魔術師リアムの中級編三日目午後の仕事中
今日の昼は祐介とハンバーガーなるものを食した。付け合わせの揚げた芋が太くてホワホワして非常に美味であった。
「口の端にケチャップ付いてるよ」
祐介が苦笑いをしながらリアムの口の端をおしぼりで拭いた。
「祐介、これではまるで私が子供の様ではないか」
「あ、ごめん、つい」
祐介がにこっと笑った。
あまりにも自然すぎて、リアムも拭かれるまで全く違和感がなかった。恐るべし祐介の面倒見のよさである。
ようやく機嫌が治った様なので、リアムは意を決して聞いてみた。
「なあ祐介、その飲み会というのに女子が必要だというのは、一体どういった理由によるものなのか?」
途端、祐介が膨れっ面になった。しまった、ただ忘れていただけらしい。
それでも祐介は答えてくれた。
「社長の奥さんの麗子さん、年上女房なんだよ。で、最近は少し更年期とかも入ってきちゃってて、まだ四十過ぎの男盛りの久住社長は物足りないらしく、ある日突然早川ユメを総務兼人事兼社長秘書として雇い入れた訳だ」
祐介は食後のアイスコーヒーで喉を潤しつつ、説明を続けた。今日はリアムもアイスコーヒーにした。さすがに昼間はホットコーヒーは熱過ぎる。
「暫くは久住社長もそれで大人しくなってたんだけど、元々が女好きな人だからさ、他に目が行ってしまう。すると早川ユメが怒る。麗子さんにばらされたら溜まったもんじゃない。飲み会には早川ユメはもう呼びたくない。でも女の子にお酌させて侍らせたい」
「最低だな」
「夢見る中年なんだよ。で、最近は飲み会に参加した体でキャバクラとか通っているとの専らの噂なんだよね」
「キャバクラとは?」
「えーと、お金払って女の子と仲良くお喋りするお店のこと」
「そこまで女子が好きか」
「好きらしいよ」
そこまでくると病気ではなかろうか。リアムは割と、いやかなり淡白な方であったので余計そう思うのかもしれないが。
「サツキちゃんは、社長が来るとずっと隣でお酌させられるし、早川ユメに次の日に虐められるしで、凄く嫌そうに参加してた」
「断れないのか?」
「サツキちゃん、断れない人だったから」
何とも言い難いが、非常に辛そうな状況に思えた。逃げ場のない状況だったのだろう。哀れな。
「でも社長がいる時はさすがに羽田さんも寄って来ない。危険なのは帰る時。だから僕と潮崎さんがよく帰る時に誘い合って帰ってた」
「苦労を掛けていたのだな……」
「社長と羽田さんがおかしいんだよ」
祐介がばっさりと切った。
「皆もそういうの分かってたから、最近は飲み会自体も減ってたんだよ」
「木佐ちゃん殿は無事だったのか?」
「あの人は猫飼ってて世話があるとか言って絶対来ない。昔は木佐さんがそんな感じの被害に遭ってたみたいで、サツキちゃんが行く様になって逃げたみたい」
「それまで一手に引き受けていたのか……」
「うん、受け取り方にも寄るけどね、そういう見方もある」
楽しいのは女子を我が物の様に侍らす輩だけ、そういうことだ。リアムはようやく何故祐介が頑なに反対していたのか、ようやく理解したのだった。
次回サツキバージョンは明日朝投稿します。




