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守護霊なう  作者: 宇龍地
第五章
22/42

生贄

間に合いました(原稿が)


新章開始・・・と言いつつ前回の続きです

一応予定道理ですよ?

「な・・なにこれ!?」


女性達が口々に異変を訴える。

その中にはマーリィも含まれていたらしく、俺に向かって自分の状況を伝える。


「ダメ・・感覚が無いし、持ち上げるのも辛い・・本当に石になってるみたい」


さっき迄は踝までだった様だが、今ではふくらはぎまで石化が進んでいるようだ。

彼女のパーティーの他のメンバーはどうやら範囲の外に居たらしく、石化しなかったのは不幸中の幸いといったところだろうか?

石化が始まったのは10名ほど、中にはパーティー内でカップルになっていた人も居たらしく、痛ましいまでの啜り泣きが聞こえてくる。


しかし、不幸はそれだけでは収まらなかった。

ダンジョンから出てきたモンスターは、一定以上の成果を見止めたのか出てきたときと同じようにモゾモゾと蠢きながらダンジョンに姿を消して行った、それを俺たちが確認した次の瞬間石化していた女性達を禍々しい光が包み込み、悲鳴を上げる間もなく姿を消す。

それを目の前で為す術も無く見送った男性達の嘆きの声が遺跡の中にこだまする。


俺たちの間でも少なくない動揺が走った。

いち早く動いたのは彼女たちが所属していなかったパーティーの斥候職の男性だった。

ダンジョンの入り口に石碑を見つけると、調査目的で【ギルド】関係者に同行してきた考古学者を呼びつけ解読させた。


石碑には以下の様に書かれていたらしい。


『この地下施設は邪神復活を目論む邪教徒の祭壇である。

 我々は邪教徒を殲滅する事に成功するも、既に祭壇は完成され、我々では封印すら適わず、破壊するなど持っての他という事が解った。

 その為、我々はこの祭壇が又邪教徒に使われる事の無きよう、強力なモンスターを封じ込める事にした。

 しかし、中に封じ込めたモンスターの内の一匹が祭壇の力により、邪教徒の意思を次ぐ物と化してしまい、まるで古の蟲毒の如く他のモンスターを食い尽くし、凶悪な一匹となってしまった。

 我々はここ、入り口に封印を施し、このモンスターが外に出る事を防ぐ事にする。

 が、しかし、誰かしら心得知らずが彼のモンスターを悪用しようと中に入り、もし生贄を中に引き込んだのであれば心して欲しい。

 彼のモンスターを倒そう等とは決して思わないことだ。

 生贄を助けたくば、祭壇の奥にある生贄供給の魔法陣を傷つけるだけで良いのだから。』


どうやら、生贄供給の魔法陣は、いくら破壊しても自動的に修復してしまうらしい事も石碑に書かれていたそうだ。


儀式は完全に石化が終わって丸一日経ってからという事で、ダンジョン探索隊が組まれることとなった。

内部では通常の通信機は使えないだろうということで、基地局を使う小型無線を使い、曲がり角ごとに中継器を置いて回るという近代的やら原始的やらよくわからない対策になった。


