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衝撃的なタキトゥスの父親

「咲。この者が私の番だ」


 咲がタキトゥスの館に移って数カ月後。ヴィーラが咲を家に招いた。

 通常なら番を見つけたアークデーモンを他のアークデーモンは数十年は放っておくのだが、そんなことをしていると咲が死んでしまうということで、ヴィーラは早めに呼び出すことにしたのだ。

 だが、咲はヴィーラが番だと紹介した隣りの人物に呆気に取られていた。


 艶々とした肌。・・・いや、これを肌と呼んでもいいのかわからない。

 無理だろう。

 鱗を肌とは呼べない。

 艶々とした鱗。

 そう、鱗なのだ。


 超高級な特撮のヒーロースーツ(全身タイツ)の爬虫類バージョン(リアルな翼と尻尾付き)を着た人物。それもドラゴンのマスクまでかぶっているように見える。

 ただ、継ぎ目がどこにもない。

 二本足で立っている小型ドラゴンにも見える。身長は2メートル。

 咲は自分と同じようにアークデーモンに番として選ばれた別の種族だと思った。


「初めまして。グラードゥだ」


 ドラゴンの口から出てきた声は滑らかだった。片言だと思っていた咲はびっくりした。


「咲。父上は筋骨特化型のアークデーモンだ」

「筋骨特化型のアークデーモン?!」


 アークデーモンらしい長身とアークデーモンらしい胸筋があるから、アークデーモンと言われたらアークデーモンかもしれない。

 だが、鱗のある身体に大きな翼、ドラゴンの頭部なのでアークデーモンとは思えない。

 タキトゥスもヴィーラも身長や胸はあるが、鱗まではないのだ。角があっても、髪の毛がない存在をアークデーモンと呼ぶのに、数々の非常識なアークデーモンの常識を身をもって知っている咲でもびっくりした。


「ああ。アークデーモンには三つのタイプがある。母上やわたしのような魔力特化型。父上のような筋骨特化型。そして魔力と筋骨の両方がほどよくある汎用型に分かれている」


「私たちのような魔力特化型はアークデーモンの中でも身体が弱い。グラードゥを叩こうものなら、手が骨折してしまうのだ」


 タキトゥスだけではなく、ヴィーラから説明されても、内容が咲の頭には入って来ない。

 どう見ても、タキトゥスとグラードゥは親子には見えない。

 ましてや、同じ種族などには思えない。


「ヴィーラ。叩くなら魔力で充分、肉体強化してからやってくれ。そなたが傷付くかと思うだけで心が痛む」

「愛しい番は叩かん」

「ヴィーラ」


 目の前で二足歩行するドラゴンとイチャつき始めたヴィーラを見て、咲は何とも言えない気持ちになった。ドラゴン人間が巨人系美女の腰に腕を回して抱き寄せ、見つめ合っている様はあまりにもシュールな光景だった。


「脆弱な魔力特化型は人間と同じような場所でしか生きられないが、父上のような筋骨特化型は火山や氷山などで暮らすこともできるのだ。毒の地ですら、筋骨特化型にはただの土地でしかない」


 両親のイチャつきぶりに居たたまれなかったのか、タキトゥスは魔力特化型と筋骨特化型の違いを説明する。


 咲も目の前の光景をスルーして、タキトゥスの話題にのった。


「それ、筋骨特化というより、肉体特化じゃない?」

「いや。これは筋骨特化だ」

「普通は肉体特化って言うよ」

「アークデーモンは筋骨特化と呼んでいる」

「・・・」


 アークデーモンの常識はツッコミどころ満載だ。アークデーモンではない咲はその非常識な常識にツッコみすぎていては身が持たないとスルーした。


 その代わり、気になっていたことを聞いてみた。


「そう言えば、タキトゥスはお父さんがアークデーモンだってなんでわかるの? いつもあたしと一緒だったよね? お父さんと会ったこともないよね?」


 出会ってからタキトゥスが咲の傍を離れたのはタキトゥスが大人になってから数日に一度いなくなる時間だけ。まさかその時間の間に他のアークデーモンと交流を深めているとは思いもよらなかったのだ。てっきり、自分の館を作りに行っているのだと咲は思っていた。


「今日、初めて会ったが、父上がアークデーモンだということは見ただけでわかるではないか」

「見ただけで?!」


 更に驚愕の事実が咲を襲った。見ただけでどう見ても別種族ドラゴン同種族アークデーモンだとわかったらしい。


「うむ。人間は他の人間を見て違う種族だと思わないだろう?」

「それは違う。似ているから。こんなに違わないから。ここまで違うと別種族だよ」


 どう見ても、グラードゥはヴィーラとタキトゥスが同種族アークデーモンだとはわからない。百人が百人、咲と同じ意見を持つだろう。


 百人のうち、一人くらいはグラードゥがタキトゥスと同じようなピラミッドの壁画に描かれているような服を着ていると気付いたとしても、同種族アークデーモンだとまでは気付かないだろう。


「咲はわたしと母上しかアークデーモンを見たことがないから知らないだろうが、父上はアークデーモンらしいアークデーモンだ」


 自分も母親しかアークデーモンを見たことがないタキトゥスだが、本能的にタイプの違うアークデーモンをアークデーモンだと認識している。そして、別の種族がどこで暮らしているのかも何故かわかっている。


 アークデーモンのことはアークデーモンにしかわからないとはいえ、本能がすごすぎる生き物である。


「どこが?!」

「素晴らしい胸筋と見事な角」

「胸筋はわかるけど、角?! 角なの?!」


 新たなアークデーモンの常識(「アークデーモンらしさとは」)に驚く咲。


「ああ。この角こそ、アークデーモンの特徴だな」


 アークデーモンの常識はやはり咲には理解しがたいものだった。

ヴィーラとタキトゥスの服が露出度高めなのは汎用型や筋骨特化型が着れる服がアークデーモンの服だからです。

汎用型は角と翼の生えたライオン人間です。

筋骨特化型との戦いは魔力や魔法はあの鱗にはほぼノーダメージなので、魔力特化型や汎用型は魔力で肉体強化しておこないます。

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