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魔界の勇者~魔界で勇者として幼馴染みと冒険します~  作者: ろくみっつ
第三章 ≪黒≫の目覚め
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最終回 黒の覚醒、蛇の後悔。

遅くなって申し訳ないです!

とりあえずの最終回なので少し長めですが、最後の最後までお付き合いください!

では!!!

 真っ黒の空間。何もかもが真っ黒で、何もかもが闇に包まれたような、そんな空間。

 そんな中に今、俺はいる。


 突然流れ始める映像。モノクロの、映像。音のない、ただただ流れるだけの映像。


 サッカーボールを持った少年。教師のいる部屋。窓の外から見えるのは、たいして大きくもないグラウンド。

 そんなグラウンドの片隅で、三人の少年が、一人の少女を、囲っていた。

 口々に少女を罵りながら、手を上げる。

 サッカーボールが窓ガラスを割る。部屋の中にいた少年は、既に窓から少女のもとへと駆けていた。


 切り替わる場面。


 着崩した学生服の男。その男に手を引っ張れる少女から女性へと変わろうとしている年ごろの若い女。

 遅れてやってくる青年。

 学生服の男はニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべる。拒絶し、恐怖に涙を溜める女。

 青年はやはり、駆けだした。


 また切り替わる、何度も、何度も。


 最後に見えたのは、悲しげに笑い、自らを偽る女子と、それを呆れながらも、心配そうに見上げる青年。


 再び真っ暗になる空間。


 そこへ、今度は声が響く。


「おい、いつまで惚けてるんだよ。」


 と、どこかで聞いたことのある声がする。


「さっさと起きろよ。」


 そう、この声は、まぎれもなく__。


「なぁ、俺。」


 俺自身の声だった。


「そんなにあの蛇にやられたのが悔しいか?」


 蛇……。マサエル。

 白木の体に巣食い、そして、操り、最後には自らが成り代わろうとする、敵。


「っは。情けねぇ、本当に情けねぇ。

 俺ともあろう奴が、この、黒を受け継いだって奴が、たったそれだけのことでこの体たらくとはなぁ。」

 これなら、さっさと俺が出ていったほうが早かったかもな。


 と、俺はつづけた。


 お前が出ていく……?


「自分の意志さえ、願いさえ途中で投げ出す奴なんかに黒を託すのはもったいねぇって言ってるんだよ。」


 意志……願い……。


 真っ黒な空間に少しだけ、ひびが入る。


「あぁ、そうだ。お前の願いだよ。覚えているだろう?」


 願い……。白木にもう一度会うこと。白木を、救い、出すこと……っ!


 そのひびは、どんどん大きくなり、白い光が差し込んでくる。


「だよなぁ。なのになんでてめぇはこんなところで油売ってんだよ。

 そのお前の大切な白木は、白は。今どこにいる?どうなっている?

 それをほっといてもいいのかよ。」


 そんなわけ……ない……。

 そんなわけ、ないだろう!!