この期に及んで【念話】の話が出ない点を見ても、レアスキルかそもそもここで使えないはずの【スキル】なのだろう。

とにかく俺たちはダンジョンに入るための準備をし、奥へと進んだのだった。


ダンジョンを降りて一つ目の部屋。

20m四方の部屋の中央に、なにやら石碑が見える。

石碑にはこう書いてあった。


『表の石碑を見てすら止むを得ず迷宮に入らざるを得なくなった者達へ、迷宮の地図を残す。』


考古学者がその下に続く古代語を呟くと、石碑の近くに居たもの全員の頭の中にマップが浮かんだ。

移動してみると、そのマップの中の光点も移動し、マップにはご丁寧に石碑や設備の紹介まで載っていた。

こんな親切なダンジョン、RPGだったらクソげーの謗りを受けるレベルだろう・・・ゲームじゃなく時間も惜しいので助かるけど。


俺たちはマップの指し示すままに、最下層への最短距離を進むと、途中「どうしてもここへ寄れ」とマップの中に表示される小部屋があったので、そこへ立ち寄る。

中には案の定石碑があり、石碑にはこう書いてあった。


『この部屋へ辿り着いたと言う事は、一階の石碑を読んだ者達だろう。

 で、あれば恐らくあなたたちは生贄に選ばれた女性達を助けに来たのだと思われる。

 それならば、決して祭司に手を出してはならない。

 祭司が仮に代替わりをしたとして、あなたたちの手で葬る事が出来るとしても決してやってはいけない。

 生贄は生贄供給の魔法陣を通じて、祭司と命を共有する事になっている。

 祭司の命が尽きたとき、祭司は生贄の命を奪い息を吹き返す。

 生贄を助けたくば、決して祭司を傷つけてはならない。』


なんとも面倒な話だ。

奴に勝てようが勝てまいが奴を殺してはならない、殺すならば生贄のリンクを切ってからと言う事だ。

ならば行こうじゃないか、まず最初の目的地は生贄供給の魔法陣だ。


最後に考古学者は、又一つの古代後を声に出した。


頭の中のマップが不意に輝いたと思うと、道順を示す矢印が現れた・・・恐らく魔方陣までの道順であろう。

矢印は、最下層への階段と逆の方向を指し示す。

矢印の指し示すまま、俺達は最下層への階段の裏の部屋に辿り着いた。


その部屋には、下の階層へと続く隠し階段があったらしく、ベテランの斥候職の人達が見つけてくれた。

だがしかし、それが罠でない保証もない。

とりあえず俺たち若手パーティーが先行して様子を見てくる事にした。

隠し階段という事は、ここを占拠したモンスターすら入り込まなかった可能性がある、ならば【生命感知】が出来る俺が居た方が良いだろうという判断だ。


先へ進む俺たちの前に、なにやら【ゴースト】が現れた。

すわトラップかと構える脳筋どもを制し、俺は【ゴースト】に語りかける事にした。


この世界での【ゴースト】は【レイス】等と違い、悪霊化はしていない。

恨みではなく言葉を残して死んで行った者たちが【ゴースト】となる。

つまり、ここに居るという事は何かしら言い残した事があるということなのだろう。


「あんた、こっちの言ってることわかるか?」


とりあえず声をかけてみるがどうやら気づかないらしい。


《なあ、あんた、聞こえたら反応してくれ》


現世の声が聞こえないようなので【念話】を使ってみる。


《おお・・おおっ!!》


どうやら気づいたようだ。


《こんなところで我と話が出来る者が現れるとは思いもせなんだ・・ありがたい、ありがたい・・・》

《ありがたがってるところ悪いが、あんたは何者で、どうしてここに居るんだ?はっきり言ってくれんとうちの仲間が浄化しちまうぞ?》


よく見てみるとレニとセイジがアナとエリオをしきりにけしかけてる。

脳筋は目に見えてお化けに弱いから困る。


《我はこの迷宮を造った者だ》


なん・・だと・・!?


《まさか邪教徒か?》

《いや、違うのだ。我は奴らの依頼を受け、何も知らずにこの迷宮を造ったのだ》


【ゴースト】の話を要約するとこうだった。


曰く、彼はこの遺跡の作られた時代、迷宮を造ることを生業とした石工職人だったそうだ。

彼の居た時代、迷宮作りは貴族のたしなみとして流行しており、死んだら自分の造らせた迷宮の奥深くに安置される事が定番となっていた。

彼は今回もそういった内容なのだろうと軽く考えて受けたのだそうだ。

しかし、完成間近となった時、彼は重大な事に気づいてしまったらしい。


「どうやらこの迷宮にはもっと変な事があるようだぞ」


どうやら、この迷宮には地中から何かしらの魔力的エネルギーの供給があるらしく、それを使ってこの迷宮は自動修復機能が保たれているという。

最初ここを作らせた者はそれを利用するため、態々この地を選んだらしく、その秘密を知ってしまった彼を殺して口を封じたのだという。

彼が死んで数十年後、一度祭司を殺してこの通路まで来た者たちが居たらしいのだが、彼らは【ゴースト】の存在自体には気づいても、話を聞くことが出来ず放置して、魔法陣を破壊するに留まったらしい。

しかし、この迷宮はどの魔法陣を破壊しても数時間後には修復されてしまう。

そのため彼らは破壊を断念し、あのような仕掛けを作って帰ったのである。


答えはすぐそこにあったのに、コミュニケーションが取れなかったばかりにここまで放置されてしまったのだ。


次回は12/6の予定です

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