永遠に切れない《契約》を
アーリアは玉のような汗が額から首へと流れて落ちた。彫刻のように白い肌が上気し、ほんのり紅色に染まっている。瞼からは、ぽろり、ぽろりと透明な雫が溢れていく。
「ジーク……ごめ……」
「……アーリアが謝ることなど何もない……」
「わたし……ジークにうそ……」
「……アーリアは嘘なんかついてないじゃかいか……」
アーリア熱に魘されていた。
やはりジークフリードの言った通り、アーリアはずっと無理をしていたのだ。バルドに誘拐されてからサリアン公爵断罪までの間、アーリアは碌に休めていなかった。マントも靴も取り上げられ、裸足のまま王宮を駆け回ったのもいけなかったのかもしれない。それまで蓄積されていた疲労が安堵と共に吹き出したのだろう。
元から身体を鍛えている騎士職のジークフリードとは身体の造りも体力も違う。それまでの旅ではアーリアの体力に合わせた行程だったのだ。にも関わらず、急に限界を超えて動き回った事で、アーリアの身体は精神的にも急激に疲弊してしまったのだ。
ジークフリードとしては「つくづく馬鹿猫なんか当てにならない!」と、リュゼに八つ当たりしたくもなるのだった。
アーリアは熱に浮かされながらジークフリードに懺悔し続けている。
アーリアはバルドに捕まる前からーーいや、旅の間中ずっと思い悩んでいたのだろう。
自分は人間ではないこと、その事をジークフリードに黙っていたこと、ジークフリードをずっと騙してきたこと。アーリアは旅中に言えなかった己の過去と、胸につかえていた想いとをジークフリードに打ち明けた。
「ジーク……わたし、ほんとは人間じゃないの……ごめ……騙して……」
「アーリアは俺を騙してなんかいない」
「ジーク……きら……嫌いにならないで……」
「俺はアーリアを嫌いになどならない。アーリアが何者かなんて関係がないんだ」
アーリアの涙ながらの告白に、ジークフリードは自分の不甲斐なさを責めた。アーリアをここまで追い込んだのは、正に自分の頼りなさが原因なのだ。
アーリアが思い悩んでいると分かって居ながらも、ジークフリードはアーリアの気持ちを蔑ろにしてきた。アーリアもそんな自分に何の相談もしてこなかった。それはジークフリードが己の『想い』や『願い』を優先してきたからなのだ。
それをアーリアは文句も言わずに付き合ってくれた。それが己の気持ちを抑えることであったにも関わらず。
ジークフリードは、これからでも遅くないのならば自分がアーリアの助けになりたいと思った。その為に頼れる男にならなければならないとも。いつでも助けを求められる男に。それに……
ーもうアーリアに対して俺の気持ちを抑える事など出来ない……!ー
「俺は、そのままのアーリアを愛している」
ジークフリードは魘されながら懺悔を繰り返すアーリアの額の髪を梳くと、額の汗を濡れた手拭いで拭き、その額と涙で濡れた瞼にとにそっと唇を落とした。そしてアーリアの華奢な手をぎゅっと握った。
「俺はこれからもずっとアーリアの味方だ。だから、今は安心して眠れ」
「……ジーク……嫌いに、ならない……そばに……」
「嫌いになんてならないよ。側にいるから……」
アーリアがうわ言のような呟きに一つひとつ丁寧に答え、ジークフリードはアーリアが眠るまでその傍らにいたのだった。
その後フラッとやって来たリュゼにそのやり取りを見られたうえ、「え〜〜獅子くんズルイ!僕も子猫ちゃんの手、ギュッてする〜〜」などと纏わり付かれ、アーリアの枕元で一悶着あったのは言うまでもない。
そしてリュゼが「僕も子猫ちゃん大好き〜〜!」などと言った事にジークフリードは腹を立て、「俺の告白が無駄になるじゃないかッ!この馬鹿猫!」とその頭を叩いたこともお約束だ。
