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冒険8歩目

考えた末の救済処置


ログインすると運営からのメールが来ていた。


『運営よりのお知らせ


このたびは ZEЯO GRΦUND On-lineをプレイしていただき誠にありがとうございます。

皆様から多数の要望のあった回復アイテムについて本日より現実時間で30日間、ゲーム内で毎朝6時に『下級ライフポーション』10個、『携帯食料』5個を配布いたします。

該当アイテムはクエスト画面より受け取ることができます。


また同期間、生産系スキルの取得経験値を二倍に増加するよう変更しました。

期間中は生産スキルが成長しやすくなります。



今後も引き続き『ZEЯO GRΦUND On-line』をよろしくお願いします。




                            ZEЯO GRΦUND On-line運営チーム』




どうやら運営もこのままだとまずいと感じていたようだ。

ボーナス期間設置の影響かピリピリしていた空気もだいぶ和らいだように思える。

アイテムは全員がもらえるようなのでさっそくもらっておくことにした。



今日は朝から【調合】をすることにする。

アイテム配布があるとはいえ期間限定なのでいずれは自分たちで製作しなければいけなくなる。

そのためには少しでも使えるものを作れるようになっておかなければいけない。



《【調合】スキルがレベルアップしました。新たなアーツを習得しました。》


黙々とポーションを作り続けていると昼を待たずしてスキルレベルが8まで上がった。

回復量8のポーションができる確率も昨日より増えているような気がする。

スキルレベルが8になったことで新たなアーツを覚えた。



<乾燥>素材となるアイテムを乾燥させる。 MP5


<粉砕>素材となるアイテムを粉状に粉砕する。 MP8



さっそくなので使ってみることにする。

素材であるニガヨモギに乾燥をかけたところ品質が若干上がった。


そのまま乾燥をかけ続けるとカラカラになるころには品質が最大まで上がっていた。

それをいつもの手順で調合してゆく。

できたのがこちらだ。



[薬品] 下級ライフポーション 【普遍】

HP +14  品質 2/10


HP回復用のポーション。とても苦い。



ようやく【普遍】ランクのポーションが出来上がった。

とはいえこれはようやくスタート地点に立ったに過ぎない。

ここからさらに品質を上げ、より多くの種類のポーションを作ることが今後の目標だ。

最近忘れがちだがそもそも【調合】を習得したのは毒薬作りのためである。

そろそろ毒薬の調合を始めてもいいかもしれない。



とはいえ教本には回復薬のレシピしか載っていない。

毒薬は自分でレシピを探すしかなさそうだ。

そういえばポーションを作っていた理由はなんだったっけか?









思い出した。

もともとは物々交換用に作っていたんだった。

ポーションを売る代わりに食料となるウサギ肉を買うはずだった。

だが食料、ポーションについては運営からのメールで一時的ではあるが解決したのだった。

ならもうここでポーションを作る必要もないはずだ。

そろそろソロで活動する時期かもしれん。

拠点についてはテントがある。

狭いためあまり大がかりな作業はできないが安全に活動することは可能だ。

自身のスキルがあれば大抵の生産活動もできる。



となればどこへ行くかだな。

西には森、北には山脈がある。

南と東は草原が続いているがその先は丘になっていて不明だ。

ここはひとつ新天地開拓ということで東に行ってみよう。

素材採集という点では森や山脈が魅力的だがソロである以上奇襲には警戒しなければならない。

その点では物陰の少ない草原に行くのは理に適っているだろう。


そういうわけでまずは東へ向かってみることにした。

丘の手前まで進むがモンスター分布は西と変わらないようだ。

どれもパッシブなので無視して歩いていく。

森と同じなら丘を抜けたところで分布が変わるはずだ。




丘を登りきると圧倒的なパノラマに目を奪われる。

どこまでも続くような緑の大地に地平線。

空の青とのコントラストが鮮やかだ。

左手には山脈が連なっていて数条の河が遥か南の地平線まで続いている。

緑のじゅうたんを無数の動物たちが思い思いにたたずむ様はまるで写真で見たアフリカの大地を想起させた。

草原を渡る風が丘を吹き抜け、感動を少しづつ吹き流してゆく。



我に返ると改めてこのゲームのすごさを実感した。

同時にこれが自分たちに与えられた世界であることを再認識する。

たとえすべてがデータの集合体であろうとこれは紛れもなく現実。

まさに『アナザーアース(もう一つの大地)』だ。



いまだに感動に打ち震える体で一歩を踏み出す。

周囲のモンスターはパッシブらしくこちらを襲ってくる様子はない。

優雅に草を食んでいる大型モンスターを鑑定してみた。



[動物] モノホーン Lv.9

討伐対象  パッシブ


[動物] メリーゴート Lv.7

討伐対象  パッシブ



モノホーンは額から湾曲する太い角をはやした牛だ。

牛とサイを足したような見た目でものすごく重量感がある。

突進を受けたらひとたまりもないだろう。

メリーゴートは巨大な毛玉だ。

かろうじて前後が分かるのは螺旋状の一対の角の方に向けて歩いているからだが、どう見ても綿あめのようにしか見えない。

時折体を震わせると角の間にスパークが奔る。

静電気か? あれ。


それらの間には小さな影もある。



[魔物] ウィンドフェネック Lv.6

討伐対象  パッシブ



翼のように大きな耳をしたキツネで時折飛び跳ねて滑空している。

空から獲物に襲いかかるようで着地した時にはネズミのような動物を咥えていた。

何というか東のフィールドは実に牧歌的だな。

とりあえず見える範囲にアクティブモンスターがいないのが助かる。



モンスターたちの間を抜けて(メリーゴートには近づかないようにして)川べりへとやってきた。

川のほとりには草原とはまた違った草が生えている。



[薬草] アヤメ 〔普遍〕

品質 5/10


水辺に生える薬草。さわやかな香りがする。昔から香料や妖魔除けの香に使われていた。



[薬草] ドクドクダミ 〔普遍〕

品質 5/10


湿った場所に生えることの多い薬草。少量ならば薬となるが分量を間違えると毒となる。

独特な匂いがあり魔物除けなどに使われる。



[薬草] ヘビカズラ 〔普遍〕

品質 5/10


水辺に生える毒草。蛇の目模様の花を咲かせる。食べると体がしびれる。



幸先のいいことに薬草と毒草を手に入れた。

周辺には同じものがたくさん生えている。

どのように調合するかはこの後考えるとしてまずは作業効率化のために新しくスキルをとろうと思う。

習得するのは【(P)器用値増加】だ。


(P)【器用値増加】作業を正確にしやすくなる。Lv数値分だけ器用値増加。










名前 ユーリ

種族 人間ヒューマン


HP 130

MP 130

スタミナ 240/(80%)


Str  10

Vit  10

Agi  10

Dex  10

Mag  10

Mnd  10


スキル

(A) 【罠】Lv.1 【鍛冶】Lv.1 【調合】Lv.8(Up!) 【木工】Lv.5 【生活魔法】Lv.3

(P) 【収集】Lv.5(Up!) 【気配察知】Lv.4(Up!) 【器用値増加】Lv.1(New)




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