13.エピローグ:ラズピリス語り
わたしはラズピリス・レイドクス。
レイドクス伯爵家の娘で、ちょっぴり魔術が得意な11歳の女の子。
母様譲りの桃色の髪が自慢なの。
わたしは昔から幸せだったけど、今はもっと幸せ。
マタタマっていう黒白な猫さんの友達ができたし、以前は冷たかったアルメットも優しくなって友達になったし。
マタタマって、わたしが創生した使い魔なんだけど、ものすごく自分勝手。
よく、使い魔らしくないって言われているけど、わたしはその方がいいかな。
だって、見ていて楽しいし。
でも、本当をいうと、マタタマって純粋な使い魔じゃないの。
だって、使い魔の本に、えいって魔力を籠めたら精霊さんが出てくるときの様に、ぱーって空間が歪んで、準備していた使い魔の元に、だーって何かが飛び込んできたんだから。
本猫は、ヘイセイのトウキョウって所から来たって言うんだけど、それってどこだろう。
一度行ってみたいなあ。
そうそう、最近アルメットが指輪をくれたの。
わたしが魔術を暴走しないための魔具になっているんだって。
左手の薬指に指輪をはめようとしたら、まだ早いって怒られちゃった。
なにが早いのかな?
父様に尋ねたら、怖い笑顔を浮かべていたけど。
本当に不思議。
そのことをマタタマに話したら、マタタマも怖い笑顔になった。
猫の表情って、判るようになるもんだね。
あ、マタタマは猫じゃなくて、猫又って種族らしいけどね。
でも、陽だまりの中で猫の様に昼寝をしているマタタマを見ていると、何か嬉しくなっちゃう。
吾輩はここで生きるって言ってたし。
これからも長く付き合っていけそうなの。
よろしくね、マタタマ。
お付き合いいただき、ありがとうございました。