熱が引いてスッキリした面持ちで目覚めたアーリアは枕元でジークフリードと交わした会話や告白が『夢だったのでは』と思った。それにしてはやけにリアルな夢だったなぁと首を傾げながらも、ジークフリードの言葉は『夢でも嬉しい』と胸を温かくしたのだった。
※※※※※※※※※※
アーリアは熱に倒れた数日後、王宮の医務室ではなくアルヴァンド公爵家で目を覚ました。
サリアン公爵の起こした騒動が収拾の一途だとしても、まだざわつきの残る王宮では人の出入りも激しく、熱に魘されるアーリアをゆっくり休ませる事ができなかったのだ。
何より『白き髪の美しい魔女』を一目見ようと、ワザと怪我をして医務室に来る不届き者まで現れ、その存在と対処にジークフリードがキレた事もアーリアを王宮に置いておけなかった一因だった。勿論そのような不逞な輩の名はしっかりとチェックし、後でジークフリードが殿下方にチクっておいたのは言うまでもない。
そのような要因もあり、アーリアは体調の回復するまでの数日間をアルヴァンド公爵家で過ごしていた。
アルヴァンド公爵家では主に公爵令嬢リディエンヌがアーリアの相手をした。勿論、只今無職のジークフリードと、アーリアと共にちゃっかり居候を決めているリュゼも一緒だった。
リディエンヌはアーリアと年が近いこと、同じ魔導士だということ、そしてリディエンヌが元々アーリアに興味を持っていたこともあって、やたらとアーリアを構いたがった。
体調が良くなってきたアーリアを着せ替え人形にして遊んだり、一緒に甘いものを食べながら魔術についてお喋りしたりと、側で見ていると大変微笑ましい光景だった。
ジークフリードとリュゼはそんな二人を見ながら、平和を噛み締めていた程だ。
アーリアが特に喜んだのはリディエンヌの持つ魔術関連の本と王都で流行っている甘味だった。魔術関連の本は言わずもがなだが、これまで興味のなかったアーリアも王都の甘味には年相応の顔を見せていた。
また顔には出していないようにしていたようだが、アーリアはその二つよりも『浴室』を気に入っている事をジークフリードにはしっかりバレていた。
旅の途中、ジークフリードの話に一番食いついていたのが『浴室』の話だったのだ。『いつか大きな湯船にたっぷりのお湯を張ってゆっくりと浸かりたい』と言っていた事を、ジークフリードは覚えていたのだ。
アーリアはその小さな夢が叶って、毎夜るんるんしているのを、ジークフリードだけが知っていた。だが本人に言うと拗ねそうなので、ジークフリード言わないでおいていた。あまり揶揄って気軽にアルヴァンド公爵家に遊びに来てくれなくなったら、自分が凹むではないか。
窓際の椅子に座りながらアーリアは一人、革張りの装丁の厚い本と睨めっこしていた。
リディエンヌとリュゼはたまたま席を外していた。ジークフリードはアーリアと二人で過ごす時間が作れたのは幸いだった。
自分の家でもあるのに、アーリアと二人きりなどなれる時間が殆どなかったのだ。
夜は夜で父であるアルヴァンド公爵ルイスや国の要職にある兄たちも、忙しい筈なのに何くれと予定をつけて屋敷へ帰って来るのだ。おかげで二年前より仲の良い家族団欒の時間を過ごしているのだが。それはジークフリードが生きて帰ってきた喜びもあるだろうが、それだけではないと、ジークフリードには解っていた。
着飾ったアーリアは本当に可憐で美しいのだ。
ジークフリードはそれを惚れた欲目だろうが、割と本気で思っていた。
リディエンヌには姉妹がいないのでアーリアと二人で過ごすのが楽しいようなのだ。子どもの頃に出来なかった着せ替え遊びをアーリアでして楽しんでいる。『年端かもない』と本人は反省を見せていたが本心ではないだろう。
アーリアも初めは身分差を盾にリディエンヌの申し出を断っていたが、元々押しに弱いアーリアが最後まで拒める訳もなく、ついにはリディエンヌの遊びに付き合っていた。着飾ったりする事のなかったアーリアは、最後にはなかなか満更でもなかった。やはりアーリアも女子。キラキラした宝石やフワフワしたフリルなど、美しい物、可愛い物は心を浮き立たせてくれるのだ。
