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72.  ずっといた仲間

「ちょっと......あの娘動いたみたいよ。」

「分かってるわよ......根はいい娘だからね」

「タツキくん......大丈夫かしら?」


「タツキ......喉乾いたぁ...」

「ワフゥ......(暑いよぉ...)」

グラニア魔術学院を出てから暫く歩くと平原についた。雲一つ無い晴天だがギラギラと太陽が輝くせいで汗が止まらない。

「水分を取らないと倒れるな......。二人は大丈夫ですか?」

ルビアとリーシェルさんに聞く。

「はい......まだ大丈夫です。」

「ふぅ......なかなか暑いですね。」

二人は法衣の様なものを着ているため余計に暑そうだ。


「タツキー!シュワシュワ頂戴ー!」

シルエルがへばりながらそう言う。

「わかったよ。ちょっと待ってて......はい。」

「ありがとう......んくっんくっ、ぷはぁ!美味しい!」

自分と同じ位の瓶を抱えながら飲んでいた。キンキンに冷えた瓶は抱えるだけで体を冷やしてくれるのだろう。

「二人もどうぞ」 

ルビアとリーシェルさんには冷えたレモネードを渡す。

「ありがとうございます!」

「頂きます。」

二人ともごくごくと飲んでいた。よほど喉が渇いていたらしく一気に飲み干していた。


「......あら私には無いのかしら?」

「そうですよ。暑さは感じませんが喉は渇きますからね。」

「ウゥー(乾いたー)」

「大丈夫。ちゃんと用意してあるからね。」

タツキはサイダーを渡す。皆嬉しそうにごくごくと飲んでいた。


「今日はとりあえずキマイラがいる遺跡に向かうのよね?」

「そうだね......キマイラかぁ」 

ライオンの体に山羊の頭が生えていて尻尾は毒蛇の化け物。そんなの見たくもない。


「キマイラね。タツキならどう料理するの?」

「シルエル......そもそも俺は依頼を受けたくなかったんだよ。なのに......」

「あら......私のせいかしら?」

フウナさんが意地悪そうな顔していた。そう言われたら何も言えないじゃないか。誰かが困ってるのは事実な訳だし...

「はぁ........とにかく危険なことは極力避けていこうね?」

樹生の言葉にフウナさん達は不穏な笑みを返すだけだった。



「タツキさん......そろそろ休憩にしませんか?」

ルビアが息を切らしながら提案してきた。リーシェルさんも隣で頷いていた。

「そうですね。......もうお昼か。皆!お昼にするよ!」

樹生の言葉にフウナさん達は尻尾を振りながら歩みを止めた。普段はフウナさんに乗せてもらい走っているがルビアとリーシェルさんが入るため樹生も歩っていた。

「タツキさんすごいですね。結構暑いですけど......」

「いやいや、結構キツいよ。そろそろ1度休憩しようと思ってたからね。」

フゥーっと汗を吹きながら言う。

「.........よし、皆は肉でいいかな?」

食いしん坊組はコクコクと頷く。

「あの......お肉はちょっと...」

ルビアが申し訳なさそうに言ってくる。

「大丈夫、任せて!」

樹生はそう言うとホワイトマーケットを開く。ピーマンや玉ねぎ、キャベツを購入する。異世界産もいいがやはり新鮮な方がいいだろう。

(後は......にんにくの芽と...ミョウガに生姜)

ポチポチと購入していく。

「まずはスタミナ丼だな。」

コンロに火を付け中華鍋をおき熱しておく。その間に野菜類とレッドファーの肉を切っておく。

(肉はタレに浸けておく。)

野菜を高温でバッと炒める。

「あ、あのタツキ君?フウナさんがクウ君を連れて何処かに行っちゃたんですけど」

「ああ......また肉が増えそうだな。捌けないけど。」

遠い目をしている樹生をリーシェルさんが少し引いた目で見ていた。

肉がいい感じに浸かったら、鍋で炒める。

火が通ったら炒めた野菜と浸けだれを入れてさらに炒めていく。


「よし!皆ー出来たよ!」


「「「「はーい!」」」」


相変わらず速いな......

「タツキ、あそこに......何匹か置いておいたわ。」

フウナさんが食べながら言ってくる。

「ハイハイ、アリガトウゴザイマス」

「フフフ♪」


一抹の不安を胸に今度は自分達の分。

「ソーメンは茹でておいてその間に薬味の準備だな。」

慣れた手付きで、生姜やミョウガ、長ネギを刻んでいく。そうこうしてる内にソーメンが茹で上がる。

(氷水でしっかり締めたら......)


