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OLサツキの中級編二日目、スライムの願い

挿絵(By みてみん)

 自分がレンタルしたピンクのドレスを握り締めていたラムは、何かを伝えるべくジェスチャーを始めた。


 サツキのドレスを指し、次いでユラを指す。力こぶを作り、親指を突き出す。そしてサツキとユラの手を取り、前後に振った。


「えーと、私がドレスを着る」


 ラムがこくこくと頷く。


「俺は強い?」


 またこくこくと頷く。ユラは心なしか嬉しそうだ。最後の手をぶんぶんは何だろうか。


 するとユラが言った。


「あ、分かった。三人でお祭りに行こうってことか」


 ラムがぱああっと笑顔になった。でも、とサツキが続ける。


「もうそろそろメタモラも解けるだろうし、一度帰って服も畳んで返しに行きたいし」


 それに、ユラは祭りは人が多いから嫌だと言っていたので、嫌だろうし。すると、ラムがしょぼんとした。


 唐突に、ユラがあ、と言いながらポケットを漁り始めた。


「そうそう、かんざしは拾ったんだけど、イヤリングが片方しかなくてさ」


 ポケットから出てきたのは、貸衣装屋で貰ったアクセサリーだった。イヤリングが片方と、あとネックレスがない。


「ネックレス……もなかったよね?」

「急いでたからな」

「うん……だよね」

「これも借り物?」

「ううん、アクセサリーはもらったの」


 これは返す必要のない物だから、失くしてもではあったが、でも好意で貰った物をその日の内に落としてしまうなんて。


 あの女性に対し、非常に申し訳ない気持ちでいっぱいになった。


 すると、ユラの腹がぐーっと豪快な音を出した。


「あー俺丸一日近く何も食ってないんだった」

「そうなんだ、じゃあ急ぐね」


 サツキも夜は食いっぱぐれたが。するとサツキの腹もぐうううう、と鳴った。起き上がったからだろうか。あまりの大きさに、ユラがびっくりした顔をしている。そんなに見ないで欲しい。


「半日は回復で寝てたからなあ」

「ご、ごめんなさい」

「魔力使い果たしたんだから仕方ないよ。……サツキ、もう一度メタモラで野原サツキだ」

「え?」


 どういうことだろうか。そろそろメタモラが解ける時間がきた?


「そんで服着て、ほら、ラムも着たいんだろ? アクセサリー探しつつ、まあ正直人混みはかったるいけど腹減ったし、たまには祭りに参加も悪くはないし」


 そう言うと、ユラはベッドから降りて伸びをした。


「えーと、つまり?」

「だから、俺がついてってやるから、祭りで飯食って落とし物探してみればいいんじゃねってこと」


 ラムが、実に嬉しそうにぴょんぴょん跳ねているが、でも何だかユラには昨日から迷惑を掛けてばかりだ。


「でも、人混み嫌いって……」

「昨日よりは今日の方が空いてる筈だし、それよりとにかく腹減ったし」

「ユラ……迷惑じゃ」

「サツキは遠慮ばっかりだなあ」


 ユラは小さく微笑むと、サツキにポケットのパンツを差し出してきた。


「俺が腹減ったんだ。付き合え」

「え、あ、はい」

「俺隣の部屋いくから、パンツ履けよ」

「はい……」


 そう言うと、ユラは言葉通り隣の部屋に行ってしまった。


「イケメン、侮りがたし……」


 思わぬユラの笑顔に、不覚にも少し目を奪われてしまったサツキであった。

次回はリアムバージョン。

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