OLサツキの中級編三日目、貸衣装屋にて
三人は貸衣装屋の店舗内に入った。店内はこれも魔法なのか、光の球体が宙にふわふわ浮いていて綺麗だった。お祭り仕様なのかもしれない。
「あのー、衣装を返しに来ました……」
サツキが声を掛けると、店の奥から一昨日着付けやら何やらを全てしてくれた中年女性がひょっこりと顔を出した。サツキの顔を確認し、にっこりと笑顔になる。
「あらこの間の! その感じだといい人見つかったのね?」
何言ってるんだろう、そう思ってから、そういえばユラが一緒にいるとそういう風に見られる可能性があるということに今更ながらに気が付いた。ユラの表情は読めない。これはまさか勘違いされて機嫌が悪くなっているのだろうか。
なので、サツキは慌てて否定した。
「えっいえ! この人は違います! 同じパーティーの仲間なだけで、ちょっと付いてきて貰っただけです!」
「あらそうなの? 残念、イケメンなのに」
イケメンだけど性格は悪いです、そう言いたかったが、また意地悪されたくはない。なので、サツキは愛想笑いをするに留めた。
サツキが持ってきた衣装を女性に手渡すと、それまで辺りをプラプラと彷徨いていたユラが尋ねた。
「この人に着付けてもらったのか?」
「うん、そうだよ」
「ふうん。随分えろいアクセサリーを渡してたから、てっきり男かと」
「何度も女性だって言ったでしょ?」
「サツキのことだから騙されてないかなって思ってた」
「……」
どれだけ駄目駄目だと思われているんだろうか。少し自分が情けなくなった。まあ、駄目駄目だと思われる程度にはやらかしてはいるので仕方ないのかもしれないが。
「ラムも一緒にいたし、大丈夫だよそういうのは」
「ラムが一緒なら安心だな」
「信用度、ラムの方がもしかして高い?」
「そりゃそうだろ」
サツキの信頼度はモンスター以下か。まあこの世界をどちらが知っているかといえば当然ラムの方が知っているには違いないが、この信頼度の低さよ。
すると、それまで二人の会話を聞いていた女性が首を傾げた。
「やっぱり恋人じゃないの?」
「いえ違います」
サツキは即答した。ユラが好きなのはアールだ。例え次に会うかどうかも分からない人にでも、誤解されるのは嫌だろう。
すると、何を考えているのか、ユラが女性に尋ねた。
「恋人に見える?」
女性が頷く。
「見えるわね」
ユラがサツキを突いた。
「恋人だって」
「はあ」
「気のない返事だな」
「だって恋人じゃないでしょ」
「冷たいな」
「お互い様でしょ」
すると、女性がふふ、と笑った。
「もうちょっとって感じなのかしらね? そっちのハンサムさん、頑張ってね」
「ですからそういうんじゃないですってば」
「ガードが緩いようで固いな、サツキは」
「はあ?」
「だって俺にキスされまくってるのに」
「ちょっな、何言ってんの!」
「あはは」
「笑い事じゃない!」
女性が頬に手を当て、生暖かい目でサツキとユラを眺め、一言。
「若いっていいわあ……」
早く立ち去りたい。そしてこの店はもう二度と来ない。そう心に決めたサツキだった。
じはリアムバージョン。