 バリン、と何かが壊れる音がする。

 視界が光に飲まれる。


「おう、ならさっさと動けや。別にまだ死んだわけでも、希望がついえたわけでもねぇ。

 絶望する前に、願え、心を折る前に、ただ前を見て進め。

 てめぇの願望は、てめぇで掴むんだよ。」

 そのための力くらい、貸してやらぁ。だから、たっぷり暴れてこいや。


 その声は、かすかな鈴の音にかき消されながらも、俺の心に響き渡った。




 ◆◆◆


「あー、楽しかった。いやぁ、面白かったなぁ。

 まさかあそこまで出来る人間がいたとは、驚きだよ。ヒヒヒ。

 ま、いいか。どうでも、さっさと次の面白いことを探さなきゃねぇ、例えば、あの魔王の体に移って魔人種を戦争に導いてみるかぁ……?ヒヒヒ、面白そうだなぁ」


 白い彼の者の内に巣食う魔物は、黒い炎に包まれた黒い青年に背を向け、立ち去ろうとする。


 だが、その前に、小さな、ほんの小さな鈴の音が鳴ったのだった。


 リィンリィンと小さく、しかし確かに鳴る鈴の音は、あの黒い青年の元から発せられる。


 そして、


「まだ、おわってねぇぞ……。マサエル……。俺は、お前から、白木を、取り戻す!!!」


 炎に包まれ、焼かれた青年の、怒号とともに、慟哭とともに、一層強くなる。

 その鈴の音と共に、声が聞こえる。


≪さぁ、続けよ、俺。今回だけは特別に、道を示してやらぁ≫

 と。そして、力を呼び起こす詠唱が始まる。


≪我、黒を授かりし魔の王なり≫


 それを聞いた瞬間に、彼は自分の(うた)うべきものが理解する。


「『我、黒を受け継ぎし只なる人なり』」


 あとは、異なる詠が重なり唱えられる。


唯一(ただひと)つの夢を叶え、しかし唯一(ゆいいつ)を抱けず≫

「『唯一(ゆいいつ)を失い、されど、唯一(ただひと)つの意志を抱く』」

≪我、今こそ遺志を抱く真なる王となりて≫

「『我、今こそ意志を叶えるために黒き勇者となりて』」


 そして、最後の唱は、一つの詠で締めくくられた。


「≪ただ、己の思いのために、汝を屠らん≫!!!」


 詠が終わった。

 直ぐに変化は訪れる。


 もう無くなっていた魔力が、体の底から爆発的なまでに込み上げてくる。

 体は今まで以上に黒く染まり、星のように輝いていた陣すら飲み込んでいくほどだった。

 そして、彼の瞳はその輝きを吸い込んだように赤く光る。


 そして、彼の変化はそこで終わった。


 ただ、その手には一本の剣が握られていた。

 〝それ〟は『白縫』のような刀ではなく、ロングソードだった。

 ただ、やはり普通のモノではなく、全身が黒く、どこか、翼を広げた竜を彷彿とさせるものだった。


 変化が終わり、マサエルが口を開く。


「な、なぁんだぁ?いきなり立ち上がったと思ったら、たったそれだけか?

 驚かすんじゃぁねえよ。今更てめぇの魔力が回復したところで、俺にかなう訳ないだろ?」


 っは。肩を竦めるマサエル。

 だが、そのマサエルの体は微妙に震えていた。


 マサエルは魔法によって構築されているとはいえ、元は生物である。その生物だったころの本能が、マサエルに警鐘を鳴らしているのである。それをマサエル自身が素直に受け取るとは限らないが。


「知らねえよ。そんなこと、どうだっていい。

 敵う敵わないじゃあないんだよ、俺の意志を叶えるために俺は立ち上がった。

 その意志を貫き通すためには、お前が邪魔なんだ、だから、ここでお前を潰す!」


 黒鉄はそう言い切り、マサエルのもとへと飛び込む。

 マサエルは構えようとする、が間に合わなかった。


「がああああぁぁぁ!!」


 マサエルの体に走るのは左腕が千切れんばかりの激痛。

 だが、その白木の体には一切の傷がついていない。


「な、な、なな、なぜだ!どういうことだあぁ!」



 マサエルが叫びながら氷と炎の入り混じった右腕を振るう。

 だが、黒鉄はそれを防いだ。龍の刻印の成された黒い盾を使って。


「簡単なことだ、お前の体──魔力だけを斬ったんだよ」


「魔力を、斬る……だと?

