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初めての作品!よろしくお願いします!
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ここはルミナリア王国の令息令嬢が集まり、領地経営や、社交、魔術を学ぶ王立学園だ。
いつもはきっちりとした制服を着用し、学友と共に勉学に、交友にと切磋琢磨の時を重ねるこの場所が、今日は完璧な正装に身をつつんだ令息達と、美しいドレスを身に纏う令嬢で溢れていた。
今日は王立学園高等部の卒業パーティー。
しかし、そのきらびやかなホールの中心で、シャンデリアの光をキラキラと反射させるほどの美しい金髪の男がサファイアの様な瞳に激しい怒りを写し、一人の令嬢を糾弾していた。
「フィーネ・ルピナス男爵令嬢。貴様の悪行の数々、方々より報告が来ている!我が愛しのアリステリアへの蛮行!許さんぞ!」
大勢の令息、令嬢が見守る中、この国の第一王子クリス・レオンハルト殿下の怒号がホールに響く。
そしてクリスの隣には燃える様な赤いドレスを身に纏い、黒曜石の様な黒く長い髪の令嬢が、美しいアメジストの瞳は毅然と前を見据えて立っていた。彼女はこの国の双翼と呼ばれる公爵家の片翼ーーヴァルハイト公爵家の嫡女、アリステリア様だ。
対する私は周りの冷ややかな視線を受けながら、プルプルと震え、腰まであるピンクブロンドの髪を振り、同じ色の瞳から大粒な涙をこぼす。
「私はアリステリア様に何もしていません!私の方が、アリステリア様とそのお友達にいじめを受けていたんです!」
そう言うと庇護欲をそそる表情で、クリスを見上げた。
だがクリスはそんな私を侮蔑を含んだ目で見下ろした。
「ほぅ?いじめとはどの様な?」
「無視をされたり、意地悪なことを言われたり、教科書を破られたりもしました!それから階段から突き落とされたのです!」
か細い声で訴えると私は大きく開いたドレスから除く豊満な胸元に、手の甲にある、聖女の証ーー『蓮の花の紋章』が見える様に両手を握りしめた。
聖女は国に一人だけ。聖女がいるからこそ、この国に張り巡らされている結界が維持できる。つまり聖女によって国外にいる魔獣からの被害をほぼ受けずにすんでいるのだ。
だからこそ、私は強気に出られる。うまくいくはず。
「愚かな。これ以上妄言を吐くな。我が妹の名誉を汚したその罪は重いぞ。」
そう言ったのはアリステリアの義兄であり、次期宰相と言われているラウール様だ。後ろで一つに束ねた水色の長い髪を鬱陶しげに後ろに払うと、アリステリア様よりも濃いアメジストの瞳が鋭く私に刺さった。
「貴様が「アリステリアに突き落とされた」と主張した日時、彼女は私やクリス殿下と共に生徒会室にいた。さらに貴様が自作自演のために平民を雇った証拠も、我が公爵家がすべて押さえている。」
「証拠!?そんなのありえません!」
私がそう叫ぶと、ラウール様の隣から見えたのは銀色。まるで月の光に照らされた雪の結晶のようなキラキラとした銀髪を揺らし、いつも通り軽薄な笑みを浮かべながら前に出てきた。
この国のもう片翼、アルカディア公爵家嫡男、天才魔術師のグレン様だ。
「あはは。フィーネちゃん、証拠っていうのは書類だけじゃないんだよ。そっちは綺麗に処分したから安心してたんでしょ?甘いなー。じゃぁ証拠『本人』に登場してもらおう♪」
グレンが細く長い指先をパチンと鳴らすと目の前に魔法陣が展開する。『空間転移魔法』ーー天才魔術師の彼しか出来ない魔法だ。
「きゃぁぁ!」
魔法陣の中からみすぼらしい服を着た、少女が転がり出てきた。周りを見まわし、ガタガタと震えながら床に伏せた。
「ねぇ。」
グレンは笑顔のまま、凍てつくような濃いシルバーの瞳に少女を写し言った。
「さっき君が言ったこと、もう一度ここで証言してもらってもいいかな?」
「っ!はい!聖女様から、金貨5枚で頼まれたんです!
