って意味なんだ」
生まれ変わったらまた会おうね。ミコトは、空を見る同時に亡くなった人へ次から次へと火が付けられていった。燃えていく炎の音と同時に泣き叫ぶ声も聞こえる。あの女の子も泣いていた。
「パパ!ママをたすけてよ!ママがあついあついしてるよ!痛い痛いって言ってるよ!?ママー!ママー!」
「!!!っ……!ごめんよ…パパが弱くて、ママを守れなくて…ごめん…」
父親は、泣き叫ぶ女の子をぎゅっと思いっきり抱き締めた。
ミコトは、目を閉じて深呼吸をする。
「 消えゆく 灯火 ーー
私は 生きる ーー
忘れぬ心と共に 前を向いて歩け ーー
また 何時の日で 君と会うために ーー 」
ミコトは、ルリラナの見よう見まねで静かに歌う。ミコトの目には、涙がうっすら見えた。
「私は生きるーー」
涙を拭き歩き出し振り向いた。にっこりと微笑み
「少しだけ昔話をしたい。城に来てくれないか?」
「え?あ、ああ」
ミコトの笑顔に不思議に思ったラルクは、首をかしげミコトをみる。いや、ミコトの笑顔だけではない。こんなにも街を守ろうとしている彼女は、何故孤独な女王と言われているのだろうか?ハーフだから?鬼族だから?理由がハーフだとしたら
「全て人の心がそうしてるんだよな」




