OLサツキの中級編三日目の午後の二つ名
変化の魔術師。それがリュシカが定めたサツキの二つ名だった。
だが気になった点があった。
「あのリュシカさん、今サツキって言いましたよね?」
「いかにも」
深いいい声の返答があった。
「でもこの身体はリアムさんのもので、私は大して何も」
するとユラが手をポン、と叩いた。
「サツキ、あれだよ。ウルスラがドラゴンを倒したのは、サツキが俺の死者蘇生の術で復活してから後のことだ。だから、実績としてはサツキの実績になってる筈だ」
「うむ、そうだな。元々のリアムの業績に上乗せされてはいるが、ドラゴンスレイヤーの称号はサツキに付いている」
「え、何そのすっごい棚ぼた的なの」
「棚ぼた?」
「あ、ううん何でもない」
ある程度変換されることはあっても、さすがにことわざは通じないのかもしれない。
「ここのところ、幾度となく変化の魔法を唱えているね?」
リュシカが優しげに問うので、少しどぎまぎしてしまう。
「あ、は、はい。そんなことも視えるんですか?」
「ははは、鑑定士だからね。それがくっきりと視えたんだ」
成程、そういうものらしい。サツキはとりあえずそれで納得することにして、――不意に思い出した。
「あ、そういえば、ユラの追加能力って見てもらったんだよね? 何だったの?」
「教えねえ」
「何でよ」
「多分お前が泣くから」
「は?」
すると、リュシカがくすくすと笑った。リュシカは鑑定した側だ、勿論その中身はよく知っているに違いなかったが、その笑いの意味とは。
「鑑定士に近い能力ではあるね。なかなか珍しいが、僧侶の適性があるユラにはぴったりかもしれないよ」
「リュシカ、それ以上言わないでくれよ」
「ねえ、何でそんな頑なに隠すのよ」
「だから泣くと面倒だからだよ」
「なんで私が泣くのよ」
「……言えねえ」
ループだ。ユラはなかなかに頑固そうなので、多分こうと決めたら譲らないのだろう。仕方がない。
「いつか言いたくなったら教えてね」
「おう」
広言しては拙い能力ではないらしい。
「まあでも、効果をきちんと得たいのであれば極力隠しておくべき能力ではあるね」
「リュシカ、もう黙って」
「はは、分かった分かった」
「なあリュシカ、俺とアールは追加能力がついたけど、ウルスラとサツキも付くのかな?」
リュシカはじっとサツキの方を見えない目で見る。
「サツキはまだ発現していない様だね。ウルスラという女性については見てみないことには分からないが、連れてきてくれるのなら視てやるぞ」
「あいつ騒がしいからやなんだよなー」
騒がしいのはアールも一緒の様な気がしたが、そこは恋しい相手だから別物なのかもしれない。
「じゃあ、今度私がウルスラを連れて来ようかな?」
「仕方ねえ、俺が行ってやる」
「何でそうなるの」
「何でもだ」
すると、リュシカが実に楽しそうに高らかに笑った。
次回はリアムバージョン。