アリステリア様の指示で、聖女様を突き落としたと言えと…申し訳っ…ありませんっ!」
泣きながら、少女は言った。
チェックメイトだ。それも完璧な。聖女が金銭を渡し貧民に偽装工作をさせる。しかも相手は公爵家だ。
味方は誰もいない。普段は味方をしてくれる男子生徒も流石に王家と公爵家を相手に下手なことは言えない。関わらないのが吉だ。いや大吉だ。
女子生徒達は「浅ましいわ」「これだから平民あがりは」「アリステリア様になんてことを」「無能聖女なのだから大人しくしていればよいものを」と容赦なく蔑みの言葉を口にしている。
アリステリアは彼女達の言葉を遮るように凛とした声で言った。
「フィーネ様。わたくしはあなたが婚約者もいる男性方に近すぎる距離感でいるたびに、立場を考えて行動なさいと注意してきました。魔術の勉強もしっかりなさいと。その苦言をいじめとすり替え、あまつさえ公爵家、ひいては王家をも騙そうとし、侮辱するような行い、許すわけにはまいりません。」
背筋をのばし、瞳に一点の曇りもなく凛とした姿。
(あぁ…完璧な悪役令嬢だ。)
そう思った瞬間。
頭が割れそうなくらいの衝撃が走った。
「うぁっっ!?」
凄まじい勢いで大量の情報が頭に流れ込んでくる。
満員電車、深夜残業、上司のパワハラ…そして唯一の楽しみだったネット小説…
(そうだ。私は日本生まれ日本育ち、25歳限界社畜。生まれてこのかた彼氏なしのアラサー…こう羅列すると酷いな私。)
前世の記憶が覚醒した途端、これまでフィーネとして生きてきた記憶が遡っていく。
(待って。ちょっとちょっとちょっとぉぉぉ!あの金髪王子に上目遣いで胸押し当ててるんだけど…は!?兄メガネにも抱きついて…?え…銀髪魔術師にも…?いやぁぁ!恥ずかし死ぬ!)
あまりの黒歴史増産に膝から崩れ落ちた。男性経験皆無の25歳にはダメージが大きすぎた。
(しかもアリステリア様を嵌めようとするって…馬鹿じゃん…この子、いや私なのか、馬鹿じゃん、私!!)
自分がこれまでやってきた悪行と痴態で血の気が引いた。
ゆるゆると顔を上げると、床に崩れ落ちたフィーネを気遣って少し心配そうに見るアリステリアと、相変わらず冷たい視線の、おそらくは攻略対象達。
前世の記憶を取り戻したばかりの私の口からぽろっと心の声がこぼれ落ちた。
「くっそ詰んでるんだが?なぜこのタイミング!なぜざまぁ後なのよぉー!」
両手で頭を抱え、全力で絶望している私。
しんと静まり返ったホールに謎の単語と叫びが響き渡った。
「くそ?…ざまぁ…?」
クリスやラウール、周囲の生徒達は先程まで泣きそうになりながら悲劇のヒロインぶっていた聖女のあまりの豹変ぶりに唖然としていた。
しかし、
「ふふ…あはははっ」
静寂の中でグレンだけが笑っていた。そして頭を抱えてへたり込むフィーネを楽しげにニヤリと見下ろした。
(へぇ…急に意味のわからないことを。演技かな?それともほんとに頭おかしくなっちゃったとか?面白いねぇ)
そしてアリステリアは。
この会場の誰よりも衝撃を受けていた。アリステリアの頭の中で、フィーネが言った言葉がリピートされている。
(詰む?ざまぁ?確かにこの子、そう言ったのよね!もしかして…)
アリステリアは5歳の頃に熱を出し、前世を思い出した転生者だ。悪役令嬢とならないよう、努力し続けてきた彼女は、絶望しきっている目の前の聖女にわかるわ〜と同意と同情の目を向け、決意した。
必ず彼女を、フィーネをうちに連れて帰る!!と。
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