OLサツキの初級編三日目、いざボス戦へ
転移魔法陣が光った後、光が収まるのを待ってからサツキは目を開けた。
「これ……」
目の前にあるのは、古びた大きな石の扉だった。両開きの、如何にもな何とも重そうなやつだ。こんな重そうな扉を、一体どうやって開けるのだろうか。
すると。
扉の前にユラが立つと、足元から魔法陣が浮き出てきた。
「これは、前のフロアまで来たことがある奴に反応するんだ」
つまり、今回は転移魔法陣で飛んできた他の三名は対象外ということだ。
魔法陣から光が放たれたかと思うと、石の扉が中へとゆっくりと開いていった。サツキはその迫力に思わずごくりと唾を飲み込む。
「行くわよ!」
「おう!」
ウルスラの掛け声と共に、一行が中の空間へと足を踏み入れる。中は天井が高く、闘技場の様な円型の広間になっていた。ボスはどこだろうか? サツキが辺りを見渡すと、奥の壁に七色に輝く物が張り付いていた。一匹のアルバ蜥蜴だ。あれなら戦い方は分かる。しかしあんなのがボスなのだろうか。
すると、アルバ蜥蜴が物凄い勢いで壁を伝い降りてくると、こちらへと向かってきた。どんどん近付いてくる。どんどん、どんどん……え?
「物凄いでっかいんですけどおおお!」
ウルスラが叫びながら剣を構えた。サツキは口をぽかんと開けて見ていることしか出来なかった。恐ろしく、大きい。これまでのアルゴ蜥蜴は一匹がワニ位のサイズ感だったが、このボスは見上げる程の大きさだった。イボがかなりはっきりと見えて、正直気持ち悪い。
「サツキ! フリーズだ!」
ユラに肩を揺さぶられ、サツキは金縛りの様な状態から我に返った。
「ふ……フリーズ!!」
点滅していたイボが動きを止めた。
「斬れ! またすぐに動くぞ!」
「おう!」
「切り刻んでやる!」
「サツキは動いたらすぐにまたフリーズだ! 『バリアーラ』!!」
ユラがバリアーラの呪文を唱えると、辺りが白いヴェールの様なもので包まれた。
「え!? ユラもその呪文使えるの!?」
「当たり前だろ! この辺の補助魔法は魔術師よりも僧侶の範疇だからな!」
「そうだったんだ……」
バリアーラの効果は、明らかにサツキが唱えた時よりも強く効果が出ている。これが適性というものなのかもしれない。
ウルスラ達が切り刻んでいくが、皮膚が分厚いらしくなかなか中まで届かない。
「固いんだけどっ!」
「ていうかこれ初級ダンジョンにいるのおかしいだろ!」
え、そうなのか? サツキには程度が分からないのでただ言われたことを信じるしか出来ないが、皆がそう言うならそうなのだろう。
ユラがチッと舌打ちをする。
「サツキ! ミティアいけるか!?」
もう怖がっている場合ではない。サツキは大きく頷いた。ユラが前衛の二人に向かって叫ぶ。
「下がってろ!」
「おう!」
「サツキ! 頼む!」
「分かった! 『ミティア』!!」
その瞬間、辺りが、ふ、と暗くなった。
次回はリアムバージョンです。




