OLサツキの中級編三日目の午後の鑑定結果
この人には一体何が視えているのだろうか。
「あの……私、死んだかと思ってたんです」
電車に接触しそうになり、運転手と目が合ったあの瞬間に。
するとユラが言った。
「リアムは完全に死んでたぞ。黒焦げだったし、俺の初の死者蘇生の術が効いたからな。サツキの方も一旦死んだんじゃね?」
サラッと怖いことを言う。
「あのね、こっちと違って、私の世界では怪我は一瞬で治せないし、死んだら死者蘇生の術なんてないから。それに電車に撥ねられそうだったから、もし撥ねられてたらぐしゃぐしゃに……」
想像したら背筋がぞくっとした。
リュシカが言う。
「死んだと認識したのだろうな。似通った波長を持つリアムが同時に死んだと思ったことで、互いの碇の元へと導かれたのだろう」
「碇の元に導かれた?」
リュシカが頷いた。
「しかしユラが死者蘇生を唱えたのか」
「なんだよ、リュシカまで俺をへっぽこ僧侶って言うのかよ」
「へっぽこってなんかもう二つ名になってない?」
「へっぽこ言うな」
「仕方ないでしょ、二つ名っぽく聞こえたんだから」
「サツキって時折すっごい毒吐くよな」
するとやり取りを聞いていたリュシカが、さも可笑しそうにクスクスと笑った。
「余計な話をしてしまったな。その二つ名が知りたかったのだな」
するとユラが身を乗り出した。
「ちょっと待てよ、その碇のことをもっと詳しく」
「ユラ」
一瞬の溜めの後、リュシカがユラを呼んだ。それは有無を言わせない声だった。
「……何だよ」
「これ以上言うと、私は彼女達の運命を舵取ることになる。だがそれは神の領域だ」
「何だよそれ」
「私が出来るのは、こういった道もあると選択肢を増やしてやることだけだ。他者の進むべき運命を方向付けるのは、やってはならないことなのだよ、ユラ」
「でも、だってその碇を見つけないと、サツキがやばいんだろ?」
「別に死ぬわけではなかろう。ただ元の世界に戻るだけだ」
「でも!」
ユラが珍しく食い下がっている。うまく聞けないサツキの為に。こういうところは本当にいい人なんだけど。
サツキがリュシカに尋ねた。
「リュシカさん、向こうの私……リアムは、生きているんですね?」
「それは間違いないだろう」
「そっか……」
なら、いい。今はそれでいい。リアムの身体を奪って、死んだ身体に行ってもらった可能性もあった。いくらなんでもそれは自分で許せなくなりそうだったけど、向こうで元気ならそれでいい。
「なら、よかったです」
サツキはにっこりと笑った。ユラはそれを見ると、口を尖らせたがもう何も言わなかった。
サツキが続ける。
「じゃあ、二つ名の鑑定をお願い出来ますか?」
「任せなさい」
リュシカが請け負うと、ユラが膨れたまま言った。
「リュシカはがめついからな、きちんと払わないとしょぼい二つ名を付けるぜ、きっと」
「ユラってば。あの、ちゃんとお支払いしますから」
「ははは」
リュシカは笑うと、暫く見えない目でサツキを見つめる。そしておもむろに、言った。
「変化の魔術師。それがサツキ、貴方の二つ名だ」
次回はリアムバージョン。