そんなアーリアをジークフリードは微笑ましいと思ったのは初めだけだった。それは着飾ったアーリアの姿を見た時のリュゼの反応や、父や兄たちの反応に、ジークフリードは胸にモヤモヤを募らせたからだった。
ジークフリードはその度に『なんと小さく許容のない心か!』と自分の心の狭さに溜息をついたのだった。
「アーリア、今日は何の本を読んでいるんだ?」
ジークフリードはアーリアの正面にある椅子に腰掛けた。リディエンヌに着せられた清楚なドレスはアーリアにとても似合っている。
アーリアはジークフリードの質問に顔を上げて笑顔を見せた。
「リディエンヌ様にお借りした魔術の本です。なかなか興味深い考察が書いてあるのですが、ここにいる間に読み切れるかどうか……」
「読みきれなければ借りて帰ればいい。そしてまたこの屋敷に来てくれたら、俺もリディエンヌも嬉しく思う」
「えっ⁇……ありがとうございます」
アーリアは少し驚いた顔をしている。
アーリアはアルヴァンド公爵家の屋敷から自分の家のある街へ帰り元の生活に戻れば、もうジークフリードの屋敷には訪れる事はないだろうと思っていたのだ。
実際、ジークフリードとアーリアの身分は雲泥の差があり、平民のアーリアにはジークフリードに声をかける権利すらない。今はたまたま共同戦線上、同じ舞台で戦った後という事もあり、済し崩しでアルヴァンド公爵家にお邪魔しているが、本来ならこれほど長く滞在する予定もなかったのだ。
王都を出るなら国王陛下に挨拶を、とアーリアは王宮より連絡を受けたのだが、騒動の収拾に追われる王宮の方が都合がつかず、その日取りがまだ決まっていなかった。またアルヴァンド公爵ルイスも『是非我が家で滞在を』とアーリアに念を押したのもあって、仕方なくここに留まっているに過ぎなかった。
それに騒動が終結した現在、これ以上ジークフリードと長くいると別れが辛くなるではないか。そうアーリアは思案していたのだ。
師匠や兄弟子たちを除き、これほど長く共に過ごした他人はジークフリード以外にはいない。命のやり取りの中で生まれた絆は強いと聞いたことがあったが、それに当てはまるのではないかとアーリアは思っているほどだった。
執着が愛着となるまでにーー離れられるうちに離れたい。そのようにジークフリードに対して考えてしまう自分自身が恥ずかしく、そしてそれをずっと秘めておきたかった。
これからは二人は自分の人生を歩んで行くのだから。
ジークフリードは近衛騎士団に復帰予定だとアーリアは聞いている。二年間のブランクはあれど、その強い忠誠心を買われ、近衛騎士団団長がジークフリードを引き抜いたそうだ。
公爵家子息にして近衛騎士など、何と華やかな人生だろう。そしてそんなジークフリードを世のお嬢様方は放ってはおく筈がない。いつか彼の隣にはいずれ彼に相応しい素敵な令嬢が並ぶのだ。
ジークフリードの未来を想像したアーリアの胸にツキンと小さな痛みがはしったが、それに気づかないふりをした。
アーリアは地元に帰ったら魔宝具職人として再出発する前に、もう一度『魔法』と『魔術』の研究に励むつもりでいた。初心に帰ることにしたのだ。
その為にシスティナ国の各地にある有名な図書館や遺跡も廻る予定もしていた。旅の楽しさはジークフリードに教えてもらったのだ。今度の旅の共は誰もいないひとり旅だが、彼に教えられた事を活かしていこうと思っていた。
アーリアの今後の予定をジークフリードも本人から聞いて知っていた。本心ではついて行きたいが、自分はこの国の王と王宮を守る騎士。己の忠誠は王と王家に捧げられているのだ。それを曲げたりはしない。
だから……
