OLサツキと庇護者
家の鍵をしっかりと閉め、サツキ達はギルドへと向かった。バスタブの獅子丸と同じような、こちらはドラゴンの飾りが取手に付いている。ドラちゃんと名付けたそれは、リアムの姿とリアムが指定した人物以外には炎を吐き撃退する仕様らしかった。
ちょっと見てみたいな、と思ってウルスラをチラッと見たが、頭をブルブルと横に思い切り振られた。駄目か。
「さ、行きましょ」
「う、うん」
山岸祐介がサツキと腕を組んだ。中身はウルスラだと分かっていても、沸き起こる物凄い抵抗感。いい人なのは分かっていたが、お局様がやたらと構っていたし、それにやはり背の高い男性は慣れず怖かったので実はあまり言葉を交わしたこともない。
あのサツキが退社するまでダラダラとオフィスに残る営業の羽田がいる時は、どうも敢えて会社に残ってくれている気はしたが、自意識過剰かもしれないことを聞くのも憚れ、結局は聞かないままとなってしまった。
自分がこんなに男性を怖いと思わない人間だったら、もう少し距離が縮まっていたのかもしれない。
少し、そうほんの少しだけそれが悔やまれた。
「ここからギルドまではすぐよ! あいつら、昨日は女の子達に鼻の下伸ばしてたけどうまくやれたのかしら」
まるで母親の様な心配の仕方だ。サツキはくすりと笑った。
「あれだけイケメンだもの、大丈夫よ」
山岸祐介なウルスラが苦笑してみせる。うわ、格好いい。何その顔。サツキは自分の心臓が飛び跳ねるのをはっきりと自覚した。アイドル級だ。アイドルにしては少し年齢がいっているが。
サツキはどちらかというとこれから登っていくぜ位の十代のアイドルが好みだった。
「あいつら、いいのは顔だけなのよ」
きっぱりと言った。見事な断言だ。そこには迷いは一切見られない。
「で、でもいい人達じゃないの」
まあ、馬鹿そうではあるが。ウルスラもそれには賛同した。
「うん、まあ馬鹿なだけあって正直というか、そこは認めるわ。ただね、魔法も剣の腕もイマイチ、経験もショボい、会話の内容もペラッペラ。母親の様な気持ちで接しないと、ありゃ腹立つわー」
うん、何となく分かった。そんな気はしていた。
「だからリアムが輝いて見えてね、ふふ」
艶っぽい視線で山岸祐介なウルスラがサツキを見下ろした。うおう。
「……私も、サツキに出会えて本当に嬉しいわ」
唐突にウルスラが言う。
「やだ何ウルスラ、急にそんなことっ」
サツキは顔が赤くなるのが分かった。これはウルスラに言われて嬉しいのか、山岸祐介だから照れてしまうのか、分からなかった。
「ドラゴン討伐の後の予定、なかったのよ。終わったら、心が空っぽになっちゃうんじゃないかって心配してた。でも、そこにサツキが現れて」
ふ、とウルスラが笑った。
「最高よ、サツキ」
「ウルスラ……」
それ以外、何も言えなかった。
次回はリアムバージョン!