 ふ、ふざけるな!お前なんかに見える訳がないだろう!それに、そんあことをすればこの女の魔力だってズタズタになるはずだ!」


 マサエルは自身を構成する魔力を白木の魔力に覆い隠すことで自らを隠していた。だから、これまでの戦闘ではマサエル本体ともいえる魔力を見つけることができなかったわけだが……。


「俺がてめぇの汚ねぇ魔力と、白木の魔力を見分けられないわけがないだろうが」


 黒鉄の瞳が赤く輝いている。その眼はすべての魔力を見分ける『真眼(トゥルー・アイズ)』以上の精度を誇っていた。


「もう一度やってやろうか?」


 黒鉄は攻撃を防いだ盾を一瞬で剣に〝変化させる〟とそれをマサエルの右足に向け、薙ぐ。


 血が出ることはない。だが、代わりにマサエルの口から絶叫が出る。


「づぁああぁあああぁぁ!!くそっがああああああ!!!」


 マサエルは己と黒鉄の距離を離すべく魔術による弾幕を形成する。

 一瞬で形成し、爆発を起こす魔法。それに隠れるように氷の礫が射出される。

 接近を許さないとばかりに大地が剣山のように盛り上がり、不可視の風の刃が音もなく飛来する。


 だが、それらすべてを黒鉄は斬り捨て、マサエルに接近する。


「残りの楔は二本、一気にいただくぞ」


 そう言って残った右腕左足を一太刀で薙ぐ。


「ああああぁあぁぁっぁぁぁあっっっっっっっっ!!!!!」


 さらなる激痛により叫ぶことすらままならない。

 そのマサエルの隙をついて、黒鉄が目と鼻の距離まで近づく。


「じゃあ、白木の体、返させてもらうぞ、クソ蛇」


 剣が籠手のように変化する。

 そして、その拳を体の中心よりやや右上、心臓の真上まで持ってきて、捻じり押し込む。

 体自体にはなんの変化もおきはしない。

 ただ、その一撃をもってして、白木の体に巣食っていたマサエルを構築する魔力のすべてが、体外へと放出された。


「ふ、ふざけるなああ!!!返せ!俺の体をおおおおおおおおお!!!!」


「お前の体じゃねえ、白木の体だ!」


 剣へと形状を戻し、マサエルの体を真っ二つに斬る。


「てめぇの敗因は慢心だ。最初から全力で来られてたら俺は死んでいたさ。

 あの世で悔やめ、自らの甘さを、な」


「あぁあああぁ、なぜだ、なぜ……こうなった……。俺の……体あぁぁぁ……」


 消える寸前に見えた光景は、自らが封じられたときによく似ていた。

 真に赤い竜は、ただ、こう言っていた。


≪お前が最初から俺らを叩き潰しにきていたら、こうはならなかっただろうさ。

 だが、お前は自らの力に溺れ、我らの意志を甘く見た。

 もしも次に外へ出るときは……いや、もうそれは一生ないか≫


 それでももし、外に出れたなら、もう少し自分以外のことを考えてみろ。そうすりゃあもっと強くなれるし、仲間もできるぜ。


 と。


 思い出すのが遅かった。そう悔やみながらマサエルはこの世界から消えていった。



 ◆◆◆


「ようやく、終わったか」


≪っは。いっちょ前に格好つけてんじゃあねぇよ、俺≫


「なんだ、まだいたのか」


≪居たも何も、俺はお前の中に居座ってんだぜ?消えれるわけもねぇだろ≫


「そうかよ。……。今回は助かったよ、ありがとう」


≪気色悪りぃ、感謝なんてされる理由はねぇ、俺はただ≪白≫を助けるためにてめぇを利用しただけだろうが≫


「……そういうことにしておくよ」


≪っは。そうしとけ。

 ……、マヴロだ。次からそう呼べ≫


「了解」


 黒と黒を受け継いだ者同士の対話。

 それをもって、今回の騒動は幕を閉じた。


いかがだったでしょうか?

今回を持ちまして、魔界の勇者~魔界で勇者として幼馴染みと冒険します~。は一先ずの幕閉じとさせていただきます。

今後の詳細については、活動報告に書かせていただきます。


これまで、ありがとうございました。

ろくみっつでした。

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