OLサツキの中級編初日の春祭りの夜は更ける
ユラは後ろに倒れ掛かったサツキの裸の腰に手を回し、着ていた法衣をがぱっと脱ぐと、サツキの身体をぐるぐる巻きにした。
床に置いておいたドレスと靴と、ついでにパンツも拾う。ドレスと同じ場所に落ちていたかんざしとイヤリングの片方はポケットの中に入れたが、探している余裕がなかったのでもう片方はないままだ。
「よっと」
気を失い力が抜けた状態のサツキの身体を抱き上げると、法衣の上に靴とパンツを置いた。少し考え、パンツはポケットにしまい直した。ドレスは腕に掛けたままだ。
意識のないサツキに、話しかける。
「悪いな、さすがにリアムの姿じゃでかいし重いし持てないからさ。――あ、アグレッサ使えばよかったか?」
勿論返事はない。
「でも素っ裸の男は抱えたくないし、まあ約得ってことで許せ。さ、帰るぞ」
そう言うと、ユラはスタスタと来た道を戻っていく。広場とは真逆の方向の、段々と人通りが少なくなる住宅街の方へと進む。時折落ちそうになるサツキを抱き上げ直し、また進む。辺りに人気がなくなったところで、一軒のこじんまりとした家の前で歩を止めた。中に声を掛ける。
「ラム、いるか? 開けてくれ、サツキを連れてきた」
「ユラ!」
中からドタドタと走ってくる音がしたと思うと、ユラの姿をしたままのラムがドアを開けた。ユラが抱えるサツキの姿を見て、明らかにほっとした表情をした。
「サツキ、大丈夫?」
ユラが家の中に入ってくると、一つ奥にある部屋へと進む。
「魔力を使い果たして気を失ってるだけだ。ラム、ベッドの布団を剥いでくれ」
「うん」
ラムが布団をどけると、ユラがサツキを法衣ごとそこに寝かせた。上に置いていた靴は床に置き、布団をそっと被せると上からポン、と軽く叩いた。
「お前、それイルミナか?」
「うん」
「じゃあもうすぐ勝手に解けるな」
ふう、と息を吐き、ユラはベッドの端に腰掛けた。サツキの口に引っかかっている髪の毛を掬い取って、呆れた様に笑う。
「しかし何だってあんな場所を彷徨いてたんだ?」
「ごはん、探してたの」
「何だってサツキは女になってたんだよ」
「ラムがドレス着たくて、ラムが一緒に着ようって……うう」
ユラがぎょっとした様に身を引く。
「ラム、頼むから俺の姿で泣くな」
「うう、うん」
ユラがふむ、と納得した様に頷いた。
「だからイルミナじゃなくてメタモラだったんだな。ドレス着てる最中に男に戻ったら笑えないもんな」
「サツキ、綺麗だったのに、全然遊べなかった」
また泣き出したラムを見て、ユラは呆れた様に肩を竦めた。そしてサツキの顔を上から覗き込む。
「本当だ、化粧なんてしちゃって」
「おばちゃんが、いっぱいしてくれたの」
「されるがままにされたって感じだな。サツキらしいや」
あふ、とユラが欠伸をした。
「とりあえずここでこうして見てても当分目は覚まさないだろうから、一旦休もうぜ。俺今日くったくたなんだよ」
「うう、分かった……」
「よいしょ」
ユラはサツキを少し奥にずらすと、自分は布団の上に乗り横になったのだった。
次回はリアムバージョン。




