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24 料理番の特権

·····················


······················



「よろしくね。異世界人♪」


か、彼女は………


「ていうか、何か飲み物はない?もう喉カラカラで……」


シルフと名乗った精霊?が飲み物を要求し始めた。


……………何だろう。この………感じ……

タツキはある種のテンプレを察し始めていた。


「水ならそこにあるわよ。飲んだら死ぬけど。」

フウナさんは顎でアシッドキングスライムの死骸を指した。まだ警戒はといていないようである。

「嫌よ。いくら私でも飲んだらどろどろよ。」

そう言いながらスーとシルフが近づいてきた。

「ウー………」

クウは低く唸るが、攻撃を躊躇っているようだ。

「さすがは、エンシェントウルフね。子供とはいえ力の差をわかっているわね。」

そして彼女と目があった。

「さっ!何か飲み物をちょうだい!」


「は、はぁ…………」

タツキはホワイトマーケットでいくつか飲み物を購入した。


「どうぞ。」


プシュッと音がなり、甘い香りが広がり始める。


「………なにこれ?砂糖?でも何か気泡が」

サイダーを見つめながら躊躇うシルフ。


ふっ、…………こういう時は


「さすがの精霊も"未知"には弱いみたいですね(笑」


「あら、人間のくせに言うじゃない。こんなもの!」


ぐいっと一気にいった。

あ~あ、そうやって飲むと……


「んぶっ!」

キッ!と涙目で睨まれた。


えっ?俺なんかやっちゃいました?


「…………んくっ、んくっ」


何とか持ち直して、飲み始めた。

何だろう……某女騎士を思い出した。


「ぷはぁ!………驚いたけど、これ甘くて美味しいわ!」


ペットボトルを抱き抱え飛び回るシルフ。


「タツキ」

「アオン!」


どうぞ


二人ぶんのサイダーもあける。


「!!これは……始めての感覚だわ。シュワシュワと響く音が良いわね。」

「アオン!(シュワシュワ~)」


どうやらクウが気に入ったらしい。一心不乱に飲んでいる。


「ごくっ、ごくっ、………ぷはぁ!美味しいわ!」

サイダーを飲みながら、シルフは今までの警戒的な目はしておらず、むしろ好奇な目をしていた。


「私あなた達についていくわ。ほら手を出して!」


いわれた通り手を出すと、手の甲に触れた。


「これで契約完了よ。これからよろしくね!」


はっ?………えっ?


「ふふっ、だから言ったでしょ。面白いことがありそうって」

「ワフ!(大丈夫そう!)」


「私はフウナよ。この娘はクウ。彼はタツキよ。」


フウナさんがまとめて紹介をしてくれた。


「ところで、シルフ?私は今少し………ほんの少しムカついているのよ。」

そういうと周りの空気がざわつき始めた。

「奥にいきましょう。もちろん二人きりで」


「はぁ……いいわよ。獲物を横取りしたのは私だもの。飽きるまで相手してあげるわ。」

嫌嫌といった感じだが、よくみると口元が緩んでいた。


はいはい、あたなも戦闘狂なんですね知ってますよ。


ということで、獲物を横取りされたフウナさんはシルフと一緒に森の奥へ消えていった。



「………さぁ、クウ。ご飯にしようか!」

「アオン!(食べよう)」



遠くから爆音が聞こえ、木々が吹き飛んできた。

タツキは考えることをやめた。






その後タツキは夜ご飯を作り始めた。

クウが簡単な結界をはってくれたお陰で脅威はなかった。

「久しぶりに揚げ物でも作ろうかな」

中華鍋にたっぷりと油を入れておく。


「クウ、その油は危ないから気をつけてね。」

「ワフ!(わかった!)」


元気よく挨拶をすると、クウがこちらにやってきた。

どうやら料理に興味があるようだ


「あ!星熊捌いてないな……」


フウナさんがいないとあの皮は剥げない………

タツキが星熊を前に悩んでいると


「アオン!(やりたい!)」


どうやらクウがやってみるようだ。


「う~ん………わかった!それじゃ、まずここを……」

タツキも熊は捌いたことが無いため、手探りでやっていく。

皮を剥ぎ、血を抜き、内臓を掻き出す。少し時間が掛かったがおおかた終わった。


「お疲れ様、クウ」


繊細な作業は疲れるのだろう。クウはダラーっとしていた。


「ふぅ……ここからなら切り分けられるだろう。」


タツキはモモ肉を一口大にカットしていく。

その肉をボウルに入れ、バッター液につける。

衣は薄力粉、塩、ブラックペッパー、ナツメグ、ガラムマサラ、パプリカパウダー、粉チーズ

バッター液につけた星熊の肉に粉をまぶしていく。


「よし、準備はOK。後は………」


ポチポチと必要な物を購入した。


「いざ!投入!」


ジュワァ~!!


油の食欲をそそる音と香りが広がる。

クウも興味津々に見ていた。


「あの二人まだやってるよ……」

遠くの方から爆音が聞こえてくる。かなり離れているはずだが………

「まぁ、その内帰ってくるだろう」


タツキはそう言いながら、どんどん肉を揚げていく。その間に炊いておいたお米でおにぎりを作っていく。味付けはシンプルに塩でいく。

ふと横をみると、クウが肉をジーっと眺めていた。

ツーっと涎が垂れていた。


「少しつまみ食いしちゃおうか。」

料理番の特権である。

「!!」

ブンブンと尻尾を振るクウ。

わかるよ…揚げ物って何か本能にガツンっ!!って来るんだよな。


「それじゃ……アチチ、ふぅ、ふぅ……いただきます」


「アオン!(いただきます!)」


パクっ……


「あっふ、はふ、はふ、……」


ジュク……ジュワァ~


かなり熱かったが、味は絶品だった。熊肉は臭みが強いとよく聞くがそんなことはない。少しクセはあるが、噛めば噛むほど肉汁が溢れ、野性味溢れる旨味がくちに広がる


「ワフっ!(もっと!)」


クウがおねだりするが、つまみ食いは少しだからよいのだ。


「フウナさん達が来てからね。」


そういうとクウはうなずきあぐらをかいていた、タツキの上に来るとのび~っとし始めた。

タツキは微笑みながらおにぎりを握り始めた。








新しい仲間、風の精霊シルフの登場!

樹生の心労はさらに増すことでしょう。

いやぁ……楽しみですねぇ。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました!

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