「「わぁぁ!」」


シンプルだがこの暑さには嬉しい冷やしソーメンの完成である。


「うん!?...スルスルと入ります。」

「ええ、優しい味ですね。美味しいです」

ルビアとリーシェルさんは喜んでくれたようだ。

「んっ?タツキー、それなに?」

「ソーメンって言うんだよ。食べる?」

シルエルがソーメンに興味を示して来た。

「食べるわ!......んッ!?」

口に含みすすった瞬間シルエルが目をカッと見開きタツキを凝視する。

「ごくっ......美味しい...」

瞬間シルエルが詰め寄る。

「もっと......もっと頂戴!」

「あ、ああ良いよ。」

シルエルに渡すとちゅるちゅると嬉しそうに啜っている。

「そんなに美味しい?」

「ええ、とても!」

どうやらドはまりしたようだ。その後シルエルは何回か

おかわりした後、満足したのかタツキの膝の上で寝ていた。嫉妬したクウに顔面突撃を食らうのはもう少し後の話。



「な、何じゃあこりゃあ!!」

皆が休んでいる時に、フウナさん達が狩ってきた魔物を見る。

「ぶ、ブラキオサウルス?」

巨大な首長竜が数匹転がっていた。

「こんなのどうしろと......まぁ何とかするか。」

一匹一匹を保管庫に入れていく。

(カンドラに行ったら包丁だけじゃなくてノコギリも買おう。)

「うん?何だあれ?」

樹はふと空を見上げると黒い点が真っ直ぐこちらに迫ってくるのが分かる。

「.........やばっ!!」

真っ黒のワイバーンが突っ込んできた。

「うわぁぁぁぁぁ!!」

「グラァァァァァァア!!」

巨大な口がこれでもかと開き樹生に襲いかかる。


ガキィィン!


「い、生きてる?ヒィィ...」

「ガッ...ガッ...」

ワイバーンの口が目の前で止まっていた。それもそのはず今の樹生にはフウナさんとシルエル、アーサーが張った3重の結界が施されていた。


「た、助かっ......うわぁ!」

安堵したのも束の間、腰に刺していた聖剣オメガプロキシモがガタガタと震えだし勝手に鞘から抜けた。

「早く振りなさい!軟弱もの!」

「な、何を......うわぁぁ!!」

剣を握った瞬間まるで嵐のようにオメガプロキシモがワイバーンを切り刻む。


「フゥー......満足出来ました。」

「......ぅぅ」

聖剣は艶々としていたが樹生の方は振り回されついていけず、目を回していた。

「だ、大丈夫ですか!?」

「悲鳴が聞こえましたが......」

ルビアとリーシェルさんが駆け寄ってくる。ズタズタに引き裂かれたワイバーンを見て二人は驚愕するが、倒れている樹生を見つけると二人は焦る。

「タツキさん!!大丈夫ですか!?」

ルビアが樹生を揺する。目を回しているだけなので、直ぐに反応する樹生を見て安堵する。


「良かった......少し目を回してるだけみたいですね。」

「しかし......ブラックワイバーンをこうもズタズタにするとは...」

リーシェルさんは樹生の事を怪しんでいた。善人である事は分かっているが、どうにも腑に落ちない。


「要観察......ですかね。」





「あら!タツキ凄いじゃない!」

シルエルが褒めてくれる。俺じゃないんだがな......

「タツキも慣れてきたようね...良いことだわ♪」

「はい。我がマスターですから。このくらいは出来ないと」

「ワフッ!(凄い!)」

皆が褒めてくれるがどうにも腑に落ちない。樹生はオメガプロキシモを見る。

「...........................」 ジーー

「...........................」 ピクッ


「うん!勘違いだったみたいだ。ハッハッハ!剣に意識があるなんて......そんなこと」

「このウジ虫。いつまでもそんなこと言ってないで私を使いなさい!」



「「「しゃ、喋ったぁぁぁ!!!」」」



「この軟弱マスター!ウジ虫弱虫糞虫!」

「な、なんか口悪いんだけど!シルエルー!」

「知らないわよ......何なのこいつ?聖剣の癖に邪剣見たいな感じね。」

「な、何でシルエルが知らないんだよー!...って切っ先を向けるなぁー!!」


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