「アーリア……俺ともう一度《契約》をしないか?」
「え……⁇ 」
「今度のは永遠に切れない《契約》をだ」
永遠に切れない《契約》という言葉にアーリアは首を傾げた。そんな契約があるのだろうか。以前結んだ《契約》はお互いの願いが叶ったので既に解消していた。もうお互いの手首にそれを示す痣はない。
「俺たちはこれから別々の道を歩むが、決して一人ではない。俺たちの道は必ずどこかで繋がっているんだ」
アーリアにはジークフリードの意図するところが分からなかった。キョトンとするアーリアを他所に、ジークフリードは話を続ける。
「俺はお前が俺の知らないところで泣くなど許せない。泣くなら俺の胸の中で泣いて欲しい。俺は……アーリアの未来を守りたいんだ」
アーリアの過去でも現在でもなく未来を守りたいと言うジークフリードの新たな『願い』を聞いたアーリアは、自分の瞳に映るジークフリードの澄んだ青い瞳に吸い込まれそうになった。それほどアーリアはその瞳に魅入られていた。
「お前が何者でも、どこにいても、何をしていても、俺はずっとお前の味方だ。それは生涯変わらない俺の『想い』だ。その『想い』を《契約》したい」
ジークフリードは一度言葉を区切ると、アーリアを真っ直ぐに見つめ直した。
「アーリア、俺ともう一度《契約》をしよう」
「それにお前は騎士の誓約など本当は意に返さないだろう?」と言われ、アーリアは正直言葉に詰まった。騎士の誓約が尊いものだとは頭では分かっている。決してジークフリードを信じていなかった訳ではないのだが、騎士や貴族の世界に身を置いていないアーリアにとって、目に見えない誓いはどれほど信じても良いのか分からなかったのは確かだ。
ジークフリードの言葉を受けて、アーリアはその申し出に承諾を決めた。
お互いの計算や打算による『想い』、それによる《契約》、結構ではないか。愛の切れ目が縁の切れ目など、信用ならない。金の縁もそれと同じだ。だが《契約》はお互いの利益重視。しかもその利益の重さはそれぞれが決めれば良い。
アーリアがジークフリードを、ジークフリードがアーリアを、それぞれが一方的に相手を『想う』。だけどお互いの『想い』は時に重なり交わっているのだ。
「分かりました、ジーク。もう一度《契約》しましょう!」
アーリアは右手を、ジークフリードは左手をスッと差し出した。その掌をぴったりくっつけて二人は瞳を閉じた。そして《契約》の言葉を紡いだ。
「ー俺は生涯アーリアの味方だ。アーリアを大切に想う気持ちは永遠に変わらないー」
「ー私は生涯ジークフリードの味方です。ジークフリードを大切に想う気持ちは永遠に変わりませんー」
重ねた手を通してお互いの魔力が身体全体に巡り合う。その暖かな魔力はお互いを理解し尊重し合うように重なり合った。ポウッと掌が光り、その光は重ねたお互いの手首にまで下りてくると、そこに華のような模様を刻んだ。
重なる手が離れる前にジークフリードはアーリアの手首を掴んだ。アーリアはジークフリードの真剣な眼差しに心臓を高鳴らせた。
「遅くなったけれど、アーリアに感謝を。俺のサリアン公爵を断罪するという『願い』を叶えてくれて、ありがとう」
「……はい!私も旅の間、守ってくださってありがとうございました」
ジークフリードの言葉にアーリアは笑顔で応えた。するとジークフリードはアーリアに向けて最上級の笑顔を向けたのだ。華やかで眩しいその笑顔にアーリアは思わず赤面してしまった。
「それに俺はアーリアの可愛い声が聞けて何より嬉しい」
ジークフリードは赤面しながら硬直したアーリアの手を引くと、アーリアの柔らかな頬にそっと口づけを落としながらそう呟いた。
ジークフリードのその行為に、アーリアは更に顔を赤らめたのだった。
※※※※※※※※※※
「リュゼ様、良かったのですか?」
「ん?何を?」
リディエンヌとリュゼはアーリアとジークフリードのいる部屋へ入り損ねていた。
アーリアとジークフリードがあまりに甘い雰囲気に、リディエンヌは扉の隙間から二人の様子をハシタナイとは思えど好奇心に負けて覗いていたのだ。そこへ用事を済ませたリュゼがやってきた。そして彼もリディエンヌと同じように、扉の外からその様子を見守っていた所だった。
「えっ……そのぉ……リュゼ様もアーリア様がお好き、なのでしょう?」
「うん、そうだよ?」
「でしたら!ジークお兄様とアーリア様とか仲良くなさっていたら、不安ではありませんの?」
「う〜〜ん、そうだねぇ〜〜」
興奮したリディエンヌはやや前のめりで、リュゼにその想いを聞いた。
年ごろのリディエンヌとしては、このような恋の話にはやはり胸が熱くなるのだ。
しかもその登場人物が大好きな兄と、兄の連れてきた美しい魔女なら、興奮も一入だ。そこへ第三者リュゼが横入りして世に言う三角関係になっているように見えるのだから、リディエンヌとしてはもうどうして良いか分からないのだった。
先日それをリヒト殿下に話したら『面白いからまた教えて欲しい』と言われた所だ。殿方も恋の話に興味があるのか、と驚いた所だった。
リュゼは唇に指を置いて少し考えると、いつもの軽薄そうな顔ではなく少し憂いのある表情をして、リディエンヌに語りかけた。
「僕は子猫ちゃんも好きだけど、獅子くんも嫌いにはなれないんだよね〜〜」
「えぇっ……」
「ううん、寧ろ二人とも好き。だから今は獅子くんに譲ってあげてんの」
「……それでリュゼ様は……よろしいんですの?」
「うん。だって、どーせこれからあの二人は別々の道を行くんだよ?公爵子息で近衛騎士の獅子くんより、身軽な僕の方が子猫ちゃんの側にずっと長くいられるしね〜〜。それに……」
「それに?」
「獅子くんの事だから肝心なコト、後回しにして言えてない筈だよ?彼って意外にシャイだよね?」
リュゼの言葉に妹であるリディエンヌも否定出来ないのであった。
顔も頭も剣も一流なのにその手のコトはウブなのは、リディエンヌも気づいていたのだ。相手に対して本気なら尚更だ。下手な手は打たないだろう。いや打てない。
だが、アーリア相手に遠回し発言など意味を成さない。アーリアにとって相手の顔の良し悪しも然程重要ではない事も致命的だ。あの顔にコロッといっていない段階で兄ジークフリードは気づくべきなのだ。気づいていてあの対応なら、リディエンヌは兄を更に尊敬するだろう。
リディエンヌも短い付き合いであっても、アーリアの事を少しは理解できていた。
「アーリア様相手にそれは悪手ですわ!そもそも女はハッキリ物事をおっしゃって頂かないと、相手の気持ちが分かりませんもの!」
「僕もそう思う。だから今は獅子くんに譲ってあげるんだよ?あーでも、もう入っていっていいかなぁ……?」
「な⁉︎ ダメですわ!私、一応ジークお兄様の味方ですの!もう少し二人っきりにして差し上げましょう?」
リディエンヌの言葉に一度は納得したリュゼだったが、扉の隙間からアーリアとジークフリードの様子をチラ見したリュゼは急に飛び上がった。
「あ〜〜!こんなこと話してる間に獅子くんが子猫ちゃんの頬に唇を〜〜!」
「な、なんですって⁉︎ そんな良いシーンを見逃すなんて……」
結局二人は痺れを切らして扉を開け放つと、アーリアとジークフリードの元へ駆けて行くのだった。
お読みいただきありがとうございます!
ブクマ登録してくださり、ありがとうございます!励みになります!
今回の話はいつもの1.5倍のボリュームになってしまいました。
アーリアとジークフリードの気持ちの終着点にはまだ到着はしていませんが、これからも見守っていただければ幸いです。
第1部も残すところあと一話。
次話も是非ご覧ください